23話 宮廷炎上!犯人は皇太子?!
チェギョンを心配して ユルの居室に駆けつけたシン
その目の前で 炎が燃え広がる…!!!
翌朝
宮廷に警察が来て 火事は放火と断定され 目撃者の陳述の確保が始まる
そして警察は 最も有力な容疑者は 皇太子であるという見解に至る
『無礼なことを!!!』
皇帝も皇后も 言葉を失い シン自身もあり得ないという表情になる
侍従長が 烈火のごとく刑事を怒鳴りつける…!
『太子殿下は 皇太子妃から連絡をもらい 部屋まで行ったと陳述なさいました
しかし 皇太子妃の携帯には 殿下にメールを送った形跡がありませんでした』
通信社の記録にも残されてはおらず シンの陳述は嘘だと断定された
第一容疑者がシンであると聞き チェギョンは絶対にあり得ないという
自分からのメールで シンが現場に行ったのであれば 自分にも責任があると
『シン君は今どこに?』
『調査を終えられて 皇帝陛下とお話し中です』
『行かなきゃ…!』
スキャンダルがようやく収まったと思ったら 皇太子が離婚を口にし
今度は皇太子が 放火犯の容疑をかけられてしまった
一体 どうするつもりかと詰め寄る皇帝…!
『結局 僕が犯人にされるんでしょう』
『それが 一国の太子が言う言葉か?! 真実を言いなさい!』
皇帝の中に 父親として 息子である皇太子を信じるという気持ちはない
皇后も 真実を話すべきだとけしかけ 我が息子をはじめから疑っている
『なぜ太子は いつも事件を起こすんだ!!!』
(僕は潔白です)
シンの小さなつぶやきは 両親の耳には聞こえなかったようだ
『シン君が苦しんでる
シン君が泣いてるわ…』
力なく 居室に戻ったシンに チェギョンは声をかけられない
『1人で泣くことしかできない人を
肩を叩いてくれる人もいない人を…
私は 谷底に突き落とした…! 申し訳なくて…
あまりに申し訳なくて 慰めることすら出来ない』
皇太后ヘジョン宮は ヤケドを負い 入院した
『少しでも遅れていたら 危なかったでしょう』
『平気よ これくらいじゃないと
やっとのことで生き延びたようには 見えないじゃない
後始末は 抜かりないんでしょうね?』
『太子と皇太子妃の通信記録は 関係者を通じて削除させました
また 今回の件に関与した者たちの口も封じました』
『振り込みはどうするの?』
『スイスの口座から 5か国を通じて振り込まれる予定です
入金者を探すのは難しいでしょう』
『フフ… 国際的な訓練を受けているだけあるわね』
この放火騒ぎから ヘジョン宮を救出し この企てのすべてを仕切ったのは
ユル付きの翊衛士(イギサ)ペク・チュンハだった
『このことは 絶対ユルに知らせないで!』
『かしこまりました』
皇室内で起きた放火事件として マスコミは大々的に報じた
☡ 貨幣価値に換算できないほどの 天文学的な額になると言われています
一方 イ・シン皇太子が 今回の火災の有力な容疑者として… ☡
心配するチェギョンに しばらく廃妃の件は保留になるというシン
そして 放火犯にされたことには同情しなくていいと突き放す
『同情なんかじゃない それにシン君は放火犯なんかじゃない!』
『どうして分かる!』
『火事のあった夜 私に言ったじゃない
“どこにいた? 何もなかったか?”って
あの時のあなたは 嘘をついてる目じゃなかった それくらい私にも分かる』
この件が解決したら自由にしてやると
やはりこの宮廷は 息のつける場所がないというシン
民間から宮中に入ったチェギョンだけでなく シンも嫌気がさしていた
侍従長は 警察とは別に 独自で今回の事件を調べていた
すると 火災があった時間 どの監視カメラも止まっていたという
『完全に 罠に嵌められましたね
放火犯になったら… 廃位されますね』
侍従長は そう聞かれて答えることが出来ずに肩を落とす
『風船のように飛びたかったけど 皇太子になってすべてを諦めました
しかし皇太子妃に会い また夢を持ちました
彼女となら 僕も飛べるかもしれない そんな夢を…』
『殿下…』
『いつも皇太子の服を脱ぎたかったけど… こんな風にじゃない』
『必ず…! 真実は明らかになります!!!』
病院では
ユルが母親を心配し なぜ逃げ遅れたのかとため息をつく
こんな酷いことを 一体誰がやったのかと…!
『まだ分からないの?
嫉妬に駆られた太子が あなたを殺そうとしたのよ』
『シンは そんな奴じゃないよ』
どんなに反目し合う従兄弟同士であっても ユルには確信出来る
シンは そんな卑劣な手段に走る人間ではないと…!
『嫉妬というものはそういうものなの 疑心は他の疑心を招くの
最後には結局 人の心まで吸い込んでしまう
いくら賢い太子も 嫉妬心には勝てなかったのね
自分で自分の首を絞めたのよ 今回の放火は 一種の殺人未遂よ
有罪判決が出れば 事実上 廃位は決定するわ
あなたは 皇帝になる準備だけしてればいいの』
ユルは この放火が 母親の仕業だと確信し ペク・チュンハに会う
『父とは 縁が深かったと聞いていますが
だから母のそばにおられるんですか?』
『お父様の遺言です 孝烈皇太子がお助け下さらなければ
私は今頃 生きてさえいなかったでしょう
命を懸けても その恩に報いるつもりです』
チェギョンの居室に 太皇太后が訪れた
今もまだ 気持ちは変わらないかと尋ねる太皇太后
チェギョンは よく分からなくなり 混乱していると答えた
宮廷さえ出れば幸せになれると思っていた
でも こんなに苦しんでいるシンを置いて 本当に出て行けるのか…
自分が何をしたかったのかさえ 分からないチェギョンだった
『離婚だの廃妃だの とんでもないことばかり言って… 大きな過ちを犯しました』
『皇太子妃はまだ17歳です 過ちを犯してもおかしくない年齢です
たくさん失敗もしますし 失敗をしなければならない年頃です』
泣きじゃくるチェギョンに 太皇太后は優しく諭すように語りかけた
『大事なのは 失敗を犯したことではなく
その失敗を認め それを教訓にして進む勇気です』
宗親たちの 義聖(ウィソン)大君出宮反対の要求が激しくなる
皇太子に放火の疑いがかけられている中で ユルを出宮させることは出来ない
皇帝は ユルの件と 皇太子妃の廃妃の件を先に延ばすことに決めた
ユルは スイスの銀行口座について 自身のルートで調査し
母親の口座から出金されたことを確認する
『関連資料を送ってください それに 出金された金額がどこを通じて
最終的に 誰に振り込まれたのか調べてください』
すっかり塞ぎ込み 心を閉ざしてしまったシン
チェギョンは そんなシンの背中に 夢中でしがみつく!
『ごめん… 本当にごめん!
離婚するなんて言わない!
宮廷を出るなんて言わない!』
思わぬチェギョンの反応に シンは戸惑う
『宮廷でやっていけたのは シン君がいたからよ
シン君のそばにいたい…!』
『このままだと 皇太子の座から降ろされるかもしれない…』
『私が愛しているのは 皇太子じゃなくてシンよ!』
『今… 何て言った?』
『愛してるって こんなに胸が痛いのは 愛してるからでしょ?』
あんなにも聞きたかったチェギョンの気持ちなのに シンは不安だった
自分といれば 結局チェギョンは 自分らしく羽ばたくことが出来ないのだ
『それでもいい そばにいてほしい…! ただそう言ってほしいの!』
もうすぐ廃位される皇太子妃と
廃位されるかもしれない皇太子
シンとチェギョンは ようやく互いに本心をさらけ出す
『そばにいてくれ… 行かないでくれ…! 俺を1人にしないでくれ!』
それからの2人は 片時も離れようとはしなかった
放火の容疑がかけられたままのシン
廃妃は延期になっただけのチェギョンだったが
2人は幸せそのものだった
『もし皇太子の座から降ろされたら お前に食わせてもらわないとな』
『じゃあ シン君が家事をして 私が稼いであげるから』
『男が家事なんて出来るかよ』
『案外 合ってるかもよ』
その頃 退院した皇太后が 皇帝に挨拶していた
何より命が無事でよかったと 皇帝は安堵の表情で思いやる
それを横目に 放火犯に心当たりはないのかと聞く皇后
『太子が容疑者だと伺って とても驚きました』
一日も早く放火犯を捕え 太子の容疑を晴らさねばというヘジョン宮
太皇太后もまた 皇室の平和のために 犯人を捕えねばという
ユルは テラスの方から 仲睦まじいシンとチェギョンの様子を窺っている
こんな状況で仲直りした2人は 声を上げて笑いふざけ合っている
皇帝の前では静かにしていたが 皇后は 退室するヘジョン宮を追いかけ
すべてはお見通しだと言い放つ…!
『まだ諦めないおつもりですか?!』
『“諦める”という言葉は 自分の意志で手放す時に使う言葉です
私たち親子は 自ら手放したわけではありません!』
すべてはヘジョン宮の仕業と分かっていても 証拠がなくてはどうすることも出来ない
このままでは 本当に皇太子が廃位されてしまう
太皇太后は 可愛い孫のひとりである義聖(ウィソン)大君と話す
『1人の人を想うことが どれだけ苦しいことか 私にもよく分かります』
『お祖母様… 心を失くしてしまいました…! 僕はこれからどうすれば…』
心を通わせ 睦まじくなった皇太子と皇太子妃
今はただ 義聖(ウィソン)大君の傷ついた心をどう慰めるべきか…
『今はとても苦しく つらいでしょうけど 時が来れば風のように消えるでしょう
17歳のあなたは それ無しでは生きていけないと思うでしょうが
大君には27歳の人生も 37歳の人生も まだ残されています』
泣き出す孫を 優しく抱きしめる太皇太后
『ユル… こういう詩があります
“あなたの目から涙がこぼれるのを見た
それを見て 時に人生はつらく 泣くことが悪いことではないことを知ったのです”』
ヘジョン宮は 宗親会に対し さらなる要求をする
動き出した以上 もう最後まで行きつくしかない
『太子の廃位と共に 皇太子妃の廃位も進めてください
夫婦が 同時に問題を起こした方が致命的でしょう
皇室には 新しい血が必要なのです』
電話が終わったヘジョン宮の前に ユルが戻った
『母さん もうやめよう』
『何のこと?』
『母さんがやったんだろ?!』
どんなにごまかそうとしても ユルには分かっていた
今回のことは すべて母親が企てたことだと
宗親会は 皇太子妃廃位の件より優先して 皇太子の廃位を求めて来た
そればかりか 皇室の存廃を決めようとの声も上がっている
『今 皇室は風前の灯火です
太子に皇太子妃に 義聖(ウィソン)大君 3人とも問題を起こしています
臨時策を講じるのはどうでしょう?』
皇帝は 皇太子妃を しばらく外国に送ってはどうかという
皇太子妃の 自粛している姿を見せるべきだと 皇后も賛成する
『それは出来ません!』
シンの激しい反対に 皇帝は 誰かが犠牲になるしかないという
それでもシンは 決して受け入れられるものではないと抗議する…!
ようやく心を通わせたばかりの シンとチェギョンであった
『皇太子には辛い処置かもしれませんが
皇室を守ることを優先せねばなりません』
個人的な感情より 今は 皇室を守ることが大事だというヘミョン姫
それでもシンは どうしても受け入れられない
皇太子妃に関する権限は すべて自分にあると…!
居室に戻ると シンは ふいにチェギョンを抱きしめた
自分がどう抵抗しようと チェギョンを守り切ることは難しいと 分かっている
それでもチェギョンを守りたいシンだった
『これから何が起きても 俺を信じ 俺の言うことを聞くんだ!』
『分かった でも何で?』
『もうひとつ 何を言われても 俺の許可なしに悲しむな 約束してくれ…!』
学校では 友人たちが シンとチェギョンを心配していた
何があっても 廃妃の噂になんか負けるなと みんなが励ましてくれる
夫婦そろって廃位が噂される皇太子と皇太子妃は みんなの注目の的だった
シンは 放火事件の容疑者ということで 登校も出来ないでいた
チェギョンが帰ると また取り調べを受けなければならないという
『強がってたくせに やっぱり臆病者だな』
心配するチェギョンを安心させようと シンはからかうような言葉を吐く
そして 犯罪者になろうが 廃位されようが 2人はずっと一緒だと
取り調べを受けに行くシンの前に ユルが現れる
シンは 侍従長を外させ 2人きりになる
『全部 皇太后様が仕組んだんだろ?
ここまでするのも 大変だったろうな』
すでに 母親の仕業だと分かっていたユルは 返す言葉がない
『最初から俺のものじゃなかったし
時が来たら お前に皇太子の座を返そうと思ってた』
『…何だって?』
『でも いざこうして卑怯な攻撃を受けると 吐き気がしてきてな』
『知ったようなことを言うな!!!』
『皇太子を諦めるって言ってたよな? 元々お前のものだ お前にやるよ
だが お前にチェギョンを好きになる資格はない』
『それは 君も同じじゃないか?』
『お前の愛の形は知らないが
お前のせいで… チェギョンは追い出されるんだ
しっかり見ておけ! これがお前の愛の終わりだ』
シンの取り調べは 明け方近くまで行われた
しかし 決定的な証拠がなく 罪を確定することは出来ない
眠っているチェギョンのもとへ行くシン
会いたくて来た… そういうシンを チェギョンは優しく抱きしめた
『これからは 毎日本当の気持ちを言って』
こんなにも会いたくて こんなにも好きだと言いたいのは
もうすぐ チェギョンと離れなければならないからだった
翌朝
チェギョンは 正式に外国行きを言い渡される
皇室存続のため 廃妃の声が上がっている事態を終息させるため
そう言われてしまえば チェギョンに拒否権はない
『皇太子妃 皆 皇太子妃に申し訳なく思っています
しかしこのままでは 皇室の未来が危ういのです 理解してください』
せめて 皇太子の問題が解決してから行きたいと懇願するチェギョン
しかしその願いは 聞き入れてもらえそうにはなかった
この情報を聞いたユルは 愕然とする
これが シンの言っていたことだったのだ…!
『考えたわね 皇太子妃を犠牲にすることで
太子の廃位論争に 終止符を打つつもりね
私からは そう簡単に逃げられないわよ!!!』
『もうやめてくれ!!!』
シンは 自分に許可なくチェギョンに言い渡したことで激怒していた
言い渡しながら 行くかどうかはチェギョンに任せると… それにも激怒するシン
『これは選択なんかじゃない! 皇室の暴力だ!!!』
しかしもう遅かった
チェギョンはもう 行くと返事をしてしまったという…!
『宮廷に入ったのも自分の選択だった 出る時も自分で選択する
背中を押されて行くんじゃない 自分で決めて 自分で責任を取るの』
『離れないって 約束しただろ?』
離れるのではなく しばらくの間 旅行に行くだけだと微笑むチェギョン
シンは その笑顔が悲し過ぎて泣き出してしまう…!
『お前の人生が一番大事だ!』
『家族の人生を守るのも私の人生よ 皇室は私の家族だもん』
シンは チェギョンを抱きしめてむせび泣く
その肩を抱きながら チェギョンも涙が溢れるのだった
テラスで塞ぎ込むチェギョンの前に ユルが現れる
自分のせいで外国に行かされるチェギョンに かける言葉もない
チェギョンは 自分の問題までシンに背負わせたくないという
結局チェギョンは すべてのことがシンのための選択なのだ
『シン君のためなら何でもできる でも… つらすぎる!!!』
『君か僕の どちらかが宮廷に来なければ 3人とも傷つかずに済んだかな』
『それでもシン君に会えて幸せだった』
『僕が望んでたのは 本当に小さいことだったのに…
貧しい農夫として暮らしても 太陽のような君の笑顔を見ていたかっただけなのに…
それさえも 叶わないんだな 最初から僕に許されるものなんて何もなかったんだ』
ヘジョン宮の シンを追い詰める謀略は終わっていなかった
ソ尚宮に対して 最後の指令が言い渡された
『私は鷲です 鷲は半生を生きると
残りの半生を生きるために 100日間 クチバシを研ぎ 爪を剥がし 羽を抜きます
そうして新しい姿に生まれ変わり また飛び立つそうです
私も14年間 自分の命を削りながら この瞬間を待ち続けていました
ついに終止符を打つ時が来たようです』
ソ尚宮は 孝烈皇太子が幼い時の乳母であった
今は太皇太后付きの尚宮だが 亡き皇太子の妻であるヘジョン宮に忠誠を誓い
義聖(ウィソン)大君が皇帝になることを 誰よりも深く望んでいるのだった
チェギョンは 皇室の休憩室で家族に会い 外国に行くことを告げる
絶対にダメだと 猛反対する母親!
父親は 行くと見せかけて実家に戻ってくればいいという
『国民に 嘘はつけない
皇室のために シン君のために これが最善の策なの だから許して』
娘が 一度決めたら揺るがないことを 家族は知っている
『私はまだ この国の皇太子妃よ
皇太子妃としての 責任と義務を果たしたいの』
家族に別れを告げたチェギョンは 侍従長に懇願する
残された少ない時間を シンと2人で宮外に出たいと…!
今どきの若者のファッションで 2人は街に出た
初めての路線バスに シンはオロオロするばかり!
あまりに自然なカップルに見えて 誰も気づかなかった
『私が住んでいた世界を見せたかったの』
ゲームセンターで 対戦ゲームを楽しむ2人
チェギョンにとっては 懐かしい外の世界
皇太子イ・シンには 一度も経験できなかった平凡な世界だった
(でも 皇太子だから君に出会えたんだ
もしお前が俺の前から消えても 今日のことは絶対に忘れない)
(私も 一生忘れないわ
私のこと どれくらい好き?)
(そんなこと 言わなきゃダメか?)
(胸に刻んでおきたいの)
シンは 明洞の街のど真ん中 人ごみの中でチェギョンを抱き寄せ キスをした
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