第18話 恵嬪(ヘビン)の悲劇 ![]()
ユン氏夫人が 宮殿入りする
大殿(テジョン)に入る前に 駕籠からソンイを出す
無事に戻ったソンイを チェ尚宮が出迎えた
※大殿(テジョン):王が住む宮殿
大殿(テジョン)で 贈り物は 王様からだと思い込んでいたというユン氏夫人
王にそんな暇があるかと 居丈高に言う恵嬪(ヘビン)ヤン氏
『王の祖母である私がしなくては そうですよね 王様』
『はい …祖母上』
目の前で 王が“祖母上”と呼ぶのを聞き ユン氏夫人は…
『大王大妃(テワンテビ)様はおられません 祖母上とは誰のことですか?!
王様の祖母上は… 先王のお母上であられる昭憲(ソホン)王妃だけです!』
※大王大妃(テワンテビ):先々代の王妃
『産みの親だけが親でしょうか 育ての親もまた親です
そうではありませんか 王様!』
『はい …祖母上』
側室の分際で“祖母上”とは…!
憤慨して出て来たユン氏夫人に ホン尚宮が…
『恵嬪(ヘビン)様は辞退されましたが 王様の意向で…』
『なぜ王族同士の話に口を挟むの?!
知らないフリをするのが尚宮としての礼儀では?!!!』
『聞こえましたもので』
『口答えしないで!』
ユン氏夫人は この女官長が チェ尚宮の話していた女官だと察する
逆鱗に触れたホン尚宮は青ざめ 黙り込む
怒りが収まらないのは ヤン氏も同じであった
自分の立場の危うさについては よく心得ている だからこそ憤るのだ
あまりの怒りに具合が悪くなり 退室するヤン氏
定順(チョンスン)王妃は ユン氏夫人の言うことが道理にかなっているという
それに対し声を荒げる端宗(タンジョン)
恵嬪(ヘビン)を大王大妃(テワンテビ)に任ずれば済むことだと!!!
さっそくこの“朗報”を 伝えるホン氏
恵嬪(ヘビン)ヤン氏は 大王大妃(テワンテビ)になれるのだと感涙する
首陽(スヤン)邸に 出産を終えたジョンが戻ってきた
ひどい難産であったため 戻ったのは半月後のことだった
嫁の実家に入り浸った息子に 嫌味を言うユン氏夫人
初孫を抱き上げる首陽(スヤン)大君
長男の月山(ウォルサン)大君は 後に数奇な運命をたどる
それは他でもない 母親が我が子の前に敷いた道であった
一方 シン・スクチュは 思いがけない王の言い分に手こずっていた
『王様 王妃でなかった恵嬪(ヘビン)様は
大王大妃(テワンテビ)になれません』
『恵嬪(ヘビン)は私の乳母で 実の母親も同然だ!』
『恵嬪(ヘビン)様は正室ではないため 大妃(テビ)にはなれず 従って…』
断固として譲らない端宗(タンジョン)王
大殿内官オム・ジャチが もっと融通を利かせろと怒鳴る
シン・スクチュが青ざめて出て行くと…
『どうだ?』
『結構です 君主の威厳に溢れておられました!』
実質を伴わない 端宗(タンジョン)の幼い政治である
それを見事に操るオム・ジャチであった
今夜も ユン・ソンイが 首陽(スヤン)邸に向かって走る
届けられた書状を やはり今回も読めないユン氏夫人
『チョン内官に伝えて 今後は口頭にしてくれと
万一 あなたが捕まった時に 証拠を残したくないの』
とはいえ この書状の内容が何なのか…
ユン氏夫人は 夜更けにもかかわらず 嫁の部屋を訪ねた
ジョンは 書を読んでいる
それは 見たこともない“文字”だった
『これは訓民正音です 今後は命令書にハングルも使われるとか』
『宮殿の人間でもないのに 関係ないわ』
※訓民正音:ハングルの解説書
『ハングルは 漢字より簡単だそうです お義母様も習われては?
お悩みがあって眠れないのですか?』
きまり悪そうにしながら ユン氏夫人は ソンイが届けた書状を見せる
この内容を受け ジョンは 姑と共に義父の部屋に向かう
ジョンに促され ユン氏夫人が 書状の内容を夫に伝える
『恵嬪(ヘビン)様が 大王大妃(テワンテビ)になるそうです
ご存知ないのですか? 黒幕はオム・ジャチです
王様を意のままに操る気です こんな状況を何と言えばいいのか…!』
『反逆です』
大それた言葉を いとも簡単に言ってのけるジョンに
桃源(トウォン)君が 諌めるような言い方をする
『あなたは黙ってて!』
すかさずユン氏夫人が 息子を叱りつける
政治において 常に桃源(トウォン)君は蚊帳の外であった
するとジョンが 心配はいらないと涼しい顔で言う
『妙案があるのか?』
『本来 王様が亡くなれば 側室は宮殿を出るのでは?
明国では 側室は殉死させられます 私の伯母たちも殺されました』
ジョンの言葉に なる程そうだったというユン氏夫人
それゆえ 恵嬪(ヘビン)様を浄業院に送るべきだというジョン
この名案に ただ1人 桃源(トウォン)君だけが青ざめている
浄業院は 後に定順(チョンスン)王妃が 宮殿を出て余生を送った寺である
王の承恩(スンウン)を受けた側室が 宮殿を出た後も静かに暮らせるように
市井から離れて隠居生活を送った 尼寺でもあった
桃源(トウォン)君は すっかりジョンに失望していた
子を抱く姿に 生まれ変わったと思えたが ジョンは以前と少しも変わらない
父の考えは間違っていると 登ってはいけない山に登ろうとしていると
桃源(トウォン)君もまた 少しも変わっていなかった
それでも 夫婦の情でジョンを抱きしめる
『宮殿で出会ったそなたは純粋だったのに 私は ただの夢だと思っていた
王妃を夢見るそなたが可愛かった
頼む…! 平凡に暮らそう
父親に関係なく 私たちの道を生きるのだ!』
何度も抱きしめてはジョンの顔を覗き込み 必死に懇願する桃源(トウォン)君
しかしジョンは もはや無表情になり 夫の話を聞いていない
ジョンの方こそ失望しているようだ
『そなたが口を開くたび 多くの者が死ぬ 分かっているのか!
恵嬪(ヘビン)を追放するだけでは済まない
父上は 王位に就くまで邪魔者を消し続ける
そんな父上を手助けするのか!!!』
『私は息子を王にします』
それが ジョンの答えだった
茫然として妻から離れ 去って行こうとする桃源(トウォン)君
『そうしてこそ生き残れるのです!
息子のためにも お義父様をお助けします
たとえこの身を犠牲にしても構いません
必ず 息子を王にしてみせます!』
再び 粛清が行われた
キム・ジョンソの腹心が 次々に連行され
家族と使用人は ひとり残らず殺された
『キム・ジョンソの残党は 反省するどころか徒党を組み
謀反を企てたため やむを得ず連行した
これは 私が退いた後の事態を憂うが故の措置である』
明らかに 首陽(スヤン)は王位を狙っているという学士イ・ゲ
学士ソン・サムムンは 今は信じるしかないという
不安になる恵嬪(ヘビン)ヤン氏を オム・ジャチが励ます
いずれ墓穴を掘って自滅するはずだと
しかしヤン氏は 待っているだけではダメだと主張する
次男が錦城(クムソン)大君と組んでいる状況に 懸けようとしていた…!
ハン・ミョンフェは 首陽(スヤン)に 身の安全を心がけるようにと言う
反対勢力は 同じ手で討って来るだろうという
『我々が決起した時 キム・ジョンソは油断して 奇襲を受けました
もし 奴が注意を怠らずにいたら勝てたでしょうか ご用心なさいませ』
出てくるミョンフェを ジョンが待っていた
『義父を狙うとしたら 宮殿の中ですわ
宮殿の門の警備を固めたのはそのためです どうお考えですか』
『私は 首陽(スヤン)様の参謀を自認していましたが
真の参謀は 若奥様です』
『義父が心配なのです 気を悪くなさらないでください』
ミョンフェは うやうやしくジョンを見た
『後日 私の命を救ってくださるなら 一生かけて恩返しします』
『その時が来たら お助けします』
『約束ですぞ』
『妙なことをおっしゃるのね 義父は ハン殿を殺したりしません』
『先のことなど分かりません』
仁粋大妃(インステビ)とハン・ミョンフェ
長年に及ぶ親密な関係は こうして結ばれたのである
宮殿では オム・ジャチが 厳しく内官たちを教育していた
体力作りから剣術 武術に至るまで 兵士に匹敵する訓練を義務付ける
そこへ 固く閉ざした門を 激しく叩く者が…!
司憲府(サホンブ)ホン・ユンソンが 取り締まりを名目に門を開けろと騒ぐ
対応したオム・ジャチは 管轄外だという理由で追い返そうとする
※司憲府(サホンブ):不正の摘発・法的処置を行う法権を持つ官庁
内官を見下すホン・ユンソン
しかし 先王の治世に重用されたオム・ジャチは
内官こそ王を守る重職だと自負している
『男を捨てた内官に 腹を立てては男がすたる!』
『何だと?! 誰に向かって申しておる!!!』
内官に見下され 激怒したユンソンが ジャチに襲いかかる!
ジャチは 内官たちに『殺せ!』と命じた…!
『私を殺せと命令しおったな! 思い知れ!!!』
激怒したユンソンは ジャチを半殺しの目に遭わせる!
これに刃向える内官は ひとりもいなかった
報告を受けた司憲府(サホンブ)は どう王様に報告しようかと戸惑う
見かねたハン・ミョンフェが志願し 自ら大殿(テジョン)に向かった
ミョンフェは 右副承旨(ウブスンジ)に昇格していたのだ
※右副承旨(ウブスンジ):王の秘書機関の官吏
王への報告と言いながら ほぼ恵嬪(ヘビン)ヤン氏への報告であった
すでに大王大妃(テワンテビ)を気取るヤン氏は
王の上を行く威厳を漂わせている
都承旨(トスンジ)を呼んだのに! と憤るヤン氏
※都承旨(トスンジ):王の秘書機関の長
ミョンフェは ヤン氏を無視し 端宗(タンジョン)王に向かって説明する
ホン・ユンソンは 内官たちの不正の噂を聞き
真偽を確認しに行っただけだと…
ところが 内官オム・ジャチが反抗し剣を向けたため 身を守ったのだという
厳しい口調で 直ちにホンを罷免し断罪をというヤン氏
ホンは務めを果たしただけだというミョンフェ
両者に詰め寄られて 幼い王はベソをかく
『王様!!! 王様にお仕えする内官たちが
欲に溺れていては 王様をお守りできません!
領議政(ヨンイジョン)様もそれを知り オム内官の処罰をお望みです!』
※領議政(ヨンイジョン):国政を統べ全ての官吏を代表する官職
首陽(スヤン)大君を引合いに出され 怯える端宗(タンジョン)
『直ちにオム・ジャチを罷免し!
司憲府(サホンブ)に その罪を裁くようお命じ下さい!』
答えかねて ヤン氏を窺い見る端宗(タンジョン)
下がれというヤン氏の叫びを またも無視するミョンフェ!
『王様の身辺警護は一刻を争います!
オムを野放しにすれば いずれ謀反を起こします!
王様! 今や宮殿は内官の天下です
取り締まらなければ 首陽(スヤン)様も王様を守れません』
政治を統べるという点では ヤン氏もまた詳しいわけではなかった
ここまで詰め寄られては どう言い返せばいいのか…
ミョンフェは さらに追い打ちをかけ
首陽(スヤン)大君が憂いている… と言い添えるのを忘れなかった
“謀反”を持ち出され かばい立てが過ぎれば 自分にも火の粉が飛ぶ
ヤン氏は これ以上の口出しが出来なくなった
『オム・ジャチの罪は それほど重いのか?』
消え入るような声で聞く端宗(タンジョン)
もはや威圧的にはなれないヤン氏が 長らく仕えたジャチに温情をという
『王様 こうなさいませ』
『何だ!話してみろ!』
『オム・ジャチの断罪は 王室の対面にも関わります
罷免し 謹慎させることで幕を引かれては?』
落胆するヤン氏
さらに消え入るような声で 端宗(タンジョン)はこれを了承した
『そして後任の大殿内官ですが… チョン・ギュンに任せては?
首陽(スヤン)様の意向です』
女官長ホン尚宮が 青ざめる
部屋の外では チョン・ギュンが 満面の笑顔になっていた
ハン・ミョンフェが下がり ジャチを守ってほしいと懇願するヤン氏
端宗(タンジョン)王は 次第に孤独になっていく危機感に怯えるのだった
首陽(スヤン)邸に現れたミョンフェは 問題がひとつ解決したと報告する
『恵嬪(ヘビン)はそのままにしてよいのか?』
『すぐに解決するでしょう』
重傷に喘ぐオム・ジャチは 王様に会わねばといって起き上がろうとする
『近いうち 首陽(スヤン)大君が… 王様に譲位を迫る…!
王様… 首陽(スヤン)大君を討つのです! さもないと王位を守れません!』
新たに内官を率いるチョン・ギュンが 首陽(スヤン)大君に挨拶する
首陽(スヤン)の横には 嫁のハン・ジョンが座り 義父の言葉を代弁する
内官の全体は 尚膳(サンソン)を筆頭に 官位を持つ内官は59名
修行中の内官は 200名以上にもなる
すべては 内官で守りを固めて来た先王が采配したことである
『それほどの数が必要ですか』
若い嫁が 首陽(スヤン)大君を差し置いて言い放ち チョン・ギュンは戸惑う
だから臣下の意見が通らないのだと 首陽(スヤン)大君に意見している
『病弱な文宗(ムンジョン)が大殿(テジョン)の門を閉じ 内官に頼ったため
オム・ジャチが専横を行ったのでは?!』
『そ… そのとおりです!』
『生計を立てるため 内官になった者も多いとか!半分に減らしなさい!』
チョン・ギュンは 驚きの表情で首陽(スヤン)大君を窺い見る
すると 返事はどうした!と 怒鳴られてしまう
すなわち この嫁の言葉はすべて 首陽(スヤン)大君の言葉ということか…
『若奥様は怖いお方でしょう? まさに女傑です』
イム執事が チョン・ギュンの反応を面白がって声をかけてくる
内官を半分に減らすのは骨が折れると言い イム執事は門の外で見送る
大殿内官に抜擢され 有頂天になっていたが…
これは大変なことになったと 身を引き締めるチョン・ギュンだった
チョン・ギュンを 短絡的な男のようで心配だという首陽(スヤン)
だからいいのだと答えるジョン
『後先を考えず事を進めますから』
『…今のは皮肉か?』
『とんでもない』
『王妃にしろと頼んだ時から 私を見抜いていたな
あの頃 私がキムに勝つとは 誰一人として予想しなかった
確かに… 短絡的だからキムに 勝算のない勝負を挑んだのだ』
『違う点もありますわ
チョン内官は私欲が先立ちますが お義父様は国をお考えです
違いますか?』
『私の負けだ ワッハッハ…』
言いたいことを言い合って 笑い合う舅と嫁
その笑い声が ユン氏夫人の部屋にまで響く
何とも忌々しい嫁である
しかし 政治の上で大いに役立つ嫁に ユン氏夫人はかなわないのである
チョン・ギュンは 内官たちから 一切の武器を没収し
通いの内官には 出入りの際に身体検査を実行する
また 去勢していない者を割り出し 宮殿から追い出すことで人数を減らした
続々と減っていく内官に不安を覚え 幼い王に詰め寄る恵嬪(ヘビン)ヤン氏
オム・ジャチを復職させなければ ヤン氏の立場までが危ういのだ
『私にそんな力はありません!』
オム・ジャチにおだてられ 王の威厳をはき違えて来た幼い王である
後ろ盾もなく 王として何をすべきかも分からない端宗(タンジョン)であった
起き上がれるようになったジャチが チョン・ギュンの部屋に現れた
身寄りのない内官たちを追い出すなんてと責めるが ギュンは取り合わない
『出世に目がくらみ 罪なき者を苦しめるのか!
この人でなし! いつか地獄に落ちるぞ!!!』
大した忠臣ぶりだと 鼻で笑うチョン・ギュン
オム・ジャチが 王のために出来ることは もはや何一つなかった
夜になり 首陽(スヤン)邸を訪ねるハン・ミョンフェ
首陽(スヤン)は 嫁を相手に象戯(サンヒ)で戦っている
※象戯(サンヒ):将棋のこと
一手待ってくれと言っても 嫁は嫌だと答え
もう負けたと 盤を引っ掻き回す首陽(スヤン)…!
『お義父様!駒を取られただけで降伏するのですか?!』
『覚えたばかりなのに私より上手だ! ワッハッハ…』
象戯(サンヒ)は 囲碁と違い 身分に関係なく楽しめる娯楽だった
戦いを放棄した首陽(スヤン)は ミョンフェとの話し合いにジョンを同席させる
ミョンフェは オム・ジャチの次は恵嬪(ヘビン)なのだが 妙案がないという
『淑嬪(スクピン)がいます 文宗(ムンジョン)の側室ホン氏です
淑嬪(スクピン)には子がなく 王様は息子同然の存在では?』
首陽(スヤン)もミョンフェも ジョンの話に合点がいかない
それが恵嬪(ヘビン)を追い出す名分になるのか…?
『恵嬪(ヘビン)には息子がいます
王様の祖母と認められれば 2人の息子は王様の叔父になるのですよ
王室の序列が乱れます』
どうだ?と ミョンフェの方を見る首陽(スヤン)
考え込むミョンフェ
『お分かりになりませんか?
側室の息子が王の叔父を語るなど 言語道断です』
ハッとするミョンフェ!
部屋の外では 桃源(トウォン)君が青ざめている
妻の言葉で また新たな血が流れると…!
直ちに 恵嬪(ヘビン)の長男ハンナム君が捕えられた
潔白だというハンナム君に ヤン・ジョンが怒鳴りつける!
『王様の叔父をかたって私腹を肥やしたな!!!』
ハンナム君が 残酷な拷問に耐えている頃
次男ヨンプン君は 恵嬪(ヘビン)の部屋に逃げ込んでいた
『兄上は気が弱いので 自白を強要されます!
きっと私たちも 無事では済みません!』
『何て男なの?!私の息子まで巻き込むとは!!!』
そこへ 大殿内官チョン・ギュンが ヨンプン君を引き渡せとやって来る
『私を誰だと思ってるの!
王の祖母に向かって乱暴を働く気?!!!』
部屋に押し入り ヨンプン君を連行していく内官たち
泣き叫ぶヤン氏に チョン・ギュンが言い放つ!
『恵嬪(ヘビン)様 体面をお考えください!
王様の“祖母”が泣き叫んでいいのですか?! ウッハッハッハ…』
憔悴しきっている端宗(タンジョン)を 桃源(トウォン)君が訪ねる
父上が思い出されるとつぶやき さめざめと泣く端宗(タンジョン)
『従兄上 こんな時 私は父上を恨みます
王にならなければ…! 気楽に生きられたのに』
『王様…』
『私を守ってくれる人は誰もいません』
『王様! この私が…』
その先の言葉が出てこなかった
守ると言えば嘘になると 桃源(トウォン)君には分かっていた
すでに動かなくなった兄の隣で ヨンプン君が拷問される
夜になり 泣き続ける恵嬪(ヘビン)ヤン氏に パク尚宮が…
『お2人を救う方法は1つだけです 自ら宮殿を出られれば…』
『……』
『お2人が死んでもいいのですか?!
恵嬪(ヘビン)様 お2人は壁が崩れるほど悲鳴を上げておられます
なのに 見て見ぬフリを?』
『黙りなさい!私は絶対に宮殿を出て行かない!
死んでもここを離れないから いっそ私を殺すよう伝えなさい!!!』

☝ <ランキング参加中>
よろしければクリックお願いします

