月 第12話 ナナの窮地 月

『逃がしただと?! まさかシティハンターか!!!』

シクジュンがナナを運べる病院は チン・スヒの動物病院しかなかった

しかし あまりにも出血がひどく スヒは とても無理だという

病院には行けないと言い 拒否するナナ

『動物病院じゃ人は救えない!輸血用の血液もないのよ!』

『俺の血を!O型だからいくらでも使って!!! ナナを助けてくれ!』

すぐにユンソンの血液が輸血され 銃弾の除去手術が行われた

ユンソンは ナナを屋敷に運ぶ

すでにナナは キム・ジョンシクに狙われている

守るためにはここしかなかった

『休め 仕事にも行くな』

シクジュンが ナナの叔父を装い職場に休職を願い出る

狙われている2人を残し ユンソンが ナナの着替えを取りに行く

再会してから何も話していないナナとシクジュン

ようやく落ち着き ナナは…

『あの時 なぜ証言を覆したの?』

『賭博罪で執行猶予中の俺を キムが脅してきたんだ

証言を変えなければ してもいない罪を被せると』

『それで ウソをついたの?』

『すまない その代わり必ずキムをやっつけてやる!

命を懸けてもいい ユンソンと一緒に頑張るよ』

『彼とはどういう関係?』

『タイにいた時の恩人だ

ユンソンが韓国に戻ることになって お前のことを頼んだんだ』

影ながら見守って来たシクジュンは ナナに会い すべてを話したことで

今度は大っぴらに 堂々とナナの面倒を見ることができるようになった

戻ったユンソンは 部屋のような金庫に 2千億ウォンがあったと話す

『元は授業料だろ 横領できるってことは取り過ぎなんだ!』

『学校は金儲けの手段だ 自慢の奨学金制度も支給規模がすごく小さい』

その時シクジュンが 照明に仕掛けられた盗聴器を発見する!
激怒して父ジンピョの屋敷に行くと 話し声が聞こえ 隠れるユンソン

『ユンソンが彼女を切れないのなら 俺が処理する』

『処理とは?』

『消すのさ』

怒鳴り込もうとして 再び立ち止まる

『ギョンヒの行方は?』

『ソウル近郊の病院までは全て調べましたが いません』

『ユンソンが気づく前に全国の病院を調べろ!』

サングクは なぜ「ユンソンは死んだ」と言ったのか…? と聞く

ギョンヒは それがショックでいなくなったのだと言いたいのだ

『お前は考えが甘い!

ユンソンを奪って来た時に 俺は退路を断ったんだ!』

『なぜユンソンには 「母親が捨てた」なんてウソを?』

(奪って来た?)

フラフラと出て行くユンソンに サングクが気づく!

すべてを聞かれたと察するジンピョ

唯一生き残ったジンピョは 復讐に生きるしかなかった

親友ムヨルの分身であるユンソン

その成長を見ながら ジンピョは 無念に死んだ同僚たちを胸に刻んできた

その思いが薄れそうになると ユンソンを見て復讐心を駆り立てたのだ

そんな告白を聞いたところで ユンソンの気持ちが慰められることはない

『俺は平凡に行きたかった 父さんのことを絶対に許さない!』

『復讐は終わってない 忘れるな』

『親の復讐は俺1人でやる 父さんとの戦争からも逃げないよ

俺は絶対に負けない シクチュンおじさんと母さん そしてナナ

大事な3人に手を出したら ただじゃおかない

これは父さんへの 最後の警告だ』

『それでも “父さん” と呼ぶのか』


ずっと母親を恨んで生きてきた人生を思う

母親こそ 息子を奪われ 泣いて生きてきたのだ

ユンソンのやり切れない思いは 行き場を失った

ナナは 起き上がれるようになると スヒのもとへ行くと言い出す


『私のことで仕事を辞めないでほしい 好きな仕事でしょ

イ・ユンソンさんの人生から消えてあげる

約束するわ 私たちが出会う前に戻ると

助けたのは 借りを返しただけだから気にしないで』

『行くな 頼む ここにいろ』

それでも行こうとするナナを ユンソンは本気で止めた

今度こそ本心から ナナを抱きしめた

イ・ジンピョは 手元に残っている認識票を見つめる

無念に海底へ沈んで行った仲間を思う

そして残酷にも生き残った 自分の使命を…

(ムヨル 裏切った者どもに必ず復讐してやる

俺を邪魔する者は 皆 殺してやる たとえそれがユンソンであっても)

一方 キム・ジョンシクは 金庫の2千億ウォンを確認していた

シティハンターがこれを見たなら 一刻も早く対策が必要だった

もう一度 ぺ・マンドクとキム・ナナを拉致し

シティハンターをおびき出さなければならないが

マンドクの行方は分からないし ナナが官邸の警護官だという情報しかない

ユンソンとナナは 次第に以前の関係に戻りつつあった

憎まれ口をたたき合いながら仲良く暮らす関係に…

『今後は少しおとなしくしろ』

『命の恩人に命令する気?』

『ここに住め キム・ジョンシクに見つかると面倒なことになる』

それでいながら ナナを事件に関わらせようとしないユンソン

それはナナを守るためであったが ナナは協力したがった

『手伝わせて 私も彼には恨みがある』

『出しゃばるな』

『お願い!両親の仕返しをしたいの』

イ・ジョンシクを調べるユンソンの横で

ナナは 行方不明のギョンヒを捜す手伝いをした

青瓦台では…

ユンソンが辞表を出した途端に ナナが休職したことで

ウナは2人の関係を勘繰っていた

すると ソン課長が とうとうユンソンの携帯が繋がらなくなったと焦り出す

どうしてもユンソンに復帰してもらいたいソン課長は

コ・ギジュンとシン・ウナを連れ ユンソンの家に向かう!

『課長 本当にここですか?』

『人事に聞いて来たんだ』

『本当に宮殿みたいだわ!』

モニターに映る3人に驚くユンソン!
まずはナナを隠さなければならない

ソン課長は 辞表を撤回するまでは動かないと言い

ウナは 豪華な屋敷を見学したいと言い出す

どうにかナナを隠し通し ようやく3人は帰って行った

一方 2千億ウォンの存在を知ったイ・ジンピョは その金を奪い

息子のキム・ヨンジュに送りつけると言い出す

『父親が横領した金を 息子はどうするかな どう転んでも面白くなる

良心ある検事として 父親の不正を暴くのも悪くない

父親をかばって 金を返しても構わん

検事が父親の不正を隠蔽したという事実が 国民に広く知れ渡るだけだ』

絶対に 父イ・ジンピョも動くことを ユンソンも予想している

一度だけ会ったことがあるナナは ジンピョに好印象を持っていたが…
“実の父親”のことまでは まだ話していないのだ

『もしかして 病院でイ・ギョンワンを殺したのは… お父さん?』

キム・ジョンシクは 抗議活動を続ける学生たちの前で

経営が苦しい大学のために奔走すると 誠心誠意の演説をする

抗議は政府に対し行うもので 理事長ジョンシクには感謝している学生たち

『私たちは 政府による支援を勝ち取ります』

『それが皆さんの考えなら仕方がない 皆さん 頑張ってください』

学生に対し 深々と頭を下げるキム・ジョンシクは

清廉潔白な理事長を演じ切った

『当校出身という肩書をもらえるんだ 学費など安いものだ

奴らがやめたら 金持ちを編入させるさ

どうせこの社会は 金がものを言うんだ』

大学には 毎日業者が入り 盗聴器がないか調査されている

厳重にチェックが行われる大学に対し ユンソンは思いがけない対策を練る

歯科治療中のキム・ジョンシクの歯に 盗聴器を仕掛けたのだ

歯医者から戻ったキム・ジョンシク

すると 匿名で多額の奨学金を寄付したいという人物が

理事長に直接会いたいと言い 訪ねて来るという

その頃ユンソンは ナナの荷物を取りにスヒの動物病院に行く

すると病院には ナナを撃った男が…!

結局 何も持ち帰れず帰宅するユンソン

何をするにも不自由なナナは “足長おじさん”のことを思い出す

『キム検事が力を貸してくれないかしら?誘拐されたと言えば…』

『俺はあいつに追われてるんだぞ』

自分の宿命について 何もかもナナに話すことは出来ない

それでも ナナとの暮らしは穏やかに過ぎて行った

キム・ジョンシクの歯に仕掛けた盗聴器で 動向を探っていると…

匿名で奨学金を寄付するという人物が 大学に現れた

10億という多額の寄付をするという人物に せめて名前を と聞くジョンシク

『イ・ギョンヒです』

驚いて立ち上がったユンソンは そのまま大学へ向かう!

すれ違うユンソンとギョンヒ

ユンソンは とうとう会えないまま 落胆して戻った

『乳母が死んだ時を思い出す』

『どういう事情があるの?』

『俺の口からは言えない 直接ユンソンに聞け』

キム・ジョンシクは ギョンヒの預金通帳と印鑑を 内ポケットに入れ

すべて心得ている秘書に 大金を手づかみで渡す

その後ユンソンは キム・ジョンシクの行動を徹底的に探る

夫人を連れ 豪快に買い物をするジョンシク

秘書との会話に 気になる情報をつかむユンソン

『コンテナの準備をしておけ』

『分かりました』

(コンテナ?)

キム・ジョンシクは 大量の段ボールを屋敷に持ち込み

2千億ウォンの箱詰め作業を1人でやり始める

これだけは 誰にも任せることは出来ない

(無抵抗のまま やられたりはしない)

一方 キム・ヨンジュは 父ジョンシクの大学の資産がおかしいと気づき

直接聞こうと 屋敷に戻り 信じがたい光景を目にする

言い逃れの出来ない状況に ジョンシクはうろたえる

『どういうこと?この金は何?

なぜ大学の資産の積み立てが 2千億足りないんだ?!』

シティハンターは 残忍ではないが 最も恥ずべき姿を晒させ

国民にその罪を公開する それはある意味 最高に残酷な処刑であった

ヨンジュは 父親にそんなことになってほしくなかった

『このお金を財団に返すか 自首を…』

『断る どこの大学も同じだ それなのに なぜ私だけを責める?』

『法律は守るべきだ これは父さんの金じゃない

尊敬してた父さんに戻ってくれ 息子に逮捕されたいのか?』

『出来るものなら… やってみろ』

奇しくも 父と子の確執を耳にするユンソン

『キム検事 苦悩が始まったな 期待してるぜ

いよいよ明日だ!』

2千億ウォンに仕掛けた発信器は コンテナから発信している

『お金を奪ってどうするの?』

『必死で納めた人に返してやるんだ』

『カッコいいな』

『金を奪ったら父さんが現れるはずだ でも絶対守り抜く』

コンテナを運ぶトラックごと奪ったユンソンたち

トラックを運転するユンソン

そこへ イ・ジンピョの車が並走する!

ナナを乗せ シクジュンの車がこれを妨害した!

それに怯むジンピョではない

すぐに方向転換し ユンソンのトラックを待ち伏せる

道のど真ん中に車を横付けし 立ちはだかるジンピョ

ユンソンは トラックを停めるしかなかった

『その金を渡せ キム検事に送る』

『この金は学生に返したい それから奴に復讐する』

『まだ俺と争う気か』

『警告はした』

杖で したたかに打ち据えられても ユンソンは痛みに耐えた

『なぜ反撃して来ない!俺を倒せばいいだろう!!!

戦争では 相手が誰であれ勝たねばならぬ』

トラックを運転し 立ち去る父ジンピョを ユンソンは無言で見送る

しかし ジンピョが持ち帰ったコンテナの中は 空だった…!

コンテナのトラックは2台用意されていた

3人は ごく小さな箱に金を詰め替えていく

“理事長が流用した金を取り戻しました

「学費を半額に」が実現しますように シティハンター”

そんな文書が添えられ 学生たちに郵送された

2千億ウォンが奪われたと知ったキム・ジョンシクは

激怒のあまり 失神してしまう!

ようやく大仕事が終わり いよいよキム・ジョンシク本人への復讐が始まる

その前に腹ごしらえだと シクジュンは2人に買い物を頼む

2人は久々にスーパーでの買い物を楽しんだ

帰ろうとして 自動ドアに向かって走って行くナナ

追いかけるユンソンの前でドアは閉まり 開かなくなる

突然スーパーの照明が消え 1人だけ外に締め出されたナナ そして…

ナナを狙い 1台のバイクが暴走してくる!!!



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