第4話 42人目の犠牲者 ![]()
密本(ミルボン)の書を取り戻さねば!
傷を負い 追われながらも奪われた馬の向かった先へ急ぐチョン・ドグァン
是が非でも そのドグァンを捕らえなければならないチョ・マルセン
そして 亡き父の遺言が入った巾着を取り戻したいトルボク
武官ムヒュルは 世宗(セジョン)の命を受け
チョン・ドグァンとギジュンの父子を救うべく 同じ森の中にいた
背後からの気配に 思わず剣を揮うと そこに倒れ込んだのはトルボクだった!
その腕からは血が滴っている
(幼い子供が これほどの殺気を放つとは)
今 トルボクに構ってはいられない
速やかにこの森から離れろと言い残し ムヒュルは先を急ぐ!
暗闇から飛んできた矢に 再び射抜かれたチョン・ドグァンは覚悟を決める
馬を奪って行った者が落とした巾着 これが唯一の手がかりだ
是非とも密本(ミルボン)の書を奪い返せと
それを息子のギジュンに伝えろと言い 自ら投降するのであった
しかし 投降するどころか ドグァンは無数の矢に攻撃され絶命する!
命を受けた側近もまた矢に倒れ 瀕死の状態でギジュンのもとへ辿りつく
虫の息の中 ドグァンの死を告げ 巾着を渡し こと切れる
トルボクは 切り株の陰に隠れ チョン・ドグァンの遺体が運ばれていくのを見る
しかし 巾着を取ったのはもう1人の男の方だった その男はどこへ…?
するとそこへ トルボクが乗り捨てた馬が現れる
巾着を探す手がかりにと トルボクは馬につながれた荷物を手に森を出た
ムヒュルが目撃したのは チョン・ドグァンが殺される場面だけだった
今はただ ギジュンの生存を願うのみの世宗(セジョン)だった
トルボクは はぐれてしまったタムを捜す
タムを責めたままの生き別れとなってしまった
奴婢たちが皆殺しにされ その遺体が山のように捨てられていた
死臭が立ち込める中 トルボクは必死にタムを捜す
すると 遺体は見つからなかったが 自分が贈った口紅の小箱が見つかった
この積み重なった死体の山の中に タムがいるのだと確信するトルボク
あんなに仲が良かったのに 最後は口汚くののしてしまった
それを思うと 後悔の念が押し寄せるトルボクだった
(必ず… 必ず戻って来る!)
それから年月は過ぎ去り…
幼かったトルボクは少年になり 北方の女真族と戦う軍隊につきまとい
とうとう入隊を許されることになった
(見ていてくれ 父さん 見ていてくれ タム
王だか何だか知らないが 黙ってはいない!)
宮殿では 太宗(テジョン)イ・バンウォンが危篤状態であり
その枕元には世宗(セジョン)イ・ドが…
誰も殺すことなく 剣ではなく言葉で説得し
誰も見捨てることなく ひたすら忍耐して待つという
その考えに今も変わりないかと聞く太宗(テジョン)
『いずれ… 必ずお前は私の墓の前にひざまずき
どれほど愚かだったか 告白しながら泣くことになる』
世宗(セジョン)は 父太宗(テジョン)の耳元に囁く
『朝鮮の王の座は そんな暇を持て余す座ではありません』
何だと?! と起き上がり胸ぐらをつかもうとする太宗(テジョン)
しかし もはやその余力は残ってはいなかった
『やり抜くんだ… 成し遂げろ!
そうなれば… お前を王として選んだことが… 私の最大の業績になる』
そういい遺し 太宗(テジョン)イ・バンウォンは 息を引き取った
ようやく… ようやく世宗(セジョン)イ・ドの治世が幕を開けるのだ
イ・バンウォンのいない天下が訪れて また年月が過ぎ去った
庭園にたたずむ世宗(セジョン)を 側近が迎えにくる
『殿下 まもなく賀礼(ハレ)が始まります』
『賀礼(ハレ)は… おふざけだ』
『皆が聞いております どうかお言葉に…』
『賀礼(ハレ)!大礼(テレ)!朝礼(チョレ)!嘉礼(カレ)!
なぜ王には儀式が多い!!!
すべて世子(セジャ)に任せたのに なぜ私も同席する?!ちくしょうめ!
読書や政事だけでも忙しいのに… 馬鹿げてる!』
王室にあるまじき下品な言葉を 平気で使う世宗(セジョン)
側近や尚宮たちは オロオロするばかりである
しかし世宗(セジョン)は この世俗的な言葉遣いを気に入っている
王室の言葉よりも より的確に気持ちを表現できると…
そこへ 今日の経筵(キョンヨン)を中止してはどうかと 官僚が言いに来る
ただ読書するだけだと言って建てた集賢殿(チッピョンジョン)では
これでもかとばかりに 毎日のように経筵(キョンヨン)が行われ
官僚たちは辟易していたのだ
※経筵(キョンヨン):重臣・文官たちが王に対し儒学や歴史を教える勉強会
※集賢殿(チッピョンジョン):国家及び王室のための研究機関
先王太宗(テジョン)が打ち出した政策を ことごとく議題にかけ見直していく
譲位されてから 自ら決裁した政策であったが 当時は意見すら言えなかった
それらを 今になってすべて作りかえようという勢いである
自分たちの権利を守りたい官僚たちだが
ことごとく 集賢殿(チッピョンジョン)の学士たちに論破されてしまうのであった
『計画的につくられた殿下の親衛隊です!』
しかし 今日だけは 負けるわけにはいかなかった
太宗(テジョン)が掲げた“部民告訴禁止法”だけは守り抜かねば…!
そして 気の重い経筵(キョンヨン)が始まる
世宗(セジョン)イ・ドは 座ることなく 少しもじっとせず動き回っている
それさえも 官僚たちには目障りで落ち着かない
『“部民告訴禁止法” なぜこれを再議するのか
奴婢と民に 主人と守令(スリョン)の告発を禁じた根拠は?』
※守令(スリョン):現代の長官
チョ・マルセンが
唐に習うとすれば 主人の反逆を訴える者はすべて斬れということだと答える
世宗(セジョン)は マルセンの前にドカッと座り込む
『斬れと言ったのは 間違いなく告訴をした民か?
“主人の反逆を”訴えた者たちではないか?
なぜ“反逆”を省き 一般化したのだ?』
『それは昔高麗(コリョ)が…』
『高麗(コリョ)は滅んだ国だ 今は性理学の時代だ』
『朱子が孝宗に言うには… 下の者が上の者に逆らったり
低位の者が高位の者を侮った場合 たとえ正しくとも認めてはならないと…』
言いよどむマルセンの言葉を 領議政(ヨンイジョン)ファン・ヒがつなぐ
『朱子のお言葉は 国の根幹に関わることです
下の者が上の者を誣告(プコク)すれば 中傷や投書で国の根幹が揺らぎます』
※誣告(プコク):事実を偽って告げること
相次ぐ進言に 世宗(セジョン)は嬉しそうに笑う
そして 是非“2つ”の質問に答えてほしいと言い出す
ここで集賢殿(チッピョンジョン)修撰ソン・サムムンが首を傾げる
打ち合わせでは 王様の質問は“3つ”あるはずだと…
同じ時 内禁衛長(ネグミジャン)ムヒュルのもとへ 北方の軍から来た使者が
武官の死を報告する文書を持ってきた
『コ・インソルは殺された 殿下にお会いする 使者は帰ったか?』
『キム将軍の計らいで兼司僕(キョムサボク)に入りました』
『この事件に関する話を聞いておけ』
※兼司僕(キョムサボク):騎兵を中心とした親衛隊の精鋭軍
ムヒュルは 部下に言い置き 経筵(キョンヨン)中の世宗(セジョン)のもとへ
集賢殿(チッピョンジョン)では 官僚に対し世宗(セジョン)が…
『この朝鮮では諫官(カングァン)が王の命に反し勤務を拒否する
朱子の言葉に反することではないか』
※諫官(カングァン):国王の不正な行為や過ちを諌める官吏
『性理学の国で 朱子の言葉に反するなら 全員を免職させるべきだな』
『ご命令を承政院(スンジョンウォン)に伝えます』
※承政院(スンジョンウォン):王命伝達と臣下の上奏を行う官庁
速やかに答える修撰パク・ペンチョン
官僚たちは皆 眉をひそめる
それにしても気にかかることは 王の質問が本当は“3つ”だということだ
ソン・サムムンは それが気になってしょうがない
『殿下 そうではなく…』
『朱子は瞬時たりとも民を忘れたことがない
質問には言葉を並べるのでなく 理によって答えてほしい
2つ目 もし民の訴えまで禁止すれば 守令(スリョン)は王より制約がない
では彼らを誰が統制する?』
『朝廷から諫官(カングァン)を派遣して調べれば…』
『訴えを禁じておいてか?官吏は誰から民の苦情を聞けるのだ?
守令(スリョン)に聞けば我田引水 民に聞けば矛盾する』
すると堪えきれず… とうとうソン・サムムンが
世宗(セジョン)の言葉を遮り 質問は3つだったと進言する
最も重要な質問が抜けていると…
若輩者のサムムンはたちまち官僚たちに罵倒され
王の言葉を遮ったと叱りつけられた
『殿下の3つ目の質問は…』
『まだ言うか!口を慎め!』
『それはこれだ!』
官僚たちの怒りを遮ったのは世宗(セジョン)だ
『まだ若いという理由で 考えが浅いという理由で 身分が低いという理由で
下剋上が起きるという理由で 国の根幹を乱すという理由で!
何か理由をつけて民の口を封じれば!
私は民の声をどこで聞けるというのだ?!!!
これが3つ目の質問だ!
そしてこの3つの質問が 私への質問の答えだ!』
ソン・サムムンは納得した
王は忘れていたのではなく 3つ目の質問を引き出すため
敢えてはじめは2つと言ったのだ
経筵(キョンヨン)を終えた世宗(セジョン)は ムヒュルに会う
コ・インソルの死が 巧妙に事故を装った計画殺人だったと知り
それが“例の物”のせいだとしたら…と ムヒュルは危惧する
“例の物”とは「毘婆沙論(ビバサロン)」という梵語の経典を指す
誰かが我々の計画を知っているのではないか…
そう感じた世宗(セジョン)は 使者に会い話を聞けと念を押す
ムヒュルが使者に会いに行くと 兼司僕(キョムサボク)に入った使者は
さっそく賄賂を使ったということで 棒叩きの処分を受け大騒ぎしていた
呆れながらも ムヒュルは その使者の男と面談する
『キム将軍の命でやって来たカン・チェユンだったな』
『はい!将軍の推薦で兼司僕(キョムサボク)に入りました!
つまらぬものですが…』
賄賂でさっそく罰を受けながら またも賄賂を使おうとするチェユン
激怒するムヒュルに対し チェユンは賄賂でなく“パラン”だと言い張る
『パラン?』
『女真族の言葉で 切実に必要な物のことです 私はパランを渡しました
夜のことで悩む人には 北方で入手したオルヌル剤
ある者は 妓生(キーセン)の心を得ようと必死なので明国の飾り物
必要な人と分かち合うのが人の情ではありませんか?』
※オルヌル剤:オットセイの性器で作った精力剤
お調子者のカン・チェユンに怒る気も失せて
ムヒュルは 自分のパランが分かるのかと聞く
それで調子づいて交渉しようとするチェユンに ムヒュルは今度こそ激怒する
さらにムチ打ちの罰を受けて フラフラになるカン・チェユン
しかし その目の奥はギラギラと燃える殺気に満ちていた
(奴が朝鮮一の剣客ムヒュル イ・ドの最側近)
夜の宮中の宗廟(チョンミョ)に立つカン・チェユン
屋根伝いに歩き 歩数を数えながら何かを調べている
※宗廟(チョンミョ):朝鮮王朝歴代の 王と王妃の位牌が安置されている
(107歩 朝賀(チョハ)の時 この場所に立つ そこから107歩…)
世宗(セジョン)は 経典「毘婆沙論(ビバサロン)」のことを心配していた
学士ホ・ダムに預けたのでご心配なくと言う側近チョン・インジ
それでも世宗(セジョン)は 集賢殿(チッピョンジョン)のホ・ダムに会いに行く
護衛を引き連れ向かう途中 行く手に1人の男が立っている
『お前は礼を知らんのか!』
『失礼しました 殿下!』
突っ立っていたのはカン・チェユン
護衛に怒鳴られ 慌ててひれ伏す
(5歩の距離だ 護衛も僅かに6人だけだ ムヒュルもいない
今なら8割以上の確率 剣が… 剣がない! あの剣を奪えれば…)
『兼司僕(キョムサボク)か?』
『……』
『この無礼者め!殿下がお尋ねなのだぞ!』
『ご…ご尊顔を拝して ただ当惑しておりました』
(7割の確率だ)
そこへ 内禁衛長(ネグミジャン)ムヒュルが現れた
(ムヒュルだ!
6割になった どうするカン・チェユン!)
ムヒュルがカン・チェユンに気づく
『なぜここに?キム将軍の部下です』
『兼司僕(キョムサボク)の勤務の帰りです しかし道に迷い…』
そうかと気にも留めず 世宗(セジョン)は集賢殿(チッピョンジョン)に向かう
ひれ伏したままのカン・チェユンを残し 一行は歩いていく
(どうする どうすればいい?)
その時 世宗(セジョン)が振り返った
『お前の名は?』
『……』
『こいつめ!陛下が名前をお尋ねなのだぞ!』
『……はい 殿下 カン・チェユンと申します!』
ひれ伏したままのチェユンを残し ムヒュルも加わった護衛を引き連れ
世宗(セジョン)は集賢殿(チッピョンジョン)へ…
すると 危惧していたことが的中する!
ホ・ダムは 何者かによって殺されていたのだ
翌日より 集賢殿(チッピョンジョン)は封鎖された
名目は 垂木が壊れ修理が必要というものだった
ホ・ダムの死は一旦隠された
『数日間は私家読書か津寛寺(チングァンサ)で書を読めという御命だ』
『副提学もご存じか?』
『お伝えしました』
※私家読書:休暇を与え自宅で学問に励ませる制度
ほとんどの学士たちは寺へ行くようだが ソン・サムムンは帰宅すると言い
なぜかパク・ペンチョンもついて行くと言い出す
世宗(セジョン)は 集賢殿(チッピョンジョン)大提学チョン・インジと
ムヒュルを前に 今回の事件に関し討議する
ホ・ダムの死と共に 経典「毘婆沙論(ビバサロン)」も消えたことが問題だった
『狙われました』
『それでは コ・インソルの死も今回の事件も あれを狙った同一犯なのか
誰かが私の計画を知って 同志を殺しているのだ!ちくしょう!』
この事件は何としてでも秘密にしなければと言うムヒュルだが
世宗(セジョン)は 自分の口も塞げないのに
どうやって人の口を塞ぐのかと言う
仕事中のカン・チェユンに 同僚パクポが近づいてくる
どうやらオルヌル剤が欲しいようだ
チェユンは 集賢殿(チッピョンジョン)が封鎖された理由が知りたかった
ペラペラと情報を流すパクポ
話しておきながら 絶対に言いふらすなと釘を刺され
俺は誰よりも口が堅いと言うチェユン
(集賢殿(チッピョンジョン)は誰もいない)
ホ・ダムの死を“過労死”として片づけた世宗(セジョン)だが
右議政(ウイジョン)イ・シンジョクは納得できず
また 殺人だという噂が出ているため
義禁府(ウイグンブ)で調査すべきだと進言する
※右議政(ウイジョン):左議政(チャイジョン)と共に領議政に次ぐ役職
※義禁府(ウイグンブ):重罪人を扱う 検察のような機関
『宮廷内で起きた不祥事を 世間に知らせるつもりか? 許さぬ!
多くの臣僚が集賢殿(チッピョンジョン)に持つ反感を 私は知っている
殺人事件の疑いありとして調べればどうなる!
つまらぬ噂が広がらぬよう努力してくれ!!!』
一方 パクポと2人で門番をしているカン・チェユンは…
突然の腹痛に顔を歪め 便所に行くと言いその場を離れる
向かった先は集賢殿(チッピョンジョン)だ
その歩数で距離を測り 入念に記録していく
(もし集賢殿(チッピョンジョン)のどこかに隠れたら…)
縄で封鎖されている場所は おそらく学士が死んでいた現場だろう
その封鎖の仕方に疑問を抱くチェユン
(本当に過労死なら なぜ現場を保存する?)
その時!
背後から現れたムヒュルに投げ飛ばされたカン・チェユン!!!
便所に行こうとして迷ったという またしても“迷った”という言い訳に
ムヒュルはチェユンを捕らえ尋問する
どう考えても便所があるとは思えない建物である
チェユンは 好奇心に駆られたと言い出す
『持ち場を離れるほどの便意を催しながら 好奇心が生じた?!!!』
『それは…』
『昨夜は子刻に集賢殿(チッピョンジョン)近くで殿下と遭遇し
今日は出入り禁止の集賢殿(チッピョンジョン)内で捕らえられた』
※子(ネ)刻:夜11時半から12時半
『現場の再確認ではないか?!』
『現場ですって?』
『昨夜はホ・ダムを殺害し 今日は証拠を消しに来た!』
(……急死でなく殺人事件!それに死んだ学士がホ・ダム)
『事実を言わねば生きてここを出られない!
生きたければ事実を白状しろ!』
将軍キム・ジョンソからの届け物を ホ・ダムに渡したのはカン・チェユンだった
そのホ・ダムが殺されたとすれば…
同じ時 将軍キム・ジョンソが北方から到着し 世宗(セジョン)に謁見していた
カン・チェユンが尋問されていると聞き きっぱりと関与を否定するジョンソ
『コ・インソルの死が 他殺だと解明したのも奴です
コ・インソルとは親友でした それがどうして… 殿下!』
『調査中だから すぐ明らかになる』
しかし この問題を事件化し 義禁府(ウイグンブ)に調べさせることはできない
ムヒュルやその他の官僚が動いても目立ち過ぎる
世宗(セジョン)は キム・ジョンソと共にムヒュルのもとへ向かった
カン・チェユンを犯人だと決めつけているムヒュル
もはやチェユンは のらりくらりとごまかすわけにはいかなかった
『正直に話します コ・インソルとホ・ダムの殺害犯は同一人物と考えます』
顔色を変えたムヒュルは 部下を外に出した
『何を言いたい?』
『左のバジの中を見てください』
※バジ:男性用ズボンのようなもの
バジの中には チェユンが書き記した“武官コ・インソル捜査日誌”が…!
この日誌こそ ムヒュルへの“パラン”だったと言うチェユン
その緻密過ぎる日誌に 言葉を失うムヒュル
『コ・インソルは 最も親しい友でした
私が事件の捜査もしました ホ・ダム学士が死んだと聞いて
現場を見るために集賢殿(チッピョンジョン)に入りました』
第一印象の 呆れるほどの調子のよさはない
ギラギラした目の輝きは 別人のようだ
どうにも判断がつきかねるムヒュル…
そこへ 世宗(セジョン)が来たことを告げる声がした
ひざまずくムヒュル
縛り付けられているカン・チェユンは下を向く
ムヒュルへの“パラン”に目を通す世宗(セジョン)
『この2つの事件の共通点は?』
『…まず ホ・ダムもコ・インソルも 翡翠色の包みを持っていました
犯人はそれを狙ったのです 次に…
2人の殺害方法は違いますが 事故死を偽装しています
最後に… 北方でのあの日も 昨夜も 共にミミズクが鳴きました』
カン・チェユンは 初めて世宗(セジョン)イ・ドを真正面から見据えた
世宗(セジョン)もまた カン・チェユンをじっと見つめる
『ホ・ダム事件の捜査責任者として カン・チェユンを任命する
兼司僕(キョムサボク)内で必要な人間を選抜しろ
事件を解決できなければ… お前が疑いを持たれる!
命を賭して遂行しろ いいな!』
息がかかるほどに顔を突き合わせる2人
立ち去ろうとする世宗(セジョン)の背中に カン・チェユンが叫ぶ!
『解決した時には!!!
卑しい私に… お願いがあります!』
『言ってみろ』
『もしも私がこの事件を解決し 犯人を捕らえ功を立てれば…お願いがあります
殿下が注いでくださる… 酒を1杯 頂きたいのです!』
無礼だと怒鳴りつけるムヒュル!
しかしカン・チェユンは無視し 必死に訴えた
『私が御酒を賜れば… 今は亡き父がどれほど喜ぶか!』
『解決しろ そうすれば私が 自ら酒を注いでやろう』
(必ず解決してやる
そして私の杯が満ちる前に死ぬことになる… イ・ド!)

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