§ 第44話 投獄 §

処決を保留にされ チャングムは内侍府(ネシブ)長の案内で別の場所へ…

すべては チェ女官長が内侍府(ネシブ)長に会う前に

ミン・ジョンホが画策したことだった

貞顕(チョンヒョン)王后の一件で

チェ女官長の真意を知った文定(ムンジョン)王后は

ハン尚宮が亡くなった経緯についても承知しており

チャングムのためにも真相を明らかにしようと決断したのだった

行った先には ジョンホとチャンドクが待っていた

この隠れ家のような場所で チャングムはチャンドクの協力のもと

王の病状を明かさなければならない

ミン・ジョンホは 行方不明とされているチャングムを

済州島に帰ったとだけ公表した

突然のことに驚く一同だったが 今は王の治療回復が急務だった

ミン・ジョンホは 内医正(ネイジョン)チョン・ユンスだけではなく

シン・イクピルとチョ・ウンベクにも脈診させるべきだと主張する

それは内医正(ネイジョン)を信じないのではなく 何でも試みるべきだとし

また 確信を持っているなら拒むこともないと言われれば返す言葉もない

2人の医官もまた傷寒症と診断し チョン・ユンスは自信を持った

別の病気を疑い 病簿日誌を盗み見てまでも証明しようとしたチャングム

ウンベクは 今回だけはチャングムの間違いかもしれないと言う

しかしイクピルは…

『私は いつからか断言できなくなりました

病簿日誌を見てみると 殿下は大小の病を多く患っておられます

病簿日誌に書かれぬ小さな病も多いはずです』

内医院(ネイウォン)は潔白を証明できた形になったが

水辣間(スラッカン)はまだ 食材の安全性を証明できていない

内医院(ネイウォン)と水辣間(スラッカン)は互いに潔白を主張し争うが

ユンスはどうにかして食材の安全性を証明し 和解に持ち込みたかった

その矢先 内侍府(ネシブ)が水辣間(スラッカン)の立ち入り調査に踏み切る

そればかりか チェ・パンスルの屋敷に家宅捜索を決行する

結果 水辣間(スラッカン)とパンスルの屋敷から大量の毒草が…!

女官の修練に使うものであり 屋敷のものは毒を抜いて使用し

また 決して宮中には納めていないものだと断言する2人


その中で 1つだけ蓋がされている小鉢があることに気づく内侍府(ネシブ)長

それは 最高尚宮(チェゴサングン)クミョンだけが使う調味料だと説明する

『我が家に代々伝わるものでして 和え物や鍋に使います』

『何で作ったのですか?

『代々伝わる秘法で明かせません』

『殿下の料理に入れるものだぞ!』

『秘法なのです 決して害は及ぼしません!先代から使っているのです

もし悪いのなら すでに何かあったはずです』

しかし チェ女官長の説明で医官たちは納得しない

小鉢の中には笑い茸が入っていたからだ

死にはしないが 麻痺の症状がでる毒キノコである

松茸だと言い張るチェ女官長だが それは明らかに笑い茸であった

『違います!違います!笑い茸など入れてません!』

『嵌められたのだ!必ず真相を明かしてやる!!!誰かの陰謀です!!!』

2人がどんなに叫んでも もう遅かった

どんなにチェ・パンスルが頼もうとも もはやオ・ギョモにも手立てはなかった

その頃チャングムは 王と同じ症状の患者の中で

施鍼のあとが腫れるという患者に気づき

王も施鍼のあとが腫れる という日誌の一文に注目する

是非とも現在の王の様子と ほかの医女の意見が聞きたかった

チャングムは 協力すると約束してくれたシンビへの伝言をジョンホに頼む

笑い茸を仕込んだヨリが 心から服従する人物は

今はあばら屋に住む 前女官長だった

チェ一族にその座を追われ 長い年月が過ぎた

ヨリは その前女官長の前にひざまずく

『間違いなく また身分を回復できます

飢えた私たち5人姉妹の面倒を見てくださいました

こんな目に遭わせたチェ女官長を許しません』

『お前にこんな事をさせるとは思わなかった すまない』

『とんでもございません

チャングムを渡せば信頼を得られるというのは本当でした』

『目の敵にしていたからね おかげでチェ女官長を追い出せた

ハン尚宮を追い出した同じ方法でね』

そこへ 右議政(ウイジョン)オ・ギョモの来訪を告げる声が…

オ・ギョモは 自分を招いた人物が誰かも分からず 輿に乗って来たのだった

前女官長の姿に驚くオ・ギョモ

『なぜチェ・パンスルなどと利益を分けるのです

すべて大監(テガム)の利益ではありませんか

チェ・パンスル 女官長 最高尚宮を追い出せば

大監(テガム)は商団を得られるのです』

『お前の望みは?』

『女官長の地位に戻していただければ十分です

罪人のまま終わりたくありません』

今や文定(ムンジョン)王后の心を変えられるのは

王の母である大妃(テビ)貞顕(チョンスン)王后しかいない

左議政(チャイジョン)に会い 貞顕(チョンスン)王后を説得してほしいと

チェ・パンスルから頼まれていたオ・ギョモだが…

シンビの調べにより 王は施鍼後 同じような症状になることの確認が取れた

『しかも 頻繁に発赤と発疹がありました

皮膚病というほどでもないし 記録してないのよ』

チャングムの中に 何かひらめくものがあった

しかしチョン・ユンスもまた シンビが医女たちに聞き回っていることを知り

同じことに気づき 調べ始めていた

そこへ 何か分かったかとヨリが近づいてくる

『チェ女官長に疑われて何も手につかん!』

『私がやりました』

『何?!!!』

『私は 前の女官長パク尚宮側の人間です』

『お…お前が!』

『ですがご心配なく オ・ギョモ様は心変わりされました

だから安心して治療に専念してください』

投獄されたクミョンを助けたい一心で チェ女官長はオ・ギョモと会うが

オ・ギョモはいつになくそっけなかった

チャングムの実家カン・ドックの家が ミン・ジョンホの隠れがになっていた

極秘捜査をするうえで ドックの調査も大いに役に立っていた

オ・ギョモが前の女官長パク尚宮と密会していた現場を目撃するが

それだけでは証拠として不十分だと言うジョンホ

ドックの妻は チャングムが済州に返されたというのに

ジョンホがいつになく冷静だと言って勘繰る

ひょっとしたら チャングムは済州に行っていないのではと…

翌朝 最高尚宮(チェゴサングン)クミョンに続き

チェ・パンスルとチェ女官長が義禁府(ウイグンブ)に連行された

厳しい取調べと拷問を受ける3人

それを見たヨンノは 青ざめて淑媛(スグォン)ヨンセンを訪ねる

『お許しください淑媛(スグォン)様!

私は決してそうするつもりでは…』

『下がりなさい』

『私はただ女官長様に命じられて…』

『けしからぬ…』

『どうか哀れんでお助け下さい 何でもします!

命じられても気乗りはしませんでした

昔 一緒に過ごした情があるじゃありませんか』

『情?情と言った?!』

『……』

『ハン尚宮様とチャングムを追い出したのも情なの?!』

『それは…』

『戻ったチャングムをもひどい目に…!』

『今回は本当に違います!

チャングムが殿下の病簿日誌を盗んだから内需司(ネスサ)が…』

『内需司(ネスサ)?内需司(ネスサ)がどうしたの?!!!』

『内侍(ネシ)たちに屍躯門(シクムン)に連れ去られただけです』

※屍躯門(シクムン):死体を運び出した門 光化門(クァンファムン)

せっかくヨンセンの病状を考えて内密にして来たことを

ヨンノはすべて話してしまった

衝撃を受け気を失うヨンセン

ミン尚宮とチャンイが駆け付け ヨンノを睨みつける

『死は免れないわ!チェ女官長までああなった以上は!!!』

『そうじゃないのに…』

チャングムの名を呼び取り乱すヨンセン

そこへ 呼ばれたシンビが…

『淑媛(スグォン)様 チャングムは無事です』

『ほ…本当?!』

誰にも秘密のことではあったが シンビは話さないわけにはいかなかった

ミン尚宮とチャンイを部屋の外に出し ヨンセンだけに真実を告げた

チャンドクと共に 中宗(チュンジョン)王の病の原因を模索するチャングムは

ようやくその治療法に希望が見え始めていた

そこへミン・ジョンホが チェ・パンスルとチェ女官長の投獄を知らせに来る

このままであれば チェ一族は崩壊し 王の命は絶望的で 自分の命も消える

しかし病の原因を突き止めれば 誤診が発覚し王の命は救われ

自分も宮中に戻れるが それはチェ一族をも救うことになるのだった

荒れ狂う海の岩場に立ち チャングムは考える

そして考え抜いた末…

今日も厳しい拷問を受け 牢に戻されたチェ女官長とクミョン

そんな2人の前に立つチャングム

『な…なぜお前が…!』

『どうして… どうして!』

それはまるで あの日の光景が逆転したようなものだった

『そこは ハン尚宮様と私がいた場所です

しかもあの時とまったく同じ理由です』

『お前が嵌めたのね!笑い茸を入れたのはお前ね!!!』

『私だと思いますか? そんな手は使いません そんな稚拙な手など』

『稚拙な手?! こんな状態だからと好き勝手を言うの?!

私たちはハン尚宮とは違う!絶対にやられはしないわ!』

取り乱すチェ女官長

じっとチャングムを睨みつけるクミョン

そんな2人を冷ややかに見つめるチャングム

『最後の機会を差し上げます』

『何の機会を?』

『今までの罪を償い 人間としてやり直す機会です』

『な…何ということを…!』

『心から反省し ハン尚宮様に謝罪してください

涙を流し 許しを乞うてください』

『けしからぬ!!!』

『言い訳でもしてみてはいかがですか?

人間なら… 人間ならそうすべきです』

チャングムが差し伸べようとする手を クミョンが払いのけた

誰に許しを乞おうとも チャングムだけには乞いたくない

自分が許しを乞うとしたらただ1人だけだと…

クミョンが許しを乞いたいミン・ジョンホは じっとチャングムを待っていた

徒労に終わるであろう面会の末 落胆するチャングムを気づかって…

前女官長パク尚宮とオ・ギョモは 着々と準備を進めていた

そうとも知らず チェ女官長は ただただオ・ギョモが救ってくれることを期待し

ユン・マッケに頼み はやく釈放してくれるようにと懇願していた

しかし 連日の拷問と取り調べが続く中 それを中断したのは…

ミン・ジョンホとチャングムだった…!

『止めてください!文定(ムンジョン)王后様のご命令です!』

『え?!』

『彼らは無実です』

『料理に問題はありません 誤診です』

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