◎ 朱蒙 第65話 ◎

チュモンたちが卒本(チョルボン)に向かい馬を走らせている頃

ソソノとサヨンは プウィヨムの船で南を目指していた

そして テソの呼び出しにソンヤンが応じていた

それはチュモンが戻る直前のことだった

プウィヨムを説得できたという朗報も 君長たちの不穏な動きにかき消された

ふたたび寝返ってテソと密会しているソンヤンを討つべきだという声に

彼は悪くないと チュモンが擁護する

これもすべて チュモンが死んだと伝わっているからであり

健在だと示せば解決することだと 皆が口々に話す

ソンヤンは 扶余(プヨ)が卒本(チョルボン)を攻めても

沸流(ピリュ)をはじめ他の部族は傍観すると テソに約束した

つまり ケルさえ掌握すれば扶余(プヨ)の勝利となるのである

勝ったも同然の戦であると豪語する家臣を テソが諌める

チュモンが率いたタムル軍であり 激しく抵抗するだろうと…

その頃イェソヤは ユリがいなくなったと動揺していた

ヤンソルランが連れ去っていたのだ

チュモンが死んだとなれば ユファとイェソヤはいずれ殺される

その時は ユリを我が子として育てようと考えているのだった

子供ができないヤンソルランは 立場上の危機を感じていた

王妃により テソには側室まで用意されてしまったのだ

危険な考えだと側近に言われても ヤンソルランは聞こうとしなかった…

戻されたユリを抱きしめるイェソヤ

そこへプブンノが来て 攻撃準備は整い漢から兵糧が届けば出陣だと報告する

出陣の前に どうしても逃げ出さなければ危険だと…

一方ヨンポは ファン大人(デイン)と共に扶余(プヨ)に戻ってきていた

扶余(プヨ)に役立つ人物だとして ファン大人(デイン)をクムワ王に会わせる

多くの過ちを犯したヤンジョンに代わり この戦いを監督しに来たと話すと

クムワ王は烈火のごとく激怒する

この戦はあくまでも扶余(プヨ)が主導するのだと…!

『存亡をかけた戦を 他国任せにする国はない!!!』

予想外の反応に ヨンポはファン大人(デイン)に謝罪する

しかしファン大人(デイン)は クムワ王の気性は心得ていると言い

玄菟(ヒョント)の太守だけを監視して行こうと話すのだった

真夜中 チュモンたちはソンヤンの寝込みを襲う

気配に目覚めたソンヤンは 目の前のチュモンの姿に驚く

チュモンが死んだと聞かされ 部族が生きる残るため仕方なかったと話すと…

『それで結構 私が生きていると他の君長に知らせず

テソ王子に従ってください』

『援軍と兵糧まで手にした扶余(プヨ)軍と戦うなら 勝ち目はないぞ』

『彼らは 私が死んだということと 各部族の不参戦で油断しています

この油断が彼らの弱点となります 我々が勝つでしょう 信じてください』

いよいよ出陣のときが迫り プブンノは今夜脱出するとユファ夫人に告げる

しかしユファ夫人はここに残ると言い プブンノに1人で行くようにと話す

この状況を一刻も早くチュモンに報告するべきであり

自分たちが一緒では遅くなってしまうと…

脱出の機会はまたあるが 卒本(チョルボン)が崩壊してしまえば

行き場がなくなると言うイェソヤに プブンノは仕方なく従う

プブンノが脱出しようとしていると テソに呼ばれてしまう

テソはプブンノに 別働隊を組み卒本(チョルボン)に潜入し

状況を把握し報告せよと命じる

こうしてプブンノは 堂々と扶余(プヨ)を出ることになるのだった

途中 プブンノは同行の部下を斬り捨て単身で卒本(チョルボン)に入り

チュモンに テソの作戦を細かに報告する

アクプ嶺(リョン)でテソと落ち合うことになっているプブンノに

チュモンは 沸流(ピリュ)川の草地に誘導するよう命じ

オイ マリ ヒョッポには 火責めの準備を命じた

タムル軍の砦に向かい チュモンは自分の健在を知らしめた

これにより兵士の士気が上がり 戦に向け勝利を誓う歓声が上がるのだった

チュモンの命令通り プブンノはテソを沸流(ピリュ)川の草地に誘い込む

夜になり 目的の場所にテソの軍が来るのを待つチュモン

消炭(ソタン)に火がつけば 一瞬にして辺りは火の海になるのだ

チュモンの合図で一斉に火矢を放つと 草地は火の海になった

次々に爆発する消炭(ソタン)で 敵はかく乱された

『退却だ!退却しろーーーっ!!!』

テソの合図で退却しようとするが 煙霧炭(ヨンムタン)でよく見えない

煙の中に テソは敵ではなく味方を斬っているプブンノを目撃する

プブンノに斬りかかるテソの前に チュモンが現れる

『おのれ… 私をだましたな!』

『だましていません 兄上の驕りが災いを招いたのです』

『こいつーーーっ!!!』

早く逃げるようにと ナロに促されるテソだが

チュモンに対する怒りで身動きできない

手傷を負い敗走のまま帰還したテソ

チュモンが生きていることを知ったクムワ王は 再びの出陣を許さない

これまで通り 国境を封鎖していればいいと ヤンジョンもクムワに同意する

テソは すべての怒りをプブンノに向けるが プブンノはチュモンのもとへ行き

その家族の行方も分からなかった

今になって 国境を越えた怪しい者たちがチュモンかもしれないと報告するナロ

食糧の確保について チュモンが何らかの策を講じた可能性が出てきた

チュモンの死を安易に信じ ろくに確かめもしなかったテソの落ち度だと

弟ヨンポに責められ 憤慨するテソは ヨンポをも殺しかねない怒りを見せる

もはや本当の兄弟とは思えないほどに 互いを憎み合うのだった

卒本(チョルボン)では 各地で疫病が発生し

加えて 飢えと寒さによって ものすごい数の死者が出ていた

ソソノが一刻も早く戻らなければ 滅亡の危機だった

チュモンは 始祖(シジョ)山の巫女ピグムソンの言葉を思い出す

「天の命を受けた者は 大将の他にもおりました へモス将軍です

ですがへモス将軍は 大業を成せませんでした

あるいは 大将もへモス将軍のように 試練に勝てず倒れるかもしれません」

「神器を得るには?教えてください」

「大将が自分で探さなければなりません

これから大将の未来は 漆黒の暗闇に包まれ険しい道が続くでしょう

誰も大将の道を 切り開いてはくれません

自ら火を灯し 道を探さなくてはなりません」

巫女ソリョンが チュモンに声をかける

疫病が続くのは 民の間に気力がないからだと話すソリョン

漢と扶余(プヨ)に対する不安や恐怖が 災いを呼んでいるのだと

チュモンは祭儀を開き ひたすら天に向かって祈りを捧げる

(天地の神よ 卒本(チョルボン)の民をお守りください

私の体が引き裂かれ病にかかって死のうとも 卒本(チョルボン)の民を

救えるなら… 私の体が糧となり高句麗(コグリョ)の礎が築けるなら

喜んでこの命を捧げます 私を連れて行き 卒本(チョルボン)を…

高句麗(コグリョ)を お守りください)

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