◎ 朱蒙 第54話 ◎
扶余(プヨ)に戻ったチュモンは 民衆から英雄として崇められ歓待される
テソが投獄され ヨンポは行方不明なのに 国を裏切ったチュモンが
このように歓迎されるとは… 王妃は怒り嘆く
クムワ王は自室にチュモンを招き 水入らずで語り合う
チュモンの活躍を称賛しながら それでもたった数百の兵で
数万の漢と戦うことは 無謀なことだと諭すクムワ王
タムル軍を解散し 扶余(プヨ)に戻ってはどうかと切りだした
プドゥクプルは このクムワ王の行動を予測していた
自分の復権と チュモンとの縁を切らない方法は これしかないのである
チュモンが応じればよし 応じない時はチュモンを始末せよと
フクチ大将軍(テジャングン)に命じるプドゥクプル
チュモンに好意を持っているフクチは 重い決断を迫られることとなった
大業のために 母と妻を残してまで扶余(プヨ)を去ったのに
宮殿に呼んだクムワ王の真意を知り チュモンは…
『タムル軍は 私だけを信じついて来た者たちです 見捨てられません』
『私も以前は お前が流民を率い 新たな道を進むのを応援した
その時は お前に何もしてやれなかったからだ だが今は違う
お前に… すべてを与えよう』
チュモンは 巫女ヨミウルの言葉を思い出していた
「テソ王子より恐ろしいお方は クムワ王だとお忘れなく」
巫女ヨミウルは 不吉な予感に襲われていた
ソリョンは 扶余(プヨ)に行ったチュモンの心配をしたが
ピョリハは 巫女ヨミウルの安全に注意が必要と言う
邪気がヨミウルを覆っていると…
チュモンは 久しぶりに会う妻イェソヤと 母ユファ夫人の前で浮かない表情を見せるが その真相を語ることは出来なかった
クムワ王に対しプドゥクプルは チュモンがタムル軍を捨てられないのなら
始末するべきと明言する
自分の決断がどのような影響を及ぼすか チュモンは知っていた
だからこそ迷っていたのだが 母ユファ夫人は チュモンの決断が
揺るがないようにと 今一度 大業の意味と価値を説く
プドゥクプルは チュモンとタムル軍の強い絆は 扶余(プヨ)の恐怖であり
だからこそ切り離さなければと言う
また チュモンの決心を鈍らせているのは巫女ヨミウルの存在だと主張し
ヨミウルを始末すると明言する
その頃 砦には怪しい動きがあった
黒装束の一団は砦の見張りを倒し 神殿に押し入り 巫女ヨミウルを襲う
ヨミウルは賊にさらわれ 残された巫女たちは動揺し怯える
チュモンのいない砦は騒然とし 急いで扶余(プヨ)のチュモンに伝令を送る
扶余(プヨ)では チュモンに同行したマリとチェサたちが
王の側近ソンジュと酒を酌み交わし 親交を深めている
フクチ大将軍(テジャングン)から もしもの時はチュモンを暗殺すると聞かされ
一行を監視するようにと命じられているソンジュの心境は 複雑だった
投獄されてまで ユファ夫人とイェソヤを守ろうとしてくれたことへの
感謝の言葉を チュモン自身から聞き ソンジュは恐縮する
そして罪悪感から つい打ち明けようとする衝動に駆られるのだった
息子チュモンの決断を待つ クムワ王
ユファ夫人もまた 息子の賢明な判断を待つ
チュモンは 自分の決断の行方を思い 眠れぬ夜を過ごす
真夜中 兵を配備するフクチ大将軍(テジャングン)
ソンジュは 複雑な思いのまま それを傍観していた
一夜明けた扶余(プヨ)の宮殿
クムワ王に謁見を求め ヨンタバルとソソノが宮殿を訪れる
ソソノは 睦まじく並んで歩くチュモンとイェソヤを見かけ動揺してしまう
娘の動揺に気づかぬふりをして ヨンタバルは クムワ王とチュモンの協力は
ケルにとって幸いだと諭すのだった
クムワ王との謁見はかなわず プドゥクプルが現れ 2人は帰されてしまう
これによりヨンタバルは クムワ王の復権は行われたが
実権を握っているのはプドゥクプルだと見抜くのである
チュモンは やはりタムル軍を見捨てることは出来ないと ユファ夫人に話し
二度と扶余(プヨ)に戻ることはないだろうと言う
ユファ夫人もこれを理解し 覚悟する
そこへ ヨンポが突然現れる
出迎えたプドゥクプルは ヨンポを丁重に迎えながら 以前教示されたことへの
返事として ひと言の苦言を呈す
漢からの使者として扶余(プヨ)に戻ったヨンポは
立場の弱くなった扶余(プヨ)に対し 漢の人間として高圧的に振る舞い
プドゥクプルに対し 偉そうに教示した
「“多く無礼を行えば 必ず自ら及ぶ”
無礼な真似を重ねていると 必ず自らに災いが及ぶという意味だ!」
『この機会に 私もひと言王子様に申しあげます
“偃鼠(えんそ)河に飲むも 満腹に過ぎず” をご存知で?
ネズミは小さいので いくら河の水を飲んでも小さな腹しか満たせません』
何の意味かは理解できないが 無礼なことを言われたのは理解したヨンポ
『テソ殿下の立場がこうなると 誰が予想しましたか
王子様も軽率に行動せず 品位をお守りください
陛下の所へご案内します』
さっさと歩いて行くプドゥクプル
『今 私をネズミにたとえたのか?』
憎々しく睨み付けるヨンポだが 今の立場ではどうすることもできなかった
チュモンは クムワ王に対し タムル軍を捨てることはできないと話す
これに同席していたプドゥクプルは フクチ大将軍(テジャングン)に
命令の遂行を指示する
フクチは 扶余(プヨ)と陛下の臣下として 情にとらわれず任務を遂行すると
決意するが ソンジュは悩んでいた
クムワ王の側近として 誰よりもクムワの本心を知っているからだ
ソンジュはチュモンに事態の報告をし 一刻も早く扶余(プヨ)を去るように話す
すぐに脱出を図るが 追っ手の兵に囲まれてしまう
チュモンを逃がすため 死ぬ覚悟で戦おうとするマリとチェサたちだが
チュモンは剣を捨てて降伏する
クムワ王の復権のために協力を要請しに来たフクチ大将軍(テジャングン)が
今はチュモンを亡き者にしようと立ちはだかる
捕えられながら チュモンはじっとフクチを見つめていた
オイ マリ ヒョッポ そしてチェサ ムゴル ムッコもまた 同じように見つめた
見つめ返すフクチは 忠誠心から遂行する任務に負い目はないと言いたげに
その視線を甘んじて受けるのだった
プドゥクプルとフクチの行動を クムワ王に報告するソンジュ
クムワは チュモンを説得しようとするが プドゥクプルが止めに入る
漢に歯向かうチュモンを放っておけば 扶余(プヨ)に悪影響だと
プドゥクプルは信じていた
チュモン1人の命を失うことで 扶余(プヨ)は救われると…
今や 王権を失墜させたり 復権させたり プドゥクプルは信念のもとに
王でさえも自分の意志に従わせようとしていた 忠誠心という名のもとに…
この事態をまだ知らないユファ夫人は イェソヤに扶余(プヨ)を出てはと薦める
二度と戻らないであろうチュモン
身ごもっているイェソヤを チュモンのもとに行かせてやりたかった
しかしイェソヤは そんな義母ユファ夫人のことが心配で 行くことはできない
そこへ チュモンが捕えられたと報告が入り
ユファ夫人は怒り心頭でクムワ王に会いに行く
復権しながら 何の実験もないクムワ王に ユファ夫人は失望する
捕えられたチュモンの前に クムワ王が立つ
チュモンは 目に涙をためて 以前は父であった人を見つめる
『チュモン』
『何もかも… 陛下の意ですか』
『チュモン… 私の意向に従え
扶余(プヨ)が危機を克服したら お前にすべてを譲るつもりだ』
『陛下は変わりました 王位を譲られたとしてもお断りします
譲り受けるものがあるとしたら 陛下が胸に抱いていた漢との決戦の意志だけ』
『チュモン』
『陛下 タムル軍は陛下の同志でした お見捨てなきよう』
『私がいる限り お前とタムル軍の建国は 私と扶余(プヨ)に対する反逆だ』
『私は漢を討つのです なぜ反逆なのですか!
天に召されたヘモス将軍が嘆きます!!!』
『投獄せよ!!!!!』
クムワ王とチュモンとの 決別の瞬間だった
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