◎ 朱蒙 第41話 ◎

漢の朝廷は 扶余(プヨ)に対し友好の証しとして 王子の1人を送れと命じた

摂政殿下であるテソは チュモンに長安行きを示唆する

これに応じてくれれば 心から忠誠を信じると言うが チュモンは困惑する

漢に行けば 戦争を引き起こした自分の命の保証はない

また 母ユファの面倒を見ると言うテソの言葉は信じがたい

何もかもテソに服従し 今度は人質に?と怒るムソン

自分たちには何も出来ないと落ち込む オイ マリ ヒョッポ

モパルモは 絶対にダメだと嘆き悲しむ

ユファ夫人のもとにいるイェソヤも チュモンのことを案ずるが…

『本当に漢の人質になるのですか』

『今 テソ兄上に会ってきました 丁重に頼まれました

しかし あれは“頼み”ではなく 有無を言わさぬ命令』

『……』

『行かなければ 母上と陛下だけでなく お嬢様も危険にさらされます』

『私のことは気にせず選択なさってください

私は扶余(プヨ)を去る覚悟ができています』

『いいえ 扶余(プヨ)にお連れしたのは 恩返しをして恨みをお晴らしするため

ですが 何もしてあげられず 申し訳ありません』

『……』

『私が長安に行ったとしても お嬢様に危険がないよう 策を講じます』

テソが 長安に人質を送ることに決めたと聞き

フクチ大将軍(テジャングン)は怒りをあらわにし 退席する

しかし他の家臣たちはテソの暴政に恐れをなし反対する者はいない

ただ1人 大使者(テサジャ)プドゥクプルが異を唱えた

『チュモン王子を送ってはなりません』

『それは一体どういうことですか?チュモン王子でなければ誰ですか!』

ポルゲが何を言う!とばかりに言い返す

プドゥクプルは テソと2人きりになり静かに諭す

『殿下 警戒すべき敵を外に出しては危険です

チュモン王子は そばに置かねば不安です』

『そこまで考えませんでした チュモンを宮にとどめるなら誰を送るのです?』

『ヨンポ王子様を人質に…ヨンポ王子様は何もせず問題ばかり起こしてます

ヨンポ王子様を送れば 殿下も荷が下ろせます』

『母上がお許しになりますか…』

『殿下 殿下も王になられるなら 王妃様に振り回されてはなりません』

そういう話になっていることも知らず 王妃は神殿で巫女マウリョンと喜び合う

チュモンがいなくなれば 本当に心から安心できると満面の笑顔を見せる

そこへ ヨンポが人質に決定したとの報告が入り 王妃の表情は一変する

テソの執務室には ヨンポが血相を変えて怒鳴り込む

『兄上!私をチュモンの代わりに長安へ?!!!』

『ヨンポ これはいい機会だ 広い世界も見られる チュモンにはもったいない

行ってこい 戻ったら好きな職務を与える』

『そんな好機なら兄上が長安へ』

『何だと?!!!』

『怖いものなどありません 牢獄まで入った私です!絶対に行きませんから!』

『こいつ!!!』

『何してるの!』

掴み合う兄弟に 王妃が割って入る…!

王妃は ヨンポを行かせるなら自分も死ぬと言い

母に庇われたことで ヨンポは得意満面になる

プドゥクプルに 王妃に振り回されるなと言われたばかりなのに

やはり母親には逆らえないことが忌々しいテソだった

ヨンポは 自分を人質にと進言したプドゥクプルのところへ 剣を持ち乱入する

喉元に剣を突き付けられても 平然としているプドゥクプル

あくまでもヨンポ王子様のためと言い切るプドゥクプルに悪態をつき出て行く

他の大臣が怯えて そのうちヨンポ王子が大事を仕出かすのでは?と言うと

大事を起こすほど緻密でも利口でもないと すまし顔のプドゥクプルだった

せっかくテソが人質をヨンポに決めたのに 王妃の反対で再びチュモンに…

ユファ夫人は悔しい表情で考え込み クムワ王に相談する

クムワ王は すぐにテソを呼び出す

漢に人質を差しだすと言うテソに クムワ王は 自尊心もないのかと釘を刺す

しかしテソは 自尊心より実利だと反論

1つを差しだせば次々に要求され 結局は国を差しだすことになると諭すクムワ

どんなに説得しても 最後は 今は自分が摂政だと言い捨て退座するテソ

自分が睨みをきかせれば 反論することもなかったテソだったのに

王の威厳をなくしたクムワは失望する

宮殿に 密かにやって来たトチが ヨンポと密談をしている

偶然それを目にしたオイが 何かあると言い マリ ヒョッポと調査する

テソが宮殿の外に出る時を狙い 命を奪う計画のトチとヨンポ

トチが集めた軍団は テソ暗殺のために訓練までしていた

ヨンポに忠誠を誓うと 高らかに宣誓する集団

その光景を偵察し 明らかにヨンポの企てを確信する3人だった

久しぶりに向かい合うテソとヤンソルラン

『チュモン王子から返事は?』

『抜け道はない すぐ返事があるだろう』

『長安に行ったら 二度と扶余(プヨ)の地は踏めません

“チュモン王子は戦争を起こした張本人 漢と扶余(プヨ)を対立させる人物

生きて返すな”と お父様が皇室に』

『そなたがそうするようにと?』

『申し上げたはずです 殿下の未来を邪魔する者は私が先に消すと』

しみじみと 妻ヤンソルランを見つめるテソ

『もしや イェソヤという女を?』

『チュモンが連れてきた女か』

『はい チュモン王子を送る前に あの女と結婚させては?』

思いがけない提案に もう一度妻を見るテソ

『まだソソノを思ってる王子と あの女を結婚させたら…面白いと思いません?』

『……』

視線をはずした夫に気づかないふりのヤンソルラン

『結婚を知ったソソノが どんな心境になるか 知りたいものです』

『……』

ソソノの名前が出て どうとも答えられないテソだった

クムワ王はチュモンを呼び出し テソの命令に従わず扶余(プヨ)を去れと言う

しかしチュモンは 長安へ行く決心をしたと答える

一緒に聞いていたユファ夫人が 動揺して声を荒げる

命令に背けば 陛下と母上が苦しめられることになると言うチュモンに

クムワは テソの権勢にはいずれ亀裂が入るから それまで耐えろと…

『父上のおっしゃることは分かります

私は その忍耐の日々を いっそ長安で送ります

陛下 漢は扶余(プヨ)と私にとり 生涯の敵です

“敵を知り 己を知らば 百戦危うからず”

私は漢の心臓である長安で 敵のすべてを探って来ます

私は 必ず戻ってきます』

チュモンの決心に これ以上何も言えないクムワ王とユファ夫人だった

テソを訪ね 長安へ行くと返事をするチュモン

陛下とユファ夫人の平穏な生活と イェソヤが宮殿で暮らせるようにとの配慮を

願い出ると テソはこれを承諾し いっそイェソヤと結婚しては?と言う

チュモンが答えをためらっていると…

『分かってる まだ心にソソノがいることはな

私たちは ソソノを巡り争ったが もう過去のことだ

そろそろ未練を捨てて 支えとなる伴侶を迎えろ そうなれば私も安心だ』

考えた末に結論を出し 長安へ行くと答えたのに

またしても難問を突き付けられたチュモンだった

命の恩人だという以外に 特別な感情を持っていたわけではなかったのだ

そこへ オイ マリ ヒョッポが トチとヨンポの不穏な動きを報告にやって来る

大規模な軍団を組織し訓練していると聞き ヨンポの言葉を思い出す

「そんな話があるか 陛下は動けるほど気力を回復された

陛下が病床の間だけだと兄上は言ってたが まだ摂政の座に

扶余(プヨ)のためではなく 野心を満たしたいからだ 放ってはおけない」

チュモンは3人を残し 1人でヨンポに会いに行く

『いいザマだ テソ兄上に媚びたあげくに お前は何を得たのだ?』

『……』

『いくら忠誠を尽くしても 兄上は受け入れない

私に従ってれば そんな辱めは受けなかった』

『私には何の力もありません』

『あるだろう!!!私と手を組めば…いや 何でもない』

『何か方法が?』

『自ら受け入れた長安行きを翻せるものか!体に気をつけろ…』

ヨンポと話して 何かを確信したチュモンだった

一方 玄菟(ヒョント)城のヤンジョンは 玄菟(ヒョント)に来ている

ケルのヨンタバル商団の行首(ヘンス)を投獄し 団員を追放する

ソソノは 沸流(ピリュ)の君長ソンヤンが ヤンジョンと手を結んだためと考える

しかし そのソンヤンと叔母ヨンチェリョンとが手を結んでいるなどと

夢にも考えてはいなかった

沸流(ピリュ)を攻撃し ソンヤンを殺すと言うソソノ

沸流(ピリュ)の後ろには 漢と扶余(プヨ)がいると反対するヤンタク

正面から戦う以外の方法でと提案するサヨン

ウテは ソンヤンに刺客を送ると進言する

事態が大きくなる前に ソンヤンに書簡を送るヨンチェリョン

一刻も早く息子チャンスを君長にしなければと焦る

自分の決めたことに助言が欲しいと 父ヨンタバルに頼むソソノ

しかし ヨンタバルは何も言うことはないとだけ答える

背負えない荷を背負わされ 1人悩むソソノを呼び出す巫女ヨミウル

今はソンヤンを討つ時機ではないと助言する

そして 思い悩むソソノに…

『ケルの危機と試練は始まったばかり 心して聞いてください

チュモン王子は 今に扶余(プヨ)を離れます

ソソノ君長と王子の縁はすれ違いましたが お2人の運命は天が定めたもの

力を合わせ大業を成す日が来るでしょう

それまで 試練と危機があろうと耐えて待たねばなりません』

巫女ヨミウルの意外な予言に 言葉もないソソノだった

チュモンは トチとヨンポがテソの暗殺を企てていることに確信を持つ

オイ マリ ヒョッポに テソが外出する日とヨンポの動きを見張るよう命じる

ヨンポは テソが卒本(チョルボン)のソンヤンに会いに行く時を狙い

計画を実行に移すことにした

万一失敗した場合でも 卒本(チョルボン)の近くでなら

ケルの兵士を装い 正体がバレないようにできると考えたのだ

オイ マリ ヒョッポは ヨンポの計画が成功しテソが亡き者になることを望んだ

しかし チュモンには何か別の考えがあるようだ

軍団に ケルの兵士の鎧と兜を用意するトチ

失敗してもケルに濡れ衣を着せるヨンポの手口を知ったチュモンは

さらに何かを考えているようだ

卒本(チョルボン)に到着したテソは 大君長となったソンヤンをはじめ

ほかの部族の君長たちに出迎えられる その中にはソソノの姿もあった

テソは 大君長ソンヤンに対し これからは全面的に扶余(プヨ)が

卒本(チョルボン)を支援することを約束する

これに気をよくしたソンヤンだったが テソは代わりに貢物を納めるように命じる

ヤンジョンに近づき 立場を守ったかに見えたソンヤンだったが

テソの高圧的な態度は クムワ王の時とは違い

さらにはヨンタバルに従っていた頃よりも悪条件になっていたのだった

テソは ソソノに対しても ソンヤン大君長に従うように命じる

絶対的な自分の威厳を見せつけながら 密かにソソノを呼び出すテソ

話題がチュモンのことだと知ると ソソノは立ち去ろうとする

テソは チュモンが人質となって長安へ行くことと

その時にイェソヤと結婚することになるだろう と告げる

自分のみじめだった気持ちがお前にも分かるはずと言うテソ

その言葉を背中で聞き 足早に立ち去るソソノ

どうしても この動揺をテソに気づかれてはならなかった…

卒本(チョルボン)から扶余(プヨ)へ戻る途中

テソは ケルの兵士に取り囲まれる ハンダンが指揮する軍団だ

ナロと護衛兵は 必死にテソを守り戦う

テソ自身も果敢に敵を攻め 身を守る

あまりの兵の数に テソだけでも逃がそうとするナロ

すると 敵の背後からチュモンを先頭に オイ マリ ヒョッポが現れる

神業のような弓で テソに襲いかかる敵を射抜くチュモン

『殿下 ご無事ですか』

『大丈夫だ… 奴らの正体を!』

『殿下 ケルの兵です』

『ソソノ?ソソノとケルめ ただでは済まさん!』

ナロの報告に憤慨するテソ

チュモンが冷静に進言する

『殿下 お考えください ケルの仕業ならケルの軍服で奇襲しますか

別の陰謀があるやも』

戸惑うテソ ナロもチュモンに同意する

『私もチュモン王子様に同感です 誰かがケルを装い 奇襲を』

『息のある奴を探せ!』

宮殿で奇襲成功の知らせを待つヨンポは 待ちきれずにトチの根城に現れる

ハンダンが飛び込んできて 成功しそうなところをチュモンに妨害されたと話す

怯えて逃げようと言うトチ

しかしヨンポは ケルの仕業に見せかけているのだから大丈夫だと…

逃げたらかえって疑われると 宮殿へ帰っていく

宮殿では テソが襲撃されたという知らせに騒然としていた

明らかに動揺して挙動不審のヨンポだが 動転している王妃は気づかない

逃げようと言うハンダンに トチが迷っていると 突然ナロが兵士を連れて来る

たちまち縛り上げられ捕えられる2人

テソを出迎える王妃と家臣たちの中に ヨンポもいた

もう 平静を装って出迎えるしかないのだった

チュモンに付き添われ戻ったテソは チュモンのおかげで無事だったと話す

『兄上 危なかったですね…』

しらじらしくそう言うヨンポを睨み付けるテソ

そして ナロに捕えられたトチとハンダン 生き残った兵士たちが現れると

ヨンポは すべてがバレたことにようやく気づき 言葉を失う

ヨンポの喉元に剣を突き付けるテソ 王妃は何が起きたのか分からない

『テソ どうしたの?』

『こいつが 私を殺そうとしたのです 何もかもこいつの陰謀でした!』

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