私の娘は、旦那と札幌に住んでいて一人娘がいます。私たちにとっては初孫です。可愛くて仕方がありません。
孫には、立派なひな人形を買ってあげたかったのですが、私が選ぶものは、どれも家族から却下され、住宅に合わせた小さなものになりました。
それでも気持ちを込めたプレゼントなので、大切にしてもらいたいと思っています。
ひな祭りなのに札幌市内のホテルで会食
初めてのひな祭りのとき、アパートに飾られたひな人形を見て、部屋の大きさを考えると、これで良かったのだと感じました。
そして孫をあやして少し経つと、食事に出掛けることになりました。私は、てっきり、娘の家で食事をするものと思っていたので、拍子抜けしてしまいました。
それでも孫の笑う顔を見ていると、ほのぼのとした気持ちになり、幸せを感じることができました。
札幌市内のホテルに着くと、和室に案内されました。
娘は「ひな祭りコース」というのを予約していたようでした。私は料理を待ちながら、抱きかかえた孫の成長を願いました。
弥生3月の札幌は、ひな祭りなのに雪が降っていました
札幌は4月になっても雪が降ることがあります。
ひな祭りは3月なので、まだ寒く、雪がちらついていました。
料理が運ばれて始め、間もなく、着物を着たスタッフが挨拶に現れました。
孫は、彼女を見つめていました。日ごろ、見たことがない服装の女性に興味がある様子で、着物を掴もうとしているようでした。
やっぱり女の子だなと感じながら眺めていたのですが、気づくと涙が流れていました。
涙の理由は分かりません。歳をとると涙腺が弱くなるという話は本当です。ちょっとした感動に涙が出てしまいます。笑っていても涙が出るようになります。
食事の後半にイチゴで飾られたケーキが運ばれてきました。
「これこれ」と娘が喜んでいます。娘が、このホテルを選んだのは、どうやら、そのケーキが目当てだったようです。
持ち帰り用のもので、箱に詰められました。
娘のアパートに戻ったときには、孫は、スヤスヤと眠っていました。この日のひな祭りは、孫のためのイベントなのに、部屋に入るなり、さっそくケーキを食べ始めた妻と娘を黙って眺めました。
孫もいつか強い女になっていくのだろうと感じ、その日が1日でも遅くなるよう、ひな人形に祈ったのでした。