宮崎県の環境森林部長(当時)は

外国資本による林地の買収を規制するのは難しい。」

 地方自治研究機構(東京)によると、水源地の土地取引に関して届け出を

義務付ける条例が12年以降、北海道、宮崎など20道府県で制定。

担当者は(政府が動かないから)先手を打って国に強いメッセージを伝えるため

条例制定の動きが出てきた」

日本政府は食料安全保障の強化などのため、農地法施行規則を改正し、

昨年9月から農地を取得する個人、法人に国籍の報告を義務付けただけ

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https://news.yahoo.co.jp/articles/37081869c2d11954ee79234cdbd79e8164d5ce9d

宮崎県の森林717ha、取得したのは外国資本…

「中国語」話す会社代表が通訳伴い届け出

読売新聞

斜面にはうっそうと木々が生い茂り、岩が散らばる谷には清流が流れていた。

 「森林には雨水をためる機能がある。水は川に流れ込み、

農業用水の安定供給に欠かせない。飲み水にだってなります」

 2月下旬、宮崎県都城市内の山深い森林地帯。

県北諸県農林振興局(都城市)林務課の太田原潤一課長は山々を目視したり、

写真を撮ったりしながら、こう強調したうえで続けた。

「なぜ大規模に森林が買われたのか不思議だ。

森林法に違反するような開発行為がないかパトロールを定期的に行っている」

県や登記簿によると、福岡ペイペイドーム(福岡市)102個分にあたる

717ヘクタールの広大な森林の所有者は、天然資源開発などを行うとする福岡県内の企業だ。

この山林は宮崎県水源地域保全条例の対象区域で、

土地取得の際には事前に目的などを届け出る必要がある。

同社は2022年2月に取得したが、届け出が行われていなかったため、県は催促した。

22年12月、同社代表が通訳を伴って書類を提出しに振興局を訪問。

届け出の利用目的には「山林の管理」とだけ記されていた。

 振興局の職員は「代表らが中国語と思われる言語を話していたことや、

氏名などから中国人の可能性があると判断した」と明かす。

林野庁が毎年行う外国資本による森林取得の調査には、

「国内の外資系企業と思われる者による森林取得」と報告した。

民間の信用調査機関によると、同社には代表が100%出資(23年11月2日時点)している。

 ・

22年11月の県議会では、山下博三県議(都城市選出)が

「外国資本による水資源の山林買収の話は北海道でのことだと思っていたが、

身近なところで起きているとは予想だにしていなかった。

規制をかける手立てはないのか」などと質問。

県の環境森林部長(当時)は

外国資本による林地の買収を規制するのは難しい

水源林の保全に向けた規制のあり方について国と議論する」と述べていた。

 読売新聞は2月以降、同社に取材を申し込んでいるが、

29日午後8時現在、返答はない。

外国法人などによる森林取得は全国で起きている。林野庁の調査では06~22年に、

外国法人や外国人と思われる者による森林取得は北海道(1927ヘクタール)、

福岡(60ヘクタール)、大分(3ヘクタール)など

23道府県で320件2732ヘクタールある。

 さらに林野庁は、外国法人などの出資比率が過半数を占める法人を外資系企業と定義

これまでに外資系企業とみられる者の取得は

都城市の事例を含め302件6734ヘクタール確認された。

 地方自治研究機構(東京)によると、水源地の土地取引に関して届け出を

義務付ける条例が12年以降、北海道、宮崎など20道府県で制定されている。

機構の担当者は「行政が関与できないまま水源地が売買されることを

多くの自治体が懸念している。先手を打って国に強いメッセージを伝えるため

条例制定の動きが出てきた」と語る。

外国法人が出資する日本企業が農地を取得し、住民とトラブルになっている事例もある。

愛媛県西条市では18年に設立されたキウイ生産会社が約20ヘクタールの農地を取得した。

この会社は香港に本社を置く企業が49%の議決権を有している。

 外国法人の影響力が大きい企業による農地取得への懸念に加え、

巨大な農園での農薬や地下水の使用に対する不安などが市民から市に寄せられる事態

となり、市が昨年、会社側に説明の場を設けるよう要請。

会社側は記者会見などを開き、農薬に関する日本の法規制に従うことや、

効率的にまけるスプリンクラーを活用し、地下水の使用量を抑えることなどを説明した。

一方、外国人の土地取得を制限する国もある。

日本貿易振興機構(ジェトロ)によると、タイやインドネシアなどでは、

外国人や外国法人による土地所有は基本的に認められていない。

カナダの一部の州でも永住権などを持たない人の農地取得を制限している。

 日本政府は食料安全保障の強化などのため、農地法施行規則を改正し、

昨年9月から農地を取得する個人、法人に国籍の報告を義務付けた。

ただ、報告だけでは不十分との指摘もある。

 外資による土地買収に詳しい平野秀樹・姫路大特任教授は

水と食料の基盤を外国におさえられるのは非常に危うい。

国は危機感を持ち、この問題に対処するための国民的な議論を起こしていくべきだ」

と指摘している。

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