日本政府の危機意識の低さ。。

危機管理より機会均等を優先。。。ー・ー

防衛省関係者

 「機会均等という観点で、調達にも特定の企業を排除はしないのが防衛省。

セキュリティがトッププライオリティになっていない。」  

自衛隊関係者

「これだけ(スパイ疑惑が)言われているのに、

職員に中国系のメーカーのノートパソコンが配られて唖然とした」

LINE

日本人のデータを保存していた韓国側のサーバーなどの機器が、中国のファーウェイ製

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https://news.yahoo.co.jp/articles/437d008c56bc6bb1242d301b607c8730db07a0dd

「自衛隊に中国系メーカーのPCが配られて唖然」「LINEの情報もダダ漏れ」

“ファーウェイ排除”を進めない日本の超危険

文春

中国への情報漏えいを恐れて、本格的な「ファーウェイ排除」を進めるのがアメリカだ。

2018年から同盟国に対し、5G通信機器などでファーウェイ製品の排除を要請している。

ところが、この問題に対して日本はいまだに明確な対策を打てていない。  

危機意識の低いこの国はどうなってしまうのか? 国際ジャーナリストの山田敏弘氏

による新刊『プーチンと習近平 独裁者のサイバー戦争』より一部抜粋してお届けする。

ここまで見てきたアメリカとロシア・中国の争い。

そしてそこに巻き込まれる欧州。もちろん日本も他人事ではない。

世界規模の覇権争いが続く中で、日本はどういう立場を取るべきなのか。

実は日本は非常に中途半端な姿勢を見せている。  

その一例が、ファーウェイ排除である。

アメリカは2018年成立の国防権限法により本格的にファーウェイ排除措置が

とられるようになってから、同盟国に5G通信機器などでファーウェイ製品の排除を要請した。

10年も前から米政府はファーウェイを安全保障のリスクだと結論づけて警戒しており、

国防権限法の前から国防総省などは米軍基地での使用禁止措置などをとっていた。  

オーストラリアはすぐに反応し、同年のうちに安全保障への脅威から

ファーウェイを禁止にする予定であると発表した。  

では、日本はどう対応したのか。

米政府のファーウェイ排除要請の直後、「読売新聞」など大手メディアは、

日本政府もファーウェイなどの製品を政府調達から排除すると報じた。

ロイター通信や香港の「サウス・チャイナ・モーニングポスト」、

オーストラリアの「シドニー・モーニング・ヘラルド」など海外のメディアでも

大きく報じられている。この動きを受けて、中国商務省は日本政府に対して、

「日中関係に悪影響を及ぼす可能性がある」と脅しもかけてきた。  

こうした動きをみれば、多くの人が日本政府もファーウェイ製品を排除したと考えるだろう。 

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ところが、である。

先日、日本のサイバーセキュリティの司令塔である内閣サイバーセキュリティセンター

(NISC=ニスク)の関係者に話を聞いたところ、

「各省庁の調達時に、ある特定メーカーを名指しして排除はしていない」と言うのだ。

さらに2020年12月に平井卓也デジタル改革担当相(当時)も記者会見で

「我が国のこの申し合わせでは、特定の事業者とか機器を名指しで排除するような記載は

していません」と発言している。  

防衛省関係者もこう話す。 

機会均等という観点で、調達にも特定の企業を排除するということはしないのが防衛省。

さらに備品などもなるべく安く購入できるならそちらを選ぶこともあり、

セキュリティがトッププライオリティになっていない現実がある」  

さる自衛隊関係者も最近、

「これだけ(スパイ疑惑が)言われているのに、職員に中国系のメーカーの

ノートパソコンが配られて唖然とした」と嘆いていた。  

日本政府の危機意識は欧米に比べて圧倒的に低いのが現実なのだ。  

あらためてファーウェイの日本語公式サイトをチェックしてみた(2022年3月22日閲覧)。

すると、Q&Aの項目にこんな記述が掲載されていた。 

Q:ファーウェイは日本の5Gネットワーク構築から排除されているのですか? 

A:日本政府が発表した調達ガイドラインは、特定の国や会社について詳細を

述べたものではありません。  

この記述を見ると日本からは、ファーウェイ製品が排除されていないとしか読めない。  

ファーウェイについては、さらにこんな話もある。  

中国には「国家情報法」という、個人も企業もスパイ組織に協力しなければいけない法律

がある。実はこれが思いがけず、日本人にも影響を及ぼす問題が発生しているのだ。

それが、2021年3月に「朝日新聞」の報道で発覚した、無料通信アプリLINEのサーバー問題

である。通信アプリとして国内最大の8600万人のユーザーをもつLINEのユーザーデータが、

中国の関連企業で閲覧可能になっていたと判明し、大きな騒ぎになった。

実際に中国人4人がLINEの技術開発に関わる際にデータにアクセスできていたと、

LINE側は認めている。  

もともと韓国ネイバー社の下に作られたLINEだが、本国の韓国よりも日本で人気のアプリになった。  

LINEの運営会社幹部は筆者にこう話す。 

「LINEの開発部門を韓国側が担ってきた。日本の運営会社からは開発をコントロール

しづらい環境にありました。その韓国側が中国法人に下請けさせ、

そこで働く中国人たちが日本人のデータにアクセスできるようになっていたのが実態です」  

言うまでもなく、中国の国家情報法によれば、こうした中国法人の扱うデータも

政府が手に入れることが可能になる。  

ただこの幹部はこれまで明らかになっていなかった事実をこう暴露する。 

「LINEの開発部門はAIの開発も進めており、できる限りのデータを蓄積させたがっていた

のです。そのために、LINEを使う大勢の日本人の写真や動画、ファイルといったデータを

韓国に置いているサーバーに保存していました。

今回、批判を浴びたことから、現在はすべて日本で保存するように変わりました。

ですがそれよりも問題なのは、日本人のデータを保存していた韓国側のサーバーなどの機器が、

中国のファーウェイ製だったことです」  

ここまで見てきたように、ファーウェイへの疑惑を顧みると、この事実の重みがわかるだろう。

我々、個人がファーウェイ製品を使わないと決めていても、

世界がインターネットでつながっている現在、どこで情報が把握されているのかわからないのだ。

山田 敏弘/文春新書