2000年。。プーチン大統領はロシアのNATO加盟を打診。。
が。。クリントン大統領はその提案を拒否。。
そうだったのか。。
ロシアがNATOに加盟していたら。。
ウクライナが緩衝地になることもなかっただろうに。。
今更だけども。。
●
プーチン大統領は2008年に「NATOがウクライナ加盟に動けば、
ロシアの指導者は黙っているわけにはいかない。それはロシアに対する敵対行為である」
と強い口調で語っている。
こうした経緯が、ロシアのウクライナに対する「非武装化」「中立化」の要求の背後にある。
関連記事
https://jp.reuters.com/article/russia-ukraine-nato-idJPKBN2IP1X0
ロシア、ウクライナNATO加盟確約撤回を要請 EUは侵攻なら代償と警告
ー2021年12月10日 ー
●ロシア
・2008年の確約(ウクライナとジョージアは将来的にNATO加盟)の撤回要請
・ロシアと国境を共有する国に兵器を配備しないようNATOに確約要請
・ウクライナのNATO加盟に対しロシアに実質的な拒否権を与えることを提案
●NATO
・NATOとウクライナの関係を決定するのはNATO加盟30カ国と
ウクライナであり、他国ではない。
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https://weekly-economist.mainichi.jp/articles/20220303/se1/00m/020/006000d
ロシア・ウクライナ侵攻は何が引き金になったのか㊦
記事抜粋
プーチン大統領が指摘するように、NATOは冷戦終結後、東に向かって拡大した。
現在の加盟国は30カ国で、その中にはソビエトから独立した共和国3か国と
旧東側ブロックに属していた11カ国が含まれる。
現在、ボスニア、ヘルツゴビナ、ウクライナの3カ国が加盟を検討している。
ただプーチン大統領は最初からNATOを敵視していたわけではない。
2000年にはクリントン大統領に対し、ロシアのNATO加盟を打診している。
当時、ロシア経済は破綻しており、軍事力も衰退していた。
西側の支援を得ることで危機打開を図ろうとしたのである。
だが、クリントン大統領はプーチン大統領の提案を拒否した。
・
アメリカは、冷戦で勝利し、軍事力だけでなく、道徳性においても勝利したと過信していた。
歴史はつまらないところで道を間違えたのである。
1990年2月にアメリカのベイカー国務長官はゴルバチョフ首相に
「NATOを1インチも東側に拡大することはない」と約束している。
これが、プーチン大統領がNATOは約束を破ったと主張する根拠となっている。
・
NATOの東方拡大は、米露間の主要な外交課題となった。
2008年にジョージアが加盟した時、ロシアのラブロフ外務大臣は
「NATOが我が国の国境に接近してくることはロシアへの脅威である」と警告した。
だがNATOは「新規加盟に窓を閉じる気はない」とロシアの批判に反論している。
最近では、2020年に北マケドニアのNATO加盟を認めている。
1990年以降、15カ国が新たに加盟している。
・
ウクライナがNATOに加盟すると、ロシアとNATOの間の緩衝地域が存在しなくなり、
国境を挟んで直接対峙するようになる。
プーチン大統領は2008年に「NATOがウクライナ加盟に動けば、
ロシアの指導者は黙っているわけにはいかない。それはロシアに対する敵対行為である」
と強い口調で語っている。
こうした経緯が、ロシアのウクライナに対する「非武装化」「中立化」の要求の背後にある。
・
トランプ大統領はNATOに否定的で、その解体すら主張していた。
バイデン大統領はNATOとアメリカの関係修復を主要な政策に掲げた。
その一方でロシアのウクライナ侵攻を食い止めようと外交努力を重ねてきた。
2021年3月にアメリカ政府は「国家安全保障戦略の中間ガイドライン」を発表している。
そこでは、バイデン大統領は外交上の敵はロシアではなく、中国を想定していた。
バイデン大統領は、ロシアは依然として脅威ではあるが、
中国と違って経済的競争相手ではないと考えていた。
バイデン政権はNATO拡大に関してプーチン大統領の要求を受け入れる気はまったくなかった。
2021年2月、ブリケン国務長官は記者会見で
「NATOは新メンバーを受け入れないと約束したことはない。
“オープン・ドアー政策”はNATO条約の核心的な条文である」と語っている。
バイデン政権は早い時点からロシアの要求は受け入れられないと宣言したのである。
ウクライナ侵攻を巡る外交交渉は、この時点で既に破綻していたといえる。
・
ウクライナ危機に直面して、バイデン大統領は2021年9月1日に
「アメリカとウクライナの戦略的パートナーシップに関する共同声明」を発表。
その中に「我々の関係はウクライナと周辺地域における安全保障、民主主義、
人権を促進する礎石の役割を果たす」
「21世紀において、いかなる国も軍事力によって国境線を引き直すことは許されない。
ロシアはウクライナで、この原則を破った。
主権国家は自ら決断し、自らの同盟国を選ぶ権利を有している。
合衆国はウクライナの味方であり、ロシアに攻撃の責任を取らせるために協力する。
ウクライナの主権と領土の一体性に対するアメリカの支持は揺るぎない」
と書かれている。
年初からアメリカやイギリス、フランスなどが、ロシアのウクライナ侵攻を
食い止めるためにプーチン大統領と交渉を繰り返してきた。
だが、テーブルにつく前から、交渉は破綻していた。交渉は互いに妥協し合うことで成立する。
だがプーチン大統領と欧米の指導者の間の交渉には最初から妥協の余地はなかった。
バイデン大統領とNATOはウクライナへ派兵はしないと明言していた。
理由は、ウクライナがNATO加盟国ではないからである。
だがそれはロシアの軍事侵攻を容認する意味合いしか持たなかった。
アメリカもNATOも、本気でウクライナを守るという意思表示が必要な時に、
逆に一歩引きさがったのである。
・
軍事力を行使することは絶対的に認められるべきではない。
しかし、争いには必ず理由がある。ロシアのウクライナ侵攻を理解するためには、
ウクライナが抱える国内問題、ロシアとウクライナの長年の相克、
プーチン大統領のNATOに対する懸念などを正確に理解する必要がある。
テレビやメディアで発言する外交評論家がいるが、残念ながら、
彼らの発言の多くは問題の表面しか見ておらず、印象的なコメントに終始している。
事態は極めて深刻である。
ロシアの軍事侵攻は、今後の世界の安全保障の仕組みを根底から変える可能性もある。
ウクライナ侵攻に至る過程を詳細に分析すると、いかに外交が失敗したのかが明らかになる。
「誤解」と「傲慢」と「無知」が戦争を引き起こし、人々を死に追いやる。
喫緊の問題は、いかに停戦を実現するかであるが、それは既に説明したように容易ではない。
どちらかが疲れ切るまで妥協の余地はないのかもしれない。
おそらくウクライナには勝ち目はないだろう。
バイデン大統領は「ロシアに代償を支払わせる」と言っているが、
それは「経済制裁」によるもので、効果が出るには時間がかかる。
残念ながら、ウクライナは大国のエゴの犠牲になり、悲惨な状況に追い込まれるだろう。
ウクライナ問題の帰結如何で、将来の安全保障問題は基本的に変わってしまうかもしれない。
戦後続いた世界の安全保障体制が根本から崩れる可能性もある。
そうした事態を招いた各国の指導者の責任は重い。