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ジェジュン「ライヴでは、一つの愛のストーリーをファンの人たちと共有したい」

バラエティ番組などに積極的に出演し、テレビ的には“愛されキャラ”というイメージが定着しているジェジュンさん。しかし歌っている彼を知る人にとって、それはほんの一側面に過ぎないという。今回のインタビューでは、ライヴ演出への思いについて

撮影をしているとき。

また、インタビューをしているとき。彼はよく、「大丈夫ですか?」という言葉を口にする。

物を作る現場では、スタッフの誰もが欲張りになるものだ。あれも欲しい。こんな服も着せたい。こんな表情も見たい。こんな話も聞いてみたい。限られた時間の中で、どこまで、見たことのない彼を、それまで知らなかった彼を、彼の“今”を引き出せるのか。

いろんな想像を巡らせながら準備を進め、取材当日に彼と会うと、いつもその美しさに圧倒

される。合間に飛ばすジョークに癒やされ、笑わされる。インタビューで語る真摯で正直な

言葉に、感動させられる。そうやって彼は、いつも期待以上の“何か”をくれる。

世の中には、いろんなスターがいる。近づきがたい、カリスマ性のあるスター。身近な感じのする、親しみやすいスター。謎に包まれた、ミステリアスなスター。普段はシャイなのに、ステージになると別人のような強いエネルギーを放つスター。自分をさらけ出し、全力でファンの期待に応えようとする献身的なスター。

……ジェジュンは、そのどれにも当てはまらないようでいながら、カリスマ性、親しみやすさ、ミステリアス、シャイ、エネルギッシュ、献身的といったスター要素のすべてを兼ね備えているようにも見える。
カリスマ性と親しみやすさを共存させ、ミステリアスな部分と正直な部分が混在し、才能豊かなのに照れ屋で謙虚。だから、すべての仕事に全力で取り組み、そこにいるすべての人の期待に応えようとする。能力やスペックの高さ以上に、そのマインドが規格外。こんなスター、

そうそう現れるものではない。

・“愛されキャラ”である以前に、もっとずっと人に対して積極的な、“愛しキャラ”

2018年2月、本格的に日本での活動を開始したジェジュンは、バラエティ番組など

に積極的に出演し、テレビ的には“愛されキャラ”というイメージが定着した。
昨年秋に彼にインタビューしたとき、「今の目標は、日本一の……」と言ってから、少し間をおいて、「お笑い芸人になることです!」とコメントし、そこにいたスタッフ全員を爆笑させたこともある。

でも、歌っている彼を知る人にとっては、“愛されキャラ”は、彼のほんの一側面に過ぎない。4月中旬に武蔵野の森総合スポーツプラザで開催されたジェジュンのソロコンサートに足を運んだとき、そのことがとてもよくわかったのだ。歌っているときの彼は、“愛されキャラ”である以前に、もっとずっと人に対して積極的な、“愛しキャラ”であったから。

日本でのソロデビューアルバムのタイトルは、「Flawless Love」。flawlessとは、「弱点のない、欠けたところのない」という意味で、ジェジュンはそれを、「完璧な愛」と訳していた。

ライヴのMCで、「世界中にあるあらゆる愛を100だとしたら、このアルバムの中には、その内の70ぐらいは入っていると思います」と話していて、彼の今持てるすべての愛を注いだアルバムであることがわかった。
ライヴもまた、ジェジュン自身がファンを愛していることがよくわかる、誠実で、献身的で、パワフルで、ユーモラスで、何よりもハッピーな構成。ファンとジェジュンが相思相愛であるという意味で、その空間はまさにFlawless Loveで満たされていた。

・せっかくなら、僕のライヴに関わった人たち全てにハッピーになってもらいたい

ジェジュンのライヴのオープニングを飾るのは、ロックだ。

日本でソロデビューする前から、彼のソロ曲はロックがメインだった。

「10代の頃、最初に『いいな』と思ったのは、日本のロックでした」
そう語るジェジュンは、自分の中には常に、ロックの自由さを希求する部分があると分析している。正統ではなく、邪道と思われるようなことも、ロックの魔法にかかれば、一瞬でカッコよくなる。オープニングでロックを歌うことで、そこに集まった人たちの中にあるリミッターが外れていく。解放されていく。そんな気分を味わってほしいのだと。

「それに、ライヴでは、一つの愛のストーリーを、ファンの人たちと共有したいのです。そのためにブリッジ映像を作っていて、冒頭と中盤と後半、3回に分けて、愛の物語が展開されていく。冒頭の3曲の歌詞は、だから映像とリンクしている部分もあるんです。
ロックって、積極的な感じのする音楽だし、男と女が恋に落ちるときは、やっぱり、

男の積極性とか強さ、激しさが、二人のストーリーをリードしていくものだと思うから」

確かに、ライヴ冒頭でのジェジュンは、カリスマそのもの。破天荒でクレイジーで、どこか危険な香りもする。
「歌が面白いな、奥深いなと思うのは、曲に合わせて、自分の感情のスイッチが自然に

変わっていくことです。声も仕草も表情も全部、『こうしよう』という意思をすっ飛ばして、

身体が勝手に動く(笑)。
特に、ロックという音楽は、メッセージ性も強いし、感情を、すごくアツいところまで導いてくれます。K-POPのメインストリームはダンスミュージックやヒップホップですけど、ダンス曲は、どうしても踊ることに気を取られてしまう。僕は、歌そのもので“愛”や“熱”を表現したいので、どうしても、ソロの時は、ロックやバラードをチョイスしがちになっていました」


とはいえ、ファンから「踊っているジェジュンも見たい」というリクエストは多かったようで、

今回のアルバムでは2曲、ダンス曲を収録した。

「アルバムが出来上がる前に、『このアルバムでのツアーはどうなるだろう?』って、

具体的なステージのイメージを想像してみたんです。
ダンサーを入れることは想定していたんですが、せっかくダンサーを入れるのに、たった一曲で終わらせてしまったら勿体ないな、とか。残った時間、ダンサーさんたちがやることなくて退屈させちゃうな、とか(笑)。
せっかくなら、僕のライヴに関わった人たち全てにハッピーになってもらいたい。

だから今回は、ライヴありきで、アルバムに収録する曲のバランスを考えました。

ライヴは、まさにファンの皆さんと心を通わせられる場所だし、僕自身、演出を考えるのが

すごく好きなんです。だから今まで、(演出を)人に頼んだことがない。
少なくとも、自分のことは自分が一番よくわかっているし、今までライヴに来てくださった方の反応も、細かーく覚えていますから(笑)。こんなことをしたら驚いてくれるかな、

こんなことをしたら喜ぶかな、混乱させられるかな、とか色々想像して(笑)。
自分自身も、お芝居のように、ちょっと悪い男になったり、可愛い男になったり、情けない男になったり。出来るだけ、たくさんの面を知ってもらって、ワクワクだけじゃなく、ドキドキしたり、ハラハラしたり。ウキウキしたり、ゾクゾクしたりとか。そういう、いろんな気持ちになってもらいたいなと思ったんです」