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週刊文春、なぜスクープ連発&独り勝ち?

         芸能プロも交渉不可、入念な取材支える経済事情


            

 週刊誌「週刊文春」(文藝春秋)の勢いが止まらない。


 5月に覚せい剤取締法違反(所持)の疑いで人気男性デュオ・CHAGE and ASKAのASKA(本名・宮崎重明)が逮捕されたが(9月に有罪確定)、「文春」は昨年8月の段階でいち早くこの疑惑を報じ、世間を驚かせた。このほかにも10月だけみても、人気アイドルグループ乃木坂46メンバーの熱愛や人気ジャニーズアイドル山下智久の“書類送検直前お持ち帰りデート”、読売ジャイアンツ主将・阿部慎之助とアイドル女優・小泉麻耶の不倫疑惑、さらには小泉が元所属事務所幹部から性行為を迫られ警察署に被害届を提出していた事実など、数多くのスクープ記事を他メディアに先駆けて報じている。

 

その勢いは販売部数にも表れており、2013年下期の実売は46万8910部と総合週刊誌10年連続1位を記録(日本ABC協会調べによる)。さらに、出版不況が叫ばれる中、同年上期の実売部数を上回り、まさに週刊誌の中で“独り勝ち”状態となっているが、そんな「文春」の強さの理由について、芸能プロ関係者は次のように語る。


「『文春』のスクープは、絶対に止められないのです。通常、週刊誌に芸能人のスキャンダル記事が掲載される際は、事前に編集部から対象となるタレントの所属事務所に連絡が入ります。週刊誌によっては、例えば「ちょっと待ってくれ。別のAというタレントに関する情報があるから、そちらに差し替えてくれないか」などというように交渉に応じてくれる媒体もあります。しかし、『文春』は絶対に応じてくれません。だから、『文春』編集部から電話がかかってくると、胃が痛くなります」


「文春」快走の一方、特に芸能関連報道においては、他誌は「文春」に対し劣勢の感がぬぐえないが、その背景について、週刊誌関係者は次のように明かす。


「反響の大きそうなネタの場合、5~10人ほどのチームを組み、時間をかけ入念に取材を進めるかたちをとります。しかし、出版不況でどこの出版社も厳しい経営環境を強いられており、以前のように取材にふんだんに経費と時間をかけることが許されなくなっているのが実情です。『文春』発行元である文藝春秋は、老舗月刊誌『文藝春秋』などの安定的な収益源を持ち、経営も安定しており、他誌は『文春』のような贅沢な取材はできない。そうした経済的事情も、背景にはあるのではないでしょうか」

 もっとも、多大な労力とコストをかけて芸能スクープ記事を掲載しても、以前のようには週刊誌の販売増に直結しなくなってきているという。


「以前とは違い、芸能人のゴシップ関連のスクープ記事を掲載しても、販売部数的に効果がなくなってきており、むしろ社会ネタなどでインパクトの強い記事を数本掲載したほうが売れる。まさに読者が興味を持つ対象が変わってきていることの表れではないでしょうか」(同)

文春」独走からは、雑誌のつくり手側の厳しい経済事情や、読者ニーズの変化などが透けてくる。
(文=TV Journal編集部)


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