子供の頃、プラモデルを作るのが好きでした。
お年玉や臨時収入が入ったときは、決まって近所の模型店に行き、車や飛行機、船などのプラモデルを買ってきては、ひとり没頭していたのを憶えています。
当時はまだ家庭用ゲームもあまり普及していなかったので、私にとってプラモデル製作が最大の娯楽でした。
ただ、私にとっての楽しみはあくまで完成するまでの「過程」であって、完成してしまうとさほど興味がなくなります。
「これカッコいい！」と思って買ったはずなのに、完成してしまうと、もうどうでもよくなって割と簡単に捨てていました(笑)。
結局のところ、私がハマっていたのは「完成品」ではなく、それまでの「過程」だったんだなという気がします。
ですから完成を遅らせるため、はやる気持ちを抑えながら、あえて時間をかけてゆっくり作るようにしていました。
早く作ってしまったら、お小遣いがいくらあっても足りませんからね(笑)。
「夢は叶えたときよりも、追いかけているときのほうが楽しい」とよく言われます。
プラモデルと夢を一緒にするのもどうかと思いますが、これも似たような感覚かもしれませんね。
勉強も仕事も「タイパ」だ「コスパ」だと何かと効率が重視される世の中です。
みなさん、少しでも早く「目的地」に着くために一生懸命です。
でも「目的地に着く」ことだけが、「目的」になってしまうのは何だかちょっとつまらない気がします。
効率を重視するあまり、何か大切なものを見落としていることも多いのではないか、そんな気がしないでもありません。
頂上を目指して、効率良く一気に駆け上がる。それもひとつの生き方かもしれません。
でも、「過程」を楽しみながら、あえてゆっくり頂上を目指す。そんな生き方があってもいいのではないでしょうか。
そう言えば学生の頃、あえて鈍行列車を乗り継ぎながら実家に帰ったことがあります。
早朝に出発して青森の実家に着いたのが夜。１日仕事でした(笑)。
時間はかかって疲れましたが、途中下車をして寄り道しながらの旅は、それはそれでとても良い思い出になっています。
飛行機や新幹線では決してこの「過程」を味わうことは出来ないでしょう。
まあ、そう考えると今味わっている悩み、苦しみ、葛藤も人生における「過程」のひとつ。
その「過程」があるからこそ、人生は豊かになると言えるかもしれません。
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