登山家のプロと素人の違い。
頂上を目指して、「これはダメだ!」となったときに、
あきらめて引き返せるのがプロ。
あきらめきれずに、無理にでも登ろうとするのが素人。
もう随分と前ですが横山秀夫原作のドラマ「クライマーズ・ハイ」を見て、いまだに心に残っている言葉です。
これを生徒の指導に置き換えてみると、
生徒の様子を見て、臨機応変に指導内容を変えられるのがプロ。
生徒の力を無視して、自分の都合でしか指導出来ないのが素人。
と、いったところでしょうか。
以前、ある塾の先生のブログで、
「先生が子供に合わせるのではなく、生徒が先生に合わせるべき」
と宣言していたのを見たことがあります。
自ら「私は素人先生です!」と言っているようなものですね(笑)
漢字や英単語を100回書いても覚えられない。あるいは一瞬だけ覚えても、すぐに忘れてしまう。
信じられない方もいらっしゃると思いますが、実際にそんな生徒は存在します。
専門家によると小中学生の約6%、つまりクラスに1人か2人の割合でいるということです。
そして私の教え子にも、過去にそんな生徒がいました。
やる気は人一倍で、漢字も英単語も何度も書いて練習してくれます。
でも数分後、小テストをしてみるとほとんど出来ません。
最初はふざけているのかと思いましたが、本人は至って真面目です。
なのに、何か月経っても出来るようになりません。
こんなことを続けても本人が苦しむだけだと思い、私は「明らめる」ことにしました。「諦める」ではありませんよ、念のため。
他の子と同じことをさせるのではなく、その生徒の出来ること、出来ないことを「明らか」にしました。
そして、出来そうにないことには目をつぶり、出来そうなことだけに絞って指導することにしました。
英単語は覚えられませんが、英文法の理屈は理解できます。
漢字は覚えられませんが、読解問題は嫌いではなさそうです。
数学や理科の公式は覚えられませんが、計算力はあります。
それまでは覚えてくれないことにイライラしていた私ですが、「明らめて」からは私も本人もストレスなく授業を進むられるようになりました。
暗記を捨てた分、テストでの高得点は望めませんが、少なくとも彼を勉強嫌いにさせることは免れました。
彼は無事、大学にも進学し、今は大学生活を満喫しているようです。
テストで点数を取るためには、「覚える勉強」が必須です。
でも、この「覚える勉強」がどうしても苦手な生徒はいます。
そんな子に「何度も書いて覚えなさい!」と言うのは、拷問に近い行為ですね。
そうやって勉強嫌いの子は増えていきます。
「やれば出来る」は私たち大人にとって非常に都合の良い言葉です。
でも、それが誰にでも当てはまるわけではないということ、私たち大人が1番わかっているはずですよね。
そんな時は、思い切って「明らめる」ことで、突破口が見つかることもあるのではないかと思います。
しつこいようですが、「諦める」ではなく「明らめる」ですのでお間違いなく。
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