時々、無知(無能な)日本マスコミによって事件の本質がトンデモナイ方向に持っていかれ、その報道を耳にした日本人も何も理解しないで日々が流れてゆく、のを感じることがある。

 日本のマスコミは全体主義と護送船団に守られて、恥知らずな「報道しない自由」を謳歌している。都知事選に「ひまそらあかね」が立候補したけれども、この人物についても日本のマスコミは報道しない。恥知らずで通せば日本の社会で生きていけるからである。恥知らずといえば、募金を横領した事件のあった日本テレビ24時間テレビが今年も放送されるらしい。マラソン走って「ん千万」貰うタレントが募金を呼びかけ、子供達がなけなしの小遣いであるコインを瓶に詰めて差し出すという日本の夏恒例の醜態が、今年も繰り広げられるらしい。ほとんど「チャリティー詐欺」とでも言うべき日本の夏の醜悪番組。

 さて、閑話休題。

 

 比較的詳しく報道しているCBCのニュースをキャプチャーして上げておいた。

2023年5月28日 日曜日の朝 16歳の男子高校生は日赤愛知医療センターを受診している

   同じ日の夕方(?)また同じ日赤愛知医療センターを受診

   これらの2回ともに2年目の研修医(別人)の診察を受け、恐らく症状や全身状態が悪いにもかかわらず、急性胃腸炎と誤診している。誤診よりも、恐らく入院経過観察が必要であったろうにもかかわらず、入院させるのが面倒だったのか、「追い返す」ようにして重症患者を帰宅させている。

    5月29日 月曜日 高校生は近くのかかりつけ医を受診。そこで、

「汎発性腹膜炎のため緊急対応が必要」と診断され日赤愛知医療センター第二病院の一般消化器外科に紹介されている。

 汎発性ということは、腹部全体に広がっている、という意味である。

 外科を紹介したのは、急性腹症といって緊急手術が必要かもしれないと開業医が判断したからだろう。少なくとも時間のロスなく一番適切な処置をしてくれるものと期待して、開業医は外科医の元に患者を送った。開業医としては「満点」の仕事である。

 ところが‥‥。

 日赤の外科医は外科適応ではなく、内科で「腸閉塞」の治療をするようにと、消化器内科に送った。

 さて、そこからの経緯は詳しく報道されていない。

 仕方ないので、ここからは推量してゆくだけである。

 そもそも、消化器内科では、どの程度の経験のある「消化器内科医」がこの高校生を担当したのだろう? そうした基本的なことは報道されていない。

 研修医が担当したということはないだろう。研修医は専門医ではない、腹膜炎と腸閉塞の重症患者を研修医が担当したとは「推量できない」。

 だとしたら、まともな消化器内科医が担当した。

 では、その消化器内科医が腸閉塞の治療をまともにできたのか? 「胃の減圧処置」というのは、一番簡単な者としては胃チューブを入れることだけれども、それすらやっていなかったのだろうか? それとも外科が内科に患者を戻したのは、その時点で手の施しようがないほど状態が悪化していたからだろうか?

 報道ではこうある。

 

「男子高校生は消化器内科で入院しましたが、そこでも検査結果から、本人と家族には「絶食と補液を治療方針とし、改善がなければ後日追加検査を行う」と説明され、必要な「胃の減圧処置」はされませんでした。その後、男子高校生は、「上腸間膜動脈症候群」による腸閉塞と高度の脱水で深夜に心肺停止の状態となり、意識が戻らないまま翌月15日に死亡しました。」

 

 その後心肺停止、という「その後」が、いつなのか報道されていない。5月29日の夜なのか、それともそれから数日後なのか不明。

 ただ、6月15日に死亡したことだけは報道されている。最初の腹痛症状が出てから18日後に死亡した。心肺停止から何日後なのかは、これも報道されていない。

 推量だが、消化器内科に入院したときの「緊張感のない説明内容」から考えるに、高校生はその時はまだ「命に危険が及ぶような状態ではなかった」。もし命に危険が及ぶ状態なら、医者はそういった危険性を説明するからである。

 しかし、推量するに、「軽く考えて」、十分な腸閉塞の治療もせず、十分な補液もせず、十分な監視もせず注意もせず、高校生を急性循環不全(ショック)にさせて、恐らくは多臓器不全で死なせてしまったのだろう。

 

 研修医が「誤診」することなど、珍しくはない。だって、「研修医」なんだから。

 しかし、研修医のやっていることを監視指導する医者がいるから、多くの場合・ほとんどの場合、医療事故にはならない。だから、二人の研修医が誤診して高校生を帰宅させたことは、驚かない。

 その後、開業医は適切に診断し、外科医も適切に診断し、消化器内科に、専門治療のできる部署に高校生を送っている。

 ところが、その「日赤愛知医療センター第二病院消化器内科」は、何をしていたのだろう? まさかこの重症患者を研修医が担当したはずはない、専門の、消化器内科医が担当したはずである。ところが、あれよあれよというまに「何ら有効な治療をせずに?」高校生をショック状態にさせて死なせてしまった。

 消化器内科の医者がどのように病態を把握していたのか、どんな治療をしたのか、それは日赤の説明には出てこない。ただただ、2人の研修医が誤診をして、そのフォロー体制ができていなかったで済ませているし、驚くことに遺族も研修医のせいだと思っているようである。

 違う。

 少なくとも開業医にかかったとき・外科に紹介されたときには、高校生はショックにもなっていなければ、緊急にICUに入れられるような重篤な状態でもなかった。

 日赤愛知医療センター第二病院消化器内科の治療が不十分だったから死んだのではないかと推量せざるを得ない。

 もちろん、消化器内科に運ばれたときにどのような状態だったのか、どのような治療がなされたのか、ショックになったのはいつなのか、といった基本的情報がないので、これはあくまでも推量である。

 ただ、これまで報道されているような、研修医が誤診したせいだ、というのは問題の本質を誤解している。

 

 もちろん、日赤愛知医療センターとしては、研修医のせいにしてしまって、その研修医はもう当院には在籍していません、とでも弁明すれば都合のいいことなのだろう。

 日本のダメなマスコミは、何の追求もできず、まともな報道もできない。

 1、2年もすれば世間はこの事件を忘れてくれるのだろうから。

 

PS もし開業医の診断の通りに「汎発性腹膜炎」だったとしたら、それは既にその時点で腸管壊死や穿孔がが起きていたということだから、緊急手術が必須だったはずである。日赤愛知医療センターの消化器外科が判断を誤っていたという可能性は、だから十分にある。腸管壊死や穿孔だとしたら、開腹手術以外では助からなかっただろう。だとすると、消化器内科というよりも消化器外科に問題があった、ということになるけれども、病状の詳細が不明である以上、これも推論でしかない。

 いずれにせよ、日赤愛知医療センターという「名前」を信じて縋っていた高校生とその家族には同情するしかない。