真岡市に家内の親戚がいるので、年に3回か4回は彼女はそこに行っている。東京にいる場合は私も家内に付き合うことにしているので、年に1回か2回は真岡市に行ったり、隣の益子町の温泉ホテルに泊まっている。

 真岡に泊まるときはルートインでのことが多いのだけれども、そして夕食はホテルの近くで取っていたのだけれども(あまり満足できる店はない)、今回は真岡鐵道真岡駅前の、このイタリアンまで出ていって食べた。幸い、店の前には数台駐めることのできる駐車場もあった。

 プッタネスカがあったので、それを注文した。しかし残念ながらそれは、「重苦しい感じ」のプッタネスカだった。もう一度食べたいとは思わない。

 札幌に戻ってきてから、どうも「まともなプッタネスカ」が食べたいという思いに囚われてしまい、「素晴らしいプッタネスカ」を食べることのできる苫小牧の「モルト・ボーノ」まで行ってきた。

 最近、おそらくここ3ヶ月くらいのあいだ、室蘭方面に行くついでに「3回」この店を訪れたのだが、そして普段なら開店している曜日と時間に行っているのだけれども、3回とも店は閉まっていた。

 「田舎あるある」で、田舎ののんびりしたレストランは、公表している開店時間や曜日にかかわりなく、勝手に(?)閉店していることが多い。田舎なのだから、自由に・おおらかに・休みたい時は休むのが楽しい人生の過ごし方なのである、ウルサイ都会人(まぁ、札幌が都会かどうかは措くとして)のことなど、知ったことか、である。電話を掛けても出ないことは、少なくない。

 さて、4回目にして、やっと開店している「モルト・ボーノ」を目にすることができた。で、プッタネスカを頼んだ。下がその写真である。

 

 

 

 

 

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 最初にこの店でプッタネスカを食べたとき、アンチョビとオリーブオイルとオリーブとケイパーとパスタの「快楽シンフォニー」が口の中で繰り広げられ、確かに、プッタネスカ(娼婦風)というのは、こういうことなんだろうなぁーと夢見心地で口を動かしていたことを覚えている。

 

 一つ 真岡の店のものと苫小牧の店の写真を見比べてみるといい。苫小牧のものは、見た目も美しい、魅力的な娼婦が誘っているかのような画像である。見た目は味覚に影響を及ぼす。日本料理が比較的美味しいと思われているのは、見た目の美しさをないがしろにしていないからである。それは実は、イタリアンにも言えることであり、イタリア料理でありながら見た目が悪いのは大きな欠点である、たとえば真岡の店のように。

 

 一つ ケイパーを比べて見るといい。シェフの大きな仕事は、食材を調理することだけでなく、「良い食材を選び調達する」ことにある。どんなに腕のいいシェフでもダメ食材から良い料理は作れない。ケイパーひとつ、オリーブひとつ、その他どれを見ても苫小牧が良い食材を調達していることが分かる。

 前菜では野菜のフリットを注文したが、このフリットは実にしっかりと美味しく揚げられていた。しかしながら、素材が・揚げられた野菜の品質は著しく劣る。多くは小さなブロッコリー。その他の野菜も新鮮な香りを伝えてくれない半端なものばかりだった。これだけ上手に揚げることができるなら、どうして素材をもっと吟味しないのか残念だった。

 

 一つ 店のインテリア。苫小牧の「モルト・ボーノ」の近くに、イタリア人がやっているイタリアンがある。日本人の奥さんと一緒にやっていて、「味は悪くない」。私は2度しか行っていないけれども、おそらくもう行かない。イタリア人も日本人の奥さんもフレンドリーだし、料理も美味しい。だけど行かないだろう。その店は奥さんの祖父がやっていた「歯科医院」の建物をリフォームして作られている。しかし、まるで「大学生協の食堂」のように、あるいは「工事現場の飯場」のように、キツキツで「落ち着かない」のである。どんなに美味しい料理が出てきても、この椅子とテーブルでは料理を味わうことはできない。

 イタリア人シェフの苫小牧の店ほどではないけれども、真岡のこの店もインテリアではとても合格点には達しない、食べていて落ち着かない。ところが「モルト・ボーノ」では、個人の家をリフォームしているのだが、テーブルの間隔は広く、調度品も趣味が良く、落ち着いて料理を楽しむことができる。

 

 一つ オープンキッチンで料理をしているなら、客に顔を見られていることを意識すべきだろう。オープンキッチンからは食べている客の様子を観ることができて、シェフとしては利点が多いだろう。しかし逆にシェフも客から観られている。そのシェフが冴えない・浮かない・辛そうな顔つきでは客の食欲も一気に落ちてしまう。

 千歳に評判のイタリアンがあり、一度ランチに奥さんと一緒に行ったことがある。あいにく、その日のランチは予約客限定だったのだが、説明に出てきたシェフは信じられないくらい暗い顔つきで暗い口調だった。まるで昨日自宅が全焼し、今朝女房が若い男と有り金全部持って駆け落ちして消えてしまった、とでもいうような雰囲気の暗い顔。この暗い顔つきのシェフが幸せを与える料理を作るとは、到底信じられなかった。ネットでの評価は高い店だったが、シェフの表情を見て、私はその店に対する興味を完全に失った。

 オープンキッチンで料理を作るのなら、少しは・少しでも「楽しい雰囲気」を振りまくべきだと思う。旧軽井沢のルグランホテル、や釧路のRICASA(ここ、いつの間にか炉ばたキッチンになっていた)でも、オープンキッチンの向こうの料理人たちは明るかった。明るい顔をした医者と暗い顔つきの医者なら、とりあえず私は前者を選ぶし、前者になりたいと常に思っている。

 

 奥さんがフロアーを担当している女性と少し話をした。どうやら、この真岡のイタリアンは夫婦でやっているらしい。開店して6年目になるという。いろいろ欠点を挙げてきたけれども、サルシッチャのピザはとても美味しかった。丁寧に作られているピザであり、これは星5つ。

 もう一つ、ついでに欠点を記録しておくと、このオステリア・オルヴィエートという店では、ノンアルコールビールの選択肢は、あの、とても不味い、サントリーのオールフリーしかない。仕方ないのでそれを注文したが、どんな料理も不味くするこのサントリー製品だけは変更して欲しいと思った。

 

 プッタネスカは、