以下に引用している文章は、私が感心したとか肯定できると思ったものではなく、全くその逆で、こんなくだらないナンセンスなことを言っていることに呆れてしまったからである。特に、占星術とか周波数とか、頭がイカれてしまっているニューエイジ信者特有のものである。

 

(P16〜)

 なぜアルコールはこんなにも⋯⋯幅をきかせているのか。酒を飲まない(飲めない)自分を変わり者、場違い、迷惑に思うのはどうして?  なぜ飲まない理由をごまかしてしまうんだろう?  一滴も飲まずに人とつきあうことはできるのか。周りは酒好きばかりなのに?

 今のあなたが昔の私と同じように飲んでいるなら、もっと深刻な疑問を感じているかもしれないーーこんなことばかり考えるのは⋯⋯ひょっとして依存してるから?

 その可能性は否定できない。

 断っておくと、私は医者でも脳科学者でも依存症の専門家でもないので人様の飲み方を診断する立場にはない。けれども、後悔の日曜だったか、みじめな月曜だったかに始まった自問をきっかけとして、酒とのつきあい方を根本的に、徹底的に見直した。見直す範囲は自分の過去や人生観にまで広がり、ここ10年は答えを見つけることに多くの時間を割いてきた。

 そうするなかで飲み方が変わり、飲み方に対する考え方が変わった。飲酒という行為そのものに対するスタンスが一変した。アルコールが人間関係、生産性、幸福感、社会全体に与える影響を知った。その結果、生き方まで変わった。今は毎日が気分爽快で充実しており、すべてを手に入れた気分にさえなる。

 こういう自問自答を、ソバーキュリアス(引用者付加 sober curious)、略して「ソバキュリ」と呼ぶことにした。何を問うかは人それぞれだろうーー飲む量を減らすには? もっと人生を楽しむには? アルコールが浸透している世の中で断酒を貫くにはどうしたらいいのか。けれども、酒に関してひとつでも疑問を感じたことがあるなら、あなたも立派な「ソバキュリアン」だ。

 

 

(P138〜)

 確かに酒を断って意識が鮮明になると霊的に目覚めた気分になり、生命力を送り込んでくれる神秘の力と交信しやすくなるかもしれない。しかし、私の場合は順番が逆だった。ご存じの方もいるかもしれないが、私は天界の神秘とライフスタイルをテーマにした「ヌーミナス」というウェブサイトを立ち上げ、ニュー・エイジの現代版「ナウ・エイジ」(私が命名)に役立つ情報やツールを発信している。具体的には、占星術、ヨガ、瞑想、タロットといったツールだが、どれも私がハマっているもので、前著でもこうしたツールの活用法を紹介した。こんな話をすると怪しいやつに思われそうだ。どう思われようと構わないけれど、あなたを洗脳するつもりはこれっぽっちもないことだけは分かってほしい。

 ただ、これらのツールを使うことは精神修業だと思っている。私はそのおかげで自分の魂と交信しやすくなった。精魂との交信を促す行いはすべて精神修業だ。「テキーラを飲むほうが魂と触れ合える」と言う人がいるかもしれないが⋯⋯この話をすると長くなるので、詳しいことはあとに譲ろう。

 いずれにせよ、有力紙の記者の肩書を捨て、ウェブサイトを開設し、「不思議の国のアリス』のように超自我と神秘の世界に飛び込び、潜在意識の底までのぞいたおかげで目を覚ますことができた。

 また、自分のあり方、生き方、使命、そして地球の現状について魂を揺さぶられるよう発見があったこともヌーミナスを続ける原動力になっている。もちろん、飲まない生き方を貫くエネルギーにも。

 

 

(P156~)

 過去を振り返りながら、自分が情けなくなった。次に悲しくなった。その次に腹が立ってきた。最後は涙が止まらなかった。そして自責の念に駆られた。どんな事情があったにせよ、あれほどひどい環境に身を置き続けたのは自分の責任だ。私は一方的な被害者ではない。そう気づいてから初めてやぎ座を許し、自分を許し(瞑想、執筆、密教、占星術のおかげでカルマを理解した)、前を向くことができた。周りの人にも感謝している。母、うお座、ヒーラー、友達に支えてもらった。

 もうひとつ気づいたのは、やぎ座は最初の依存対象だったということだ。私はやぎ座に人生を丸投げし、両親が離婚したショックや大人としての責任から逃れようとしていた。摂食障害を起こしたのは自分の体や、やぎ座から逃げるため。そして、最後がアルコールだ。それまでの依存対象とは違って、飲めば楽しく、晴れがましく、陽気になれるし、人の輪の中に堂々と入っていける。依存が長引いたのも不思議ではない。

 こんな身の上話をするのは同情を引きたいからではない。自分の飲酒歴を掘り下げると、点と点がつながり一本の線になることを説明したかったのだ。こういう未解決の問題は断酒の効果に慣れてくるころにかならず(と言っていいほど)表面化する(ネタバレ注意――人生は二日酔いがなくなると確かに好転する。有毒物質が体に入ってこないから、体調が改善し、毎日が楽しい。でも楽しいから"ラク"とは限らない!)。

 誰にでも心の古傷はある。自覚はないかもしれないし、深い傷ではないかもしれない。それでも、自分には何か肝心なものが欠けているとか、心が満たされないと感じたりするのは、古傷がうずくせいかもしれない。

 

 

(P208~)

 多くの通過儀礼には命の危険を伴う儀式があり、その儀式をとおして一人前になったことを証明する。エチルアルコールの一気飲みも命の危険が伴うが、それが大人への通過儀礼になったのはいつからだろう。

 それならソバキュリも一種の通過儀礼ではないか。肩身の狭い思いをし、浮いた存在になるリスクを覚悟し、肌触りの悪い岩肌に心をすりつけ、脱皮を試みるのだから。

 サンスクリット語の「タパス(tpas)」は「熱」を意味するが、ヨガの世界では「前向きに変わるために火中に身を置く」(ヨガインストラクターのステファニー・スナイダー)ことを指す。確かに苦しいポーズをキープしていると、筋肉が収縮して体がほてる。ポーズを続ける間は集中力を切らしてはいけない。すべては強さ、柔軟性、精神力を身につけるためだ。ソバキュリに置き換えると、周囲の反応に動じず、嵐が過ぎるのを待ち、成果にだけ目を向けることである。成果とは本当の友達が分かる、同調圧力が気にならなくなる、嫌な仕事に費やしていたエネルギーを本当にやりたいことに注げる、寝たい相手とだけ寝ることができる等々だ。

 もう一度、言わせてほしい。断酒をして周囲にどう思われても動じることはない。嵐はかならず過ぎる。だから、我慢と気合と理解者と自尊心を大切にしよう。「なにかにつけてアルコールに頼るのは「少しのストレスにも耐えられません」と言っているようなものね」とステファニー・スナイダーは指摘する。「そんなのナンセンスだと思うわ。人生にストレスはつきものじゃない?」

 慣れないことに慣れる勇気がわいてきただろうか。

 

 

(P224~)

 私が運営するウェブサイト・ヌーミナスは「ナウ・エイジ」をスローガンにしている。「ニュー・エイジ」に欠かせない占星術、ヨガ、瞑想、ヒーリングといったツールは「今」の時代にこそ必要と考えるからだ。こうしたツールはソバキュリアンに転身し、自分を見つめ直す際にとても参考になったし、めまぐるしく変化する21世紀を正気で生き抜くためにも欠かせないと思う。現代は人間同士の絆が薄れ、テクノロジーと嗜好品があふれ、依存症を助長するかのように簡単に欲求を満たせる時代だ。しかし、これらのツールを活用すれば、心身のエネルギーの"周波数"が上がる。すなわち、細胞内の原子の振動数が上昇し、森羅万象をつなぐハイヤーパワーと交信しやすくなるのだ。

 なぜ周波数を上げる必要があるのか。それは気持ちが前向きに、穏やかに、寛容になり、喜びを感じる機会が増えるからである。そう、周波数の変化は心境の変化とな

って表れる。

 生体エネルギーの周波数を研究して30余年になるデイビッド・R・ホーキンス博士は情動や感情を数値化し、「意識の一覧表」なるものに表示している。1から1000までの「意識指数」を見ると、最下位の「引け目」の周波数はたったの20、下から2番目の「罪悪感」は30だ。上位では「勇気」が200、「愛情」が500、「喜び」に至っては540。唯一の700超えは「悟りの境地」である。

 ちなみに周波数の違いは感情の善悪や優劣を表わすものではない。周波数の低い感情(引け目、罪悪感、怒り、悲しみ)も高周波の感情と同様に意味がある。どんな感情も魂が発する大切なメッセージを含んでいるからだ。幸いにも私たち人間は意識の動物であり、低周波の感情に耳を傾け、そのメッセージを受け取り、心の周波数全体を底上げできる。要するに、好ましくない感情を根本から癒やし、調整できるのだ。

 

 

(P242)

 飲まない生き方を意識し始めたころ、やっとの思いで手に入れた「タイムズ」紙の仕事に疑問(ほかにやることはないの?)を感じるようになった。その疑問が解決すると、今度は、「1日中、勉強したり、考えたり、人に話したりしても飽きないことって何だろう?」と思い始めた。その答えが占星術だ。占星術の学習がヌーミナスの開設、魂の覚せい、デビュー作の執筆、ソバキュリアンへの転身につながり、現在に至っている。「楽しい」と「退屈知らず」は表裏一体だ。飲まない生活を退屈に感じたら、どんなに勉強しても話題にしても飽きないことを探すといい。

 

 

(P252~)

〇ヒーリング(とくに呼吸法)

 #HealinglsTheNewNightlife(#ヒーリングは新しい夜遊び)というハッシュタグを最

初に発信したのはヨガインストラクターのアマンダ・カポビアンコだ。アマンダはブルックリンのウィリアムズバーグに引っ越してきた当初、ニューヨークの夜遊びは、小さなバーで生演奏を聴きながらグラスを傾けることだと思っていた。それがいつしかサウンド・バスや新月鑑賞会やブレスワークに変わったという。ブレスワークは音楽を採り入れた癒やしの呼吸法だ。邪気を払う効果が絶大で「泣けるオーガズム」とでも言うべきデトックス作用がある。

 私がブレスワークを初めて体験したのはブルックリンの公園に設置されたティピー(円錐型のテント)の中だったが、しらふであんなにハイになったことはない。終わったあと、首から上はイースト川を漂い、首から下は幸福感でいっぱい。残りの人生はハグだけで生きていけると思ったほどだ。しかし、本当に意識がトリップしたのはブレスワークの最中である。思い出のシーンがフルカラーで走馬灯のように浮かび、自分の気、周囲の気、宇宙の気を肌で感じた。催眠療法、クンダリーニヨガ、シャーマン・ヒーリングでも似たような体験ができる。クンダリーニヨガは呼吸をとおして気の滞りを改善し、シャーマン・ヒーリングは潜在意識の深遠さをのぞかせてくれる。そこに酒やドラッグの出る幕はない!