ネットの中に過去の情報が全て積み重ねられて保存されているわけではない。
先日、札幌ドームで開催された浦和と札幌のサッカー試合。ピッチである芝の状態が劣悪であるという記事が目についた。
23/24年の冬が特に積雪が多かったわけでも天候不順が続いたわけでもない。例年と変わらぬ積雪と天候であったにもかかわらず、今年はなぜ劣悪な芝が「登場した」のだろう? これまで毎年この時期に開かれるドームのシーズン初試合で芝が劣悪であるという報道はされたことはなかったと思う。ところが今年はひどいものだったようだ。劣悪な芝は選手生命にかかわるケガを引き起こすこともある。
クマは思った、貧すれば鈍する、ということなのではないだろうか、と。
何しろ、日本ハムが去って、札幌ドームの赤字は毎年3億、という。これもおそらくは札幌市の役人による控えめな数字で、札幌市民の肩に押し付けられる赤字はこんなものではないだろう。
金が無いので、「例年通りに芝に金をかけることができなかった」と勘ぐられたとしても仕方ないのだけれども、地元のマスコミは何故ことしはヒドイ芝のまま試合が開催されてしまったのかについては何も報じてはない。ちなみに、札幌ドームを運営する会社(株式会社札幌ドーム)の前の社長はHBC(北海道放送)というテレビ会社の社長から天下りした長沼修、という男だった。つまりは、どれほど札幌ドームが醜態を晒そうとも、今も、地元マスコミの忖度によってマスコミも一枚噛んでいると思われる利権構造にはメスが入らないのだろう。
ここを参照:
札幌ドームは、使われることも少なくなり、生ける屍ならぬ生ける廃墟、となってきている。つまりは、屹立する巨大な「墓場」「墓石」と呼ぶにふさわしい。屋根に刻まれているのは「札幌市役人天下り之墓」という文字である。
グーグルで「札幌ドーム 天下り」と検索すると、いろいろな記事が出てくる。
しかし、もちろん、北海道内で「活躍する」マスコミの記事はほぼないし、ましてや批判的な記事は皆無である。
墓場となってゆく札幌ドーム問題が、実は、役人とマスコミの腐敗癒着問題であることを知ることができるだろう。
さて、以上が前置き。
札幌クマは(私は)、札幌ドームから歩いて25分の距離に住んでいる。ドームでは2回、日本ハムの試合を観たことがあり(新庄が選手としていた頃)、何かのイベントでグランド(人工芝)に入ったことも1回ある。だから、ペラペラの人工芝で野球選手の身体にとって危険だ、という意見には素人ながら、「ほんとだなー」と同感したものである。
さて、度重なる札幌市天下り会社からの「冷遇」に耐えかねて、日本ハムが新しい球場を自前で作る、と発表したとき、その時の、そして今も相変わらずやっている札幌市長は何と反応しただろうか?
あまりにも呆れたので、クマははっきりと覚えている。
札幌市長はこう言い放ったのである。
「条件交渉には一切応じない」
つまり、札幌市長は日本ハムが移転を仄めかしたときに、それは日本ハムによるブラフだと決めつけていたのである。この札幌市長も札幌市役所の役人上がりである。株式会社札幌ドームには札幌市の役人が多数天下りをして利権を享受しているという。札幌市長は仲間の「元札幌市役所役人たち」の利権を守るために、傲慢に日本ハムを足蹴にした、ということなのである。
そして札幌市長の偉そうな発言に頭に来た(?)日本ハムは、移転話しをどんどん進め、札幌市と縁を切るために札幌市外の北広島市に球場を建設することを決めた。
札幌市役所と同じように、JR北海道も問題の多い組織であり、北広島市に移転してJRが円滑な観客輸送のために努力するかというと、それも期待はできない。しかし、それを考慮しても日本ハムは「札幌市役所との縁を切りたかった」のだろう。
条件交渉には一切応じないと傲慢をかました札幌市長は、もちろん、札幌市民に莫大な税金負担を押し付けることになっても、謝罪もしなければ給与減額をするでもない、相変わらず傲慢を続けて、冬季オリンピック誘致に税金を浪費し、その他数々の失政を続けている。もちろん、札幌市民が札幌市長を選んだのであり、市長の尻拭いはこれから札幌市民が長い時間をかけておこなわなければならないのだろう。
もう一つ、これもネットには記録には残っていないけれども、クマの頭に強烈に残っているエピソードがある。
日本ハムが梨田昌孝監督のもとでリーグ優勝をしたのは2009年のことだった。この年の優勝を祝うテレビ放送を見ていると、梨田監督とダルビッシュが並んでインタビュー受けている場面となった。二人とも椅子に座ってユニフォーム姿。ローカルテレビ放送の打ち解けた雰囲気で話しが進んでいたときに、ダルビッシュに札幌ドームはやりやすいかといったような質問が向けられた。そのとき、ダルビッシュがちょっとムッとしたような雰囲気で、こう応えた。
「ロッカー室のシャワーですが、突然熱湯になったりするんですよね、あれを変えて欲しい」
隣に座っていた梨田監督が、すかさず、困ったようなちょっと怒ったような顔になって、
「それを言うな、っちゅうの」と場を取り繕っていた。
安いダメなホテルなんかに泊まると、シャワーを浴びていると突然熱湯になったり冷水になったりする。要は、しっかりとシャワーのサーモスタットの調整をしていないから、安物のサーモスタットを使ったりしているからである。高級ホテルでそんな目にあうことは決してない。
つまりは、札幌ドームは日本ハムの選手たちに劣悪な安ホテルのようなサービスを提供していたのである。
ダルビッシュはああいった性格だから、公然と本当のことをポロリと口に出す。立場上、梨田監督はダルビッシュの尻馬に乗っかって札幌ドーム(札幌市)を批判するわけにはいかないので、「それを言うな、っちゅうの」とたしなめるしかない。
考えてもみて欲しい。
日本ハムの選手が試合を終えて汗臭い身体をロッカールームのシャワーで洗っている。気持ち良い、暖かいお湯が流れてきていると思ったら、突然それが熱湯になる。悲鳴を上げて飛び退けるだろう。球団から札幌ドームに改善して欲しいと頼んでみたところで、「条件交渉には一切応じない」の札幌市の態度を見ても判るとおり、けんもほろろに相手にされなかったことだろう。
ダルビッシュだけではない、歴代の選手たちも、大谷翔平も、みんな札幌市の「虐待」に黙って耐えてきたのだろう。だからこそ、万難を排して、札幌市から逃げ出したのだろう。
日本にある5大ドーム、あるいは6大ドームの中で、野球の球団の本拠地となっていないドームは札幌ドームだけである。
殿様商売ならぬ「天下り役人商売」を今でも続けている札幌ドームは、生きながらにして廃墟となることは間違いないだろう。地元では、取り壊して競馬場を作ろうという話しまで出ている。取り壊したところで、その費用などなどの膨大な税金負担は札幌市民の肩にかかる。
今の札幌市長を選んでいるのは、札幌市民である。
ならば、仕方がない、これから次々にやってくる全ての負担と不幸は、札幌市民が負うしかない。
ドームの命名権を年間2億5千万で売り出したが、当然のことながら、応募する企業はなかった。こんな値段を出すこと自体が、どれほど札幌市の役人や天下り役人の頭が非常識なのかを理解できるだろう。他のドームは命名権を高く売っているけれども、それは球団があり試合が多くあり、従って宣伝効果があるからである。
生きる廃墟と化した札幌ドームに企業の名前が付くとしたら、その企業の常識も疑われて倒産することだろう。疫病神のようなドームに企業名を付ける、なんていうこと自体悪い冗談である。
ところで、札幌クマの趣味は、霊園散歩である。
札幌ドームが「墓場」となりつつある以上は、この巨大な銀色の「墓標」にもまた再び足を運んでゆっくりと散歩してみて、感想などをこのブログに上げてみたいものだと考えている。