上の写真は上野駅の構内。先日、東京で家内と待ち合わせをしているあいだに撮ったもの。上下二階建てのホームを見上げていて、ふと、遠藤彰子の絵の中にいるような幻想に囚われた。遠藤彰子の展覧会は、4月から札幌の芸術の森美術館で開催される。それを今から楽しみにしている。

 

 記憶が薄れないうちに記録しておく。

 半年ほど前に医療関係の知り合いから電話がきて、「誰も人がいなくて困っているんで、先生、お願いしますよ」と嘆願された一件があった。在宅医療をやっている小さな組織で、そこで働いているたった一人の医師が交通事故に遭ってしまい、代理の医師の手配がつかないのだという。

 私は在宅医療ということをしたことがない。何も知らない。そう言って最初は断った。しかし、普通の内科の医師なら何も問題は無いという。たった5日間だけでいいとのこと。それ以降は医者の手配は付いたのだけれども、2日後の月曜日から金曜日までの医者が見つからないという。切羽詰まっていたのである。以前、彼には世話になったことがあり、無碍に断ることもできず、まぁ5日間だけなら、ということで私は臨時助っ人医者として働いたことがあった。

 それは初めての経験だった。

 在宅医療というから、個人宅を診療して歩くのかと私は思っていた。

 しかし、在宅で伺う患者さんは1日たった一人か二人であり、実のところは「老人ホーム」に居住している人たちを(老人たちを、80歳90歳、ときには100歳を超える老人たちを)、午前20人ほど、午後も20人くらい診て歩くというのが現実だった。40人中35人くらいは変化のない人で、聴診と問診だけで済むのだけれども、中には専門病院に紹介したり、内服薬を変更したり、皮膚病変を処置したりしなければならない人もいた。しかし仕事の内容は確かに、「普通の内科医」なら対応できるものだったし、何よりも一緒に付いてくれる看護師などのスタッフがどの場合でもとても優れていた。

 

作成途中





やがては共に塵となる

それを知りながら

そして笑いながらそ

二人して旅を続ける

頬を撫でてゆく微風

からだを再び熱くしてくれる温泉

海と空と教会と墓地と絵と音楽と

美味しい料理が与えてくれる歓び

そして抱き合って眠りに就く毎夜

やがては共に塵となる

その最期の日まで笑い

二人の旅は続いてゆく

……人生は楽しい