ケヴィン・ベーコン主演「Taking Chance / 戦場のおくりびと」 | Saphiraの海外ドラマ中毒

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スターチャンネルにてHBO特集ということで
2009年のHBO映画 Taking Chance / 戦場のおくりびとを観ました。

ノーマル・ハートのときも思ったんですが
決して派手な映画じゃないけど、
HBOは地に足のついたいい映画作るな~と今回も思いました。

 ネタバレご注意ください。

 


イラクの戦場から帰国し、家族と再会したばかりの海兵隊のマイケル。彼は、戦死したアメリカ兵の遺体を、彼らの故郷まで移送する任務に志願する。マイケルが担当するのは、チャンスという名前の若い兵士の遺体。専門家たちによってチャンスの遺体は清められ、遺品もまた洗浄されて棺へと納められてゆく。マイケルはチャンスの家族が住むワイオミング州まで、飛行機や車を乗り継ぎ、十分な配慮のもと丁寧に移送してゆくが…。                                                           【スターチャンネル公式サイトより】


「戦場のおくりびと」っていう日本語のサブタイトルから想像して
主人公は戦場に赴いて、戦死者を連れ帰ってくる人だと思ったんですよ。
でも違いました。
正しくは「戦死者をおくるひと」かな。
Takiing Chanceは「チャンスを送る旅」と訳されてました。
一か八かのTake a chance とは関係ないかな?


時は2004年――
ケヴィン・ベーコン演ずるマイケルは、すでに内勤を志願して
アメリカで家族と平和な生活を送っています。
戦死者数から算定して増援兵の数を試算するという職務についてるわけですが、
イラクから戻って久しいために、幹部会議でその数字をまともには認めてもらえない。
それよりなにより、戦地から離れて、安穏と内勤をやってる自分に
ちょっとした罪悪感みたいなものがあるわけです。
はためから見れば、もう十分お勤めしただろうという年齢なんですが。

将校であるマイケルが、最新の戦死者のデータに見つけたのは、
19歳のチャンス・フェルプス一等兵の名前。
自分と同じ州の出身ということで、ふつうは将校の身分ではやらない任務なのに、
あえて異例だけどと、チャンス一等兵の遺体を移送する任務に志願したのです。

何もショッキングな出来事があるわけじゃなく、
派手な演出があるわけじゃなく、
淡々と進むお話なんだけど、すごく説得力があって目が離せないんです。

戦地から戦死者が空軍基地に送られてくると、
まずは遺体を洗い流し、
爆発物検査のレントゲンにかけ、
それから手指から爪の先まできれいに清め、
遺品を洗い、立派な軍服に着せ替える。
たとえ、遺族に棺を開けさせないような無惨な遺体でも、
一点のほころびもない勲章つきの完璧な軍服を着せられます。
そんな部署があるとは想像したこともなかったから、
現実をつきつけられるというか生々しいというか。

この19歳の一等兵が移送されるとき
空軍基地から始まって、空港、飛行機内、乗り換えの空港、車での移送まで、
棺、あるいは軍服姿のマイケル(ケヴィン・ベーコン)を目にしたアメリカ国民は
「戦死者を移送中なのだ」とすぐさま気づき、
最大限の敬意をもって接する。
その敬意の深さにマイケルは感動を覚えるのです。

 


素直に観れば、静かに反戦を訴える映画なのだな~と思います。
うがった見方をすれば、アメリカのやっていることは間違っていない、
という免罪符に見えなくもありませんが。

実在の兵士の話を元にしているそうで、
最後にはチャンス一等兵の生前の写真が次々と写しだされます。
こういうのには弱いわ~

若い命がこうして簡単に奪われてしまう戦争、
個人的には、
日本の「おくりびと」よりは遥かにズシッと胸にこたえた映画でした。

ケヴィン・ベーコンはこれでゴールデン・グローブ賞のTV映画部門で
主演男優賞を受賞。
すごくカッコよくて、すごく渋くて、すごくステキでした

 


悲しいかな、この作品は2009年のもの。
以来、あちこちでテロや内紛はおさまる気配がありません。





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