(O)


 太陽先生が…太陽パパに…

僕のパパになる…


小さい頃、太陽先生みたいなパパがいたらな~…て思ってたから…

だから、母ちゃんと太陽先生が再婚して、太陽パパになるのは、すごく嬉しいっ…

でも…そしたら…


「じゃあ…翔くんは…僕のお兄ちゃん…?」


「…そうだけど…別に…今まで通り、名前で呼んでくれていいから…」


「うん……」


翔くんは…翔くんだもん…

お兄ちゃんなんて…呼ぶもんかっ…

でも…

でもっ…

僕達……家族になるんだよね…

血の繋がりはないけど…翔くんと僕は…兄弟になるんだよね…


翔くんとつき合うつもりでいたけど…つき合ったら…マズいんじゃないかな…

翔くんも…太陽先生の再婚相手がウチの母ちゃんて知らなかったっぽいよね…


翔くんは、どう思ってるんだろ…

つき合おうかって言ったの、撤回する…?


テーブルには、懐石料理ていうの?次々並んで…

母ちゃんと太陽先生はビールで、僕と翔くんはジュースで乾杯して…

お刺身とか、小鉢の和え物とか口に運ぶんだけど、なんか味がよく分かんなくて…

母ちゃん達が話してる内容も、途中から頭に入ってこなくて……



気づいたら、翔くんの実家のリビングに、翔くんと2人でいた…


「あ…れ…?母ちゃんと太陽先生は…?」


「え…2人は智ん家に…夫婦水入らずでどうぞって、分かれたじゃん」


「あ…そうだっけ…?」


「まあ、無理もねぇか…途中から、心ここにあらずって感じだったもんな?(笑)」


「あ…うん…」


「……何考えてた?」


「え…?」


「親父達の再婚には賛成なんだろ?」


「それはっ…もちろん…賛成だよ…でも…」


「でも、何?」


「…え…と…その…翔くん…と…」


やっぱり…僕と翔くんがつき合うの…ダメ…だよね…


「…俺とは、つき合えねぇか?」


「…………うん…」


「返事、急がねぇって言ったけど…それが返事でいい?」


本当は…嫌だよ…でもっ…でも…しょうがないじゃんっ…


「…………うん…」


「…わかった」


そう言って、翔くんはソファーから立ち上がって、玄関の方に歩いていく

僕は、慌てて翔くんのあとを追って玄関まで行く


「アパートに帰るの…?」


「うん…」


「何で…?こっちに泊まるんじゃ…」


「…心配しなくても、親父達の前では仲良い兄弟、演じてやるから」


「えっ…」


そう言い残して…


翔くんは出ていってしまった…




(S)


 食事会の途中から…智と目が合わない…


親父達の再婚は喜んでるみたいだけど…

俺と兄弟になるのは困惑してるってとこか…?



食事会が終わって、マンションまで戻ってきた時に、「せっかくだから、夫婦水入らずで過ごせば?」て、提案に、親父達は戸惑いつつも…

智の家の階で、2人にエレベーターを降りるように言ったら、素直に降りていったんで…


「おやすみ~♪」て、俺と智は、俺の実家に行くことに……こっちも2人で話したいしね…


リビングのソファーに智を座らせると…やっと、今の状況に気づいたみたいで…


まあ、途中からずっと心ここにあらず状態だったからな……


ちょっと……つついてみるか…


「…何考えてた?」


「え…?」


「親父達の再婚には賛成なんだろ?」


「それはっ…もちろん…賛成だよ…でも…」


はぁ… 俺、フラれるんだろうな…


「でも、何?」


「…え…と…その…翔くん…と…」


「…俺とは、つき合えねぇか?」


「…………うん…」


やっぱりか……予想してたとはいえ、キツいな…


「返事、急がねぇって言ったけど…それが返事でいい?」


「…………うん…」


そう言って、智は俯いてしまう


はぁ…こいつなりに考えて出した答えだからな…困らせたくね~し…ここは、いったん引くか…


「…わかった」と、玄関に歩いていく…


俺は、まだこいつとのこと割り切れてね~し…このまま二人きりで…何もしない自信ないし…

てか、絶対するし… 今日のところはアパートに帰った方が良さそうだ…


智も玄関まで来ていた…


「アパートに帰るの…?」


「うん…」


「何で?こっちに泊まるんじゃ…」


「…心配しなくても、親父達の前では、仲良い兄弟、演じてやるから」


「えっ…」


そう言って、実家を出た


…ちょっと…意地悪だったか…


エレベーターに乗ろうとすると…


「翔くん、待って」と智が追いかけてきた


もしかして、つき合えないっていうの、撤回してくれるのかと思ったら…


「翔くん家に1人で居るの気が引けるから…行かないで…」て、腕を掴まれる…


「二人きりだと…俺、何するかわかんね~ぞ?」と言うと…


「まだ…兄弟じゃないから…いいもん」


て、何?その理屈…


「あのな~…智…」


ガバッと抱きつかれる


「帰っちゃ…嫌だ…」


…ったく、何なんだよ…


「…つき合わねぇんだよな?」


「……うん…」


「…このまま戻ったら、キスするぞ?」


「…いいもん…」


意味がわからねぇ…


けど…


「わかったよ…」


俺は、智と一緒に、家に戻ることにした…











ホントにキスするの…?するよね…?