(O)


 縁の行き止まりの所で待ってると…


「智くんっ…」


眼下の歩道から呼ばれて、見ると櫻井さんが、両手を広げて僕を見上げていた…


「櫻井さんっ…/////」


僕は、櫻井さんの腕の中にポスンとおさまる…


「やっぱり、ここ…なんだね」


「うんっ……ここ!だよ…/////」


ねぇ…もお、言ってもいいでしょ…?


「智く…」


「櫻井さんっ…僕っ…僕ね、櫻井さんのことが…んんっ…/////」


う…そぉ…櫻井さんと…キス…してるっ……/////


「…智くん…好きだよ…/////」


櫻井さんから…好きだって言ってくれた…


「…櫻井さん…」


「翔…」


「えっ…」


「名前で呼んで…」


いい…の…?

僕…ずっと、名前で呼びたかったんだ…


「翔…くん…?」


「うん…」


あ…僕も、伝えなきゃ…


「僕もね…すっ…好き…/////


恥ずかしくて、声が小さくなってしまう…


「うん…?」


ちゃんと…言わなきゃっ…


「翔くんが…好きっ……んっ…んっ…/////」


わ…またキスされたぁ…/////

何度も啄むようにキスされる…

嬉しいっ……けど、まだ、ここ外だよ💦


翔くんの胸を軽く叩く…


「…ごめんっ」


「…ううん…/////」


唇を離される…

ううっ…離されると、もっと…て思っちゃう…/////



翔くんの車の助手席に乗ると…「家まで送ってくよ」と言われる…


「えっ…うん…」


もっと…一緒にいたいのにな…

翔くんは…平気なの…?


「少しだけ…遠回りして送っていい?」


「え…」


「もう少し、智くんと一緒にいたいからさ…」


「うんっ…/////」


同じだった…翔くんも、一緒にいたいって、思ってくれてるんだ…!



でも、近くをくるくるゆっくり走らせて…

すぐ僕ん家の傍に車が停められる


「あ~あ、もお着いちゃった…」


「明日、また会えるじゃん…」


「そうだけど…さ…」


まだ一緒にいたいんだもん…帰りたくないんだもんっ…


「…智くん」


不意に名前を呼ばれ、翔くんを見ると…


「え…んんっ…/////」


頬に手を添えられ…優しいキスをくれる…


翔くんのキス…好き…/////


「また、明日 迎えに来るから」


「うん… 明日…だけ…?」


僕は、毎日でも会いたいんだけど…


「え…はっ(笑) 智くんが望めば、明後日も、その次の日も…いつでも迎えに来るよ」


僕が望めば…いつでも…?


「本当…?」


「本当だよ、もう助手席と、ここは智くん専用だろ?」


そう言って、翔くんに抱きしめられる

僕も翔くんの背中にギュッと腕を回した


「うんっ…/////」


嬉しいっ… ずっと…僕専用になればいいのにって思ってたんだ…


これからは…ここが、僕の場所なんだよね…

翔くん、もお離さないでね…

ずっと、僕のことつかまえていてね…!

僕が望むなら、いつでも来てくれるんだよね…

じゃあ、僕は…

毎日、翔くんに会いたいって願うよ…!


そして…


晴れた日に、また海に連れていってね!


来月は…


お花見にも行こうね…!







 END

******************

☆そして…その後の二人を翔くん目線で…




【お花見編】


(S)


 桜前線北上中…🌸🌸🌸🌸🌸


ここら辺の地域は、今が見頃の桜満開時…


智くんの雨男(らしい)パワーも成りを潜め…


本日は快晴…まさに、お花見日和…!


雅紀とつき合ってた頃… 当初、皆でお花見しようとしてた所は、屋台やキッチンカーが並ぶ公園内のお花見祭り…

そこの桜も、もちろんキレイなんだけどさ…


智くんと…恋人と行くなら、一緒に行きたい桜の名所がある…

場所は、ここから車で1時間位の、とある城跡…

その周辺に、桜の木がぐるりと城壁を囲むように植えられてて…

城前の橋向の川沿いには、桜の並木道がある…


小学生の頃、両親に連れていってもらった事があり、見事な桜のアーチに感動したのを覚えてる…

そして、幼いながらにも…ここへは、大きくなった時に、恋人とまた来たい…!

そう、思ったんだ…


智くんに話したら、俺と、その桜の並木道を歩きたいと言ってくれた…



🌸🌸🌸🌸🌸🌸


「ここだよ」


車を下りる


「わ…駐車場の周りも桜が咲いてる」


「ここのは、背が低い桜の木だな…橋の向こうの桜はもっと大きいよ」


「楽しみ~♪あ、屋台もあるんだ!」


「あとで、何か食べようか」


「うん♪」


橋の上からも、周りの桜の景色を楽しめるから、智くんはキョロキョロしてる…

その腰に手を添えエスコートするように、ゆっくり歩いていく…


桜の並木道に差し掛かると…微風と共に甘い香りと薄ピンクの花びらが俺達を迎えてくれた…


「うわぁ~…すごっ…!」


智くんは、目をキラキラさせて、桜のアーチをゆっくりと進んでいく…

緩い風に舞う桜の花びらを掴もうと手を伸ばし…時折、「キレ~…」「大きいなぁ…」「桜のトンネルだぁ…」と感嘆の声を漏らす…

そんな智くんの視線を追うように見上げる…

桜のトンネルか…確かに…


「そうだな…」


視線を隣の智くんに戻す…

月並みかもしれないけれど…桜より貴方の方がキレイだよ…

桜は1年の内の、この時期だけキレイな薄ピンクの景色を魅せてくれる…

けど、智くんの美しさは永遠か…

桜は散ってしまっても…貴方の白い素肌に…ピンク色の花を咲かせて、満開にさせたい…

なんてな…妄想が過ぎるな…(笑)


「そうだっ…」


「ん?」


「この桜のトンネルと翔くんを描こうかな…」


「え?桜はわかるけど…俺も?」


「うん…『桜と僕のサクラ』…いい?」


「光栄です♪」


「んふふ…♪」


桜のトンネルをUターンして、またゆっくり歩く


並木道の下…土手を挟んだ向こうに川が流れている…天気がいいから、土手にはシートを敷いて花見を楽しむ人も何組かいる…


「あ、ほら、桜筏」


「サクライカダ?」


「水面に浮かぶ桜の花びらを筏に見立てたんだよ」


「わぁ…すごい…桜の筏…いっぱいで絨毯みたい…」


「確かに、桜筏ていうより、絨毯だな♪」


「翔くん…」


「ん?」


「こんな、素敵な場所に連れてきてくれて、ありがとう…!」


「いえいえ…てゆーか、俺が智くんと来たかったんだよ…」


「また、来年も来たいな…!」


「もちろん、来年も再来年も、その先も…毎年連れてくるよ」


「本当…?」


「…言ったろ?俺の車の助手席は、智くん専用なんだから、これからも色んな場所に連れていくよ」


「うんっ」


そして、もう一度 桜のトンネルを見上げると…


「…翔くん」


クンクンと上着の裾を引っ張られる


「ん?」と隣を見ると…「ん~♪」と、可愛く唇を尖らせ、キスのおねだりをする智くん…


「了解…♪」


そして…


俺達は、桜の木の影にかくれて…


キスを交わした…








 END





☆最後まで読んでくださり、ありがとうこざいました!🌸🌸🌸🌸🌸明日、あとがきを上げたいと思います…!m(__)m