(S)


  「智… と、櫻井先生!?」


玄関のドアを開けた松本が… 大野と俺が一緒にいるから 驚いてる


「よっ、松本!」

「え… 何?何で 先生が…」

「… 家庭訪問?みたいな…」

「何でだよ、学年 違うじゃん(笑)」

「まぁ、大事な生徒の 一大事だからな…」

「大事な生徒? 智の…?ま、いっか、どうぞ 上がってください」


大野と共に リビングに通される

やっぱ、俺のマンションより広いじゃね~か…


お茶で いい?て ウーロン茶を出される


「どうぞ」

「ありがとう」と、1口 飲んで 隣の 大野を見ると…喉が渇いてたのか コクコクと半分以上 飲んで…

話し出すかと思ったら、俯いて またお茶を飲んで…漸く 松本の方を見たかと思ったら、また俯いて…

これ… 俺が 言っても いいよな…?


「大野」

「…はい」

「俺が 話して いいのか?」

「… お願いします」

「わかった」


そう言うと、大野の方を見てた 松本が 俺に視線を向けた


「何ですか?」

「… 松本と生田は、どういう関係なんだ?」

「え… 斗真と俺?」

「最近、校舎裏に よく 居るんだろ?」

「え… いや、たまに…だけど…」


あ、毎日じゃないって 雅紀が言ってたっけ…


「今日も、2人で 居ただろ?」

「いた…けど…何で 知ってるんですか?」

「あの場所…保健室の真ん前で、中から 丸見えらしいぞ」

「えっ… マジか…もしかして…見られてた…?」

「…丸見えだからな…」

「うわ~… 今度から 場所 変えないとな…」


「…潤くん?」

「ん?何?」


漸く、大野が 口を開いた…


「斗真くんと… また… キス…するの?」

「えっ…」

「なん…で…?姉ちゃんと…つき合ってるのに…そんな事…」

「ええっ…?」

「松本…?」


松本は、俺と大野を 交互に見て…


「もしかして、聞きたいことって、その事?」

「そうだよ… な?」

「うん…」

「マジか… そうか…」

「潤くん…?」

「智、聞いてないんだ…?」

「え… なにを…?」


「俺… フラれたんだけど…」

「はあっ?」

「フラれた…って…姉ちゃんに?」 

「うん…」

「いつ?」

「いつって… え~と、ああ、コンビニで 前に智と いる時に、櫻井先生に 会ったでしょ?」

「あ~…あん時か」

「うん、あの日に フラれてさ…」

「そ… だったんだ…」


これ…フラれた理由まで 聞くのは 酷だよな…


「それで 生田に?」

「まあ… そんなつもりはなかったんだけど…慰められてる内に、再燃しちゃって…」

「何だ、そういうことだったのか…」

「そっか… 良かったぁ…」


浮気なんかじゃなかったんだな…


大野が信じてた通り だったって訳か…




(O)


  櫻井先生と 潤くんの家に 行くと、潤くんは驚いてたけど…

リビングに通してくれて、お茶を出してくれた


今から 斗真くんとの事を 聞くかと思うと なんか緊張してしまって…

お茶を飲んで 落ち着こうとするんだけど…全然 ムリで…

話そうとしても 上手く言葉が出てこなくて… 


結局先生が、「俺が話して いいのか?」って…

「…お願いします」て 任せることにした…


先生は、潤くんに 斗真くんとどういう関係なのかって ズバリ聞いた…

2人が校舎裏に居たことを、保健室から その場所が丸見えなんだってことを 伝えた

そしたら、潤くんは 悪びれる様子もなく、


「うわ~…今度から 場所 変えないと…」


って… なんでなの?

姉ちゃんと つき合ってるのに…どうして 他の人とキスして 平気で いられるの…?

そう潤くんに 咎めるように 言うと…


「もしかして、聞きたいことって、その事?」

「そうだよ…な?」

「うん…」

「マジか… そうか…」

「潤くん…?」


「智… 聞いてないんだ?」

「え… なにを…?」

「俺… フラれたんだけど…」


えええっ…!?

潤くんは…  もお 姉ちゃんとは 別れていた…

やっぱり… 斗真くんとは…

浮気なんかじゃなかったんだね…


「何だ、そういうことだったのか…」

「そっか…良かったぁ…」

「ごめんな、智… 俺、てっきり 聞いてるもんだと思ってたからさ…」

「ううん…」

「大野は、松本が 浮気してるかもってのも、何か 理由が あるんだって 言ってたもんな?」

「うん…」

「智…」

「とりあえず、問題解決って事で いいのか?」

「はいっ…潤くん、ごめんね…斗真くんと 仲良くね」

「あ~…まあ、うん…/////」


潤くんは、もうちょっと 女は 当分 いいや…って笑ってた…



潤くんの家からの帰り、マンションの下まで 先生が 送ってくれた…


そういえば…と、先生は、「この写真は、必要無かったな」て、スマホを操作し出した

「あ… 写真、消すの?」

「もう いらね~だろ」

「そおなんだ…」


そりゃそうか… いらないよね…(笑)


「お前のなら ともかく、松本と生田の キス写真なんてな…(笑)」

「えっ…?」


先生… 今…なんて…  お前のなら…ともかく…?

そう言ったよね…?


「ん?どうした?」


え… 聞き間違い…?


「いっ… いえっ… なんでも ないですっ…/////」

「そうか?」

「……………/////」


先生、何で そんな 普通なの?


「…じゃあな、大野」

「あ…ありがとうございました」

「おう… 松本と生田のこと…良かったな?」

「はいっ…」


姉ちゃんと別れてたのは ビックリだったけど…浮気じゃなかったもんね…


「あの2人にも 報告しねぇとな…」

「あ、そおですね」


そおだ!ニノと相葉先生にも 言わなきゃ…


「こういう時の グループLINEだな♪」

「なるほどぉ…」

「じゃ、また明日な」

「はいっ…」


てゆーか、先生…

さっきの…

僕の写真なら 削除しないって 意味に聞こえたよ…?


僕は、ドキドキする胸を 押さえながら…


帰っていく櫻井先生を…


ずっと 見送っていた…