〈S〉


  4時間目の授業が終わり、いったん職員室に戻る


あ~、やっぱり売店 混んでるな

今日は 行きにコンビニで 昼飯 買っといて 正解だったな


自然と足は 保健室に向く…


雅紀と別れてから、一時期 遠退いてたけど、前は ここで 昼飯 食ってたんだよな

大野と二宮も… たぶん 来てるんだろ?


ガラッ…


「おじゃましま~す」と 入っていく

ああ、やっぱり いたな♪


「ほらね♪」

「…………/////」


何が、ほらね、か知らね~けど…


「大野、そこ詰めて」

「あ… はいっ…/////」


俺は 大野の横にパイプ椅子を広げて座った


コンビニの袋から、おにぎりを取り出し パクついてると 雅紀が…


「そういえばさ、翔ちゃん、2年の松本くんて知ってる?」

「え、2年の松本って…」

「……潤くんのことですか?」

「あ、大野くん、知り合い?」


松本が どうかしたのか 聞くと… 時々 保健室の窓の外で 誰かと イチャついてるようで…

目立たない場所を 選んでるつもりだろうが、中から 丸見えなのを 教えた方が いいのかって話なんだけど…

そして、その相手は どうやら 生田らしいんだが…


思わず、大野と顔を 見合わせてしまう…

朝は…まだ 疑惑の 域だったけど…雅紀の目撃証言で、一気に信憑性が 増した


「…見間違いってことは ない?」

「うん… だって、見えてるよって教えようと思って、窓に 手 かけたし…」

「やめたのか?」

「だってさ… キスしてんの、ジャマするのもねぇ…」

「…っ…」


これ… 確定じゃねぇか…


「でも…言った方が 良くないですか?」

「そうかなぁ…」

「それさ、いつから?2人が そこに来んの…」

「え…少し前だよ…ここ最近?」

「…最近か」

「…………」


ここ最近か… 大野の姉さんと喧嘩でもして…つい魔が差した…てところだろうか…?

大野… 黙りだけど…大丈夫か?


「…大野?」

「…ほ、本当に…2人は…キス…してたの…?」

「え… うん、それは 間違いないよ」

「そ…なんだ…」


…やっぱり ショックだよな… 松本は 大野の姉さんの彼氏で…大野とも仲が良いんだし… 今朝の様子からすると…生田とも…


「…今度 いたら 写真 撮って 送ろっか?」

「え… いえ、そこまでは…💦」


こういうのは、どうしたら いいんだろうな…見て見ぬふりするよりは…ん~…


「大野」

「はい?」

「放課後、確かめてみるか?」

「え…?」

「自分の目で見て、本当なら、あいつらに ガツンと 言ってやったら どうだ?」

「櫻井先生…」

「そうですよ、大ちゃん!そうしましょう」

「ニノ…」

「何なら つき合うぞ?」

「本当に?」

「うん」

「じゃあ…僕、今日の放課後、確かめてみる…!」


うん…これは、生徒の一大事…だよな…?

だったら、担任として 力にならね~とな?




(O)


  潤くんと斗真くんが イチャイチャって…

キス… してたんだ…

なんでだよ…潤くん…

姉ちゃんと ケンカでも したのかな…  何も 聞いてないけど…

そういや、姉ちゃん バイト21時までのはずなのに…帰り 遅いし… 

でも それって 潤くんと 会ってるからだよね? 

土日も バイトなのかデートなのか、家に居ないから…

て、あれ… ここんとこ 姉ちゃんと 顔合わせてないかも…


キスのこと… 相葉先生が見たって言うんだから本当なんだろうけど…

自分の目で見た訳じゃないから、やっぱり信じられなくて…

だって…潤くん、浮気するような人じゃないもん…


相葉先生が、今度2人がしてたら 写真 撮ろうかって 言うけど…そこまではね…

そしたら、桜井先生が…


「大野」

「はい?」

「放課後、確かめてみるか?」

「え…?」

「自分の目で見て、本当なら…あいつらにガツンと言ってやったら どうだ?」

「桜井先生…」


ニノも そうしましょうって…

うん、そうだね… 僕が ウジウジ悩んでも しょうがないもんね…


「じゃあ…僕、今日の放課後 確かめてみる…!」


で、結局… 一応 写真にも 撮ろうって なって…

放課後、僕と桜井先生が 校舎裏で、ニノと相葉先生が 保健室で  待機して、写真を撮ることに…

もし 撮れたら 共有できた方が いいよねって…

いや、共有する必要は ないんだけど… 

けど、相葉先生が グループLINE しようって…

4人で スマホの番号を 交換することに…

わ… 桜井先生の電話番号とLINEのID、GETしちゃった…!

LINE… 個人的に しても いいのかな…用事ないとダメかな…

電話も… 先生の声が 聞きたいからって 理由じゃ…ダメだよね…


て、櫻井先生と連絡先 交換 出来て 浮かれてるけど… 潤くんと斗真くんのこと…

はっきりさせなくちゃね…

でも…実際、2人のそういうとこ目の当たりにしたら… 僕、どうしたら いいんだろ…?

先生は ガツンと言ったら どうだって 言うけどさ…姉ちゃんと潤くんの問題に 僕が首を突っ込むのも…

けど、姉ちゃんに 潤くんのこと 浮気しないか 見張っててって 言われてるし…

やっぱり本当だったら、姉ちゃんには 報告するとして… (出来るか わかんないけど…)

潤くん達に 文句 言うのは、違う気がする…

けど、僕、その時 冷静で いられるかな…と 少し不安になってたら…

ポンと 頭に 手が乗せられる…櫻井先生の…優しい手…


「…櫻井先生…?」

「あんまり難しく考えるな、俺も 一緒に いるんだから」

「あ… はい…/////」


そおだ…

櫻井先生も 一緒に 放課後 来てくれるんだった…

ん?

ニノが… ニヤニヤして 見てる…

もおっ… 今は 違うんだからっ…/////


潤くんと斗真くんのこと なんだからっ…/////