たぶん割と洗脳されやすいタイプなのですが、

それをちゃんと自覚しているので、

 

自分のことでは洗脳されづらくなっていて、

 

お会いした方から

マルチ商法の臭いが少しでもすると

(過去に軽く10回以上は勧誘されたことある)

即座に距離を置くなどの対応ができるのが私です。

 

 

しかしながら我が子のこととなると、

あっさり洗脳されてしまう自分がおりました。

 

約2年ほど前、たいちゃん1才終盤の頃。

ひょんなことから

子どもの知能を育て、

子どもを天才にする教室のことを知りまして(以下、幼児教室)、

 

かねてより息子のたいちゃんを

天才にしたい、天才にしたいと思っていた私ですので、

 

幼児教室のオンライン説明会に参加したところ、

 

人間の脳は3才までに8割完成する

 

という説明と、

いかにその教室が子どもの脳に素晴らしい影響をもたらし、

天才を産み出すことができるのかという

 

 

感動的な音楽が流れる壮大な動画を拝見し、

 

 

その場で入会を決めていました。

 

 

 

参加者一人ひとりに感想を求められた際は、

 

「素晴らしいお話ありがとうございました。

ぜひ入会させていただきたいのですが」

 

って言ってました。

 

 

 

説明してくれていた女性は、

前のめりに入会したがる私を、

 

「素晴らしい。ありがとうございま~す♪」

 

と、顔の横でゆっくりと手を叩きながら褒めてくれました。

 

 

 

 

そうして通うことになったのですが、

人気の教室なので、

超絶通勤ラッシュの時間帯しか空いておらず。

 

隣の駅にある教室までタクシー(片道約1000円)で通うことに。

 

 

同じ教室に通っているママ達は若く綺麗でした。

 

一人はパッチリした目にカラコンバッチリで

タンクトップから覗く胸の谷間が眩しく、

 

一人はハイブランドのバックを持っていて、

髪の長さが腰まであり源氏物語の姫君を彷彿とさせ、

乾かすのにどのくらい時間がかかるんだろう、

子どもいるのにこの長さ保ってるのすごいなぁと思わされ、

 

この綺麗なママさん達の輪に入るには

私も頑張らなきゃっ

と気合いを入れて、

 

昔のワンピースなどを引っ張り出して

可能な限りのオシャレをしたところ、

 

 

 

めちゃくちゃ疲れました。

普段スウェットしか着てない。

 

 

 

しかしながら綺麗なママたちの輪に入れることはなく、

ママ間に存在するスクールカースト的なものの体感と、

カーストの中でやはり自分は底辺であることの実感をし、

 

他にもいろいろ事情があり、

教室の場所を少し遠い場所に変更することに。

 

 

時間はもちろん超絶通勤ラッシュの時間なので、

 

自宅からタクシー代

片道約2500円かけて通うことになりました。

 

 

さて、改めましてその教室では、

脳を開発するためにいろんなことをやります。

 

 

〇月〇日〇曜日、天気は晴れ、季節は春

 

と大きな声で言いながら

プレートを見せて日付や季節の感覚を身につけさせたり。
 

小さな子ども達が並んで

机と椅子に座っている姿は可愛かった。

 

0才から通っているという女の子は、

1才なのに季節答えられるし、

自分の名前を言えたりしてすごかったです。

 

効果がある子にはちゃんとあるし、

きちんとしたプログラムや授業内容なので、

決して悪徳の教室とかではないので悪しからずです。

 

 

他にもイラストが描いてあるカードを

シュッシュ、シュッシュと凄いスピードで見せたり、

丸いシールがだんだん増えていく厚紙を凄いスピードでめくったり、

どちらが多い?少ない?に順番に指を指させたり、

歌詞を指で追いながら歌を歌ったり。

 

 

なるほど、

これは確かに子どもの脳が開発されそうだぞと思いました。

 

 

 

 

 

 

だがしかし

たいちゃん全然見てない。

 

 

 

先生の授業を見ずに、

教室の後ろで一人グルグルと永遠に走り回ったり、

部屋の隅にお気に入りの場所を見つけて入り込んだり、

うんこしたり、

 

とにかく授業の内容を、

ほとんど何も見たり聞いたりしていないので、

脳に何の影響ももたらされていないのでした。
 

私は部屋の隅にある何らかのメーターに興味津々なたいちゃんを

何度も連れ戻しに行ったり、

たいちゃんの散らかしたチラシを片づけたりとてんやわんや。

 

他の子はみんないい子に授業聞いてるのに……

どうしてうちの子だけ……

 

先生からもなんとなく貼られゆく劣等生のレッテル。

 

 

幼児教室からは、

「何歳何か月ではこれができる」

みたいな冊子をいただいていたのですが、

鉄棒にぶら下がったりだとか

ボタンをハメたりだとか、

そこに書かれている月齢的にできることが

たいちゃん全然できなくて、

 

他の子はみんな話せてるのに、

たいちゃんいつまで経っても話せるようにならなくて、

 

毎日毎日たいちゃんの発達の遅れにヤキモキしてばかりいました。

 

 

 

毎週水曜日、

片道2500円かけてタクシーで幼児教室に向かいます。

「どうせたいちゃん今日も何も聞かないんだろうな…

月謝高いのに……

タクシー代もこんなにかかってるのに…死にたい……」

 

毎週死にたいと思う水曜日。

 

 

 

担当の女性の先生は

とても良い方なのですが、

時折天然な部分も垣間見える方でした。

 

たとえばハロウィンの時。

ご自宅でハロウィンの飾りつけや

料理作りを頑張ったママの写真を見て一言、

 

「すごいねー。子どもの記憶には残らないのに(とても無邪気な笑顔)」

 

とかですね。

 

たいちゃんの発達を心配する私を

笑顔で励ましてくれる素敵な方でしたが、

時々何かが惜しい感じの返答をされるなというのが

少々印象的な方でした。

 

 

たいちゃん全然授業聞かないし

月謝高いしもう辞めたいなと思っていて、

でも先生に悪くて

辞めたいことを匂わせながらもズルズル続けていたある日。

 

 

区の発達支援センターで発達検査を受けたところ、
発達グレーと告げられました。

 

「言葉は遅れてるけど発達は問題ない」

と言われたくて検査を受けたのに、

グレーと言われてショックで頭が真っ白の中、

療育に通うための申請書を書いたあの日。

 

 

帰り道、まだ受け入れられなくて

たいちゃんを見ながら駅のホームで涙ぐんでいた時、

幼児教室の先生から電話がかかってきました。

 

辞めたい旨を匂わせていたので、

再来月からの教室どうするかという確認の電話でした。

 

ちょうど先ほど発達検査に引っかかった旨と

療育に通うことになったので、やはり教室は辞めますと伝えると、

 

先生は無邪気な明るい声で、

 

 

「そっかー。あのねー、実は私の兄ねー、障がい者なの」

 

と言いました。

 

 

 

…それ今言う?

 

 

もちろん障がいが悪いわけではなく、

でも受け入れて前に進むには

心の段階があって時間もかかるわけで、

 

先生に悪気はなく、

寄り添って励まそうと思って言ってくださったこともわかるけれども、

 

 

 

発達グレーを告げられた直後にそれを言われて

私、駅のホームでボロボロ泣きました。

 

 

 

先生は教室に引き留めるために言いました。

 

「あのねー、前にも言ったと思うんだけど、

療育とうちの教室でやることって、とっても似てるんだー」

 

 

 

 

それなら…療育に行く……。

安いし…。

 

と思いました。

 

 

 

 

 

 

そうしてたいちゃん、現在3才。

療育と保育園のおかげで

発達が月齢に追いつき、

一年通った療育も卒業となりました。

 

おしゃべりもできるようになり、

多い少ないもわかるし、

鉄棒にもぶら下がれるし、

いろんなことができるようになりました。

 

周りより遅れてはいるけれど、

たいちゃんはたいちゃんのペースで

いろんなことが、ちゃんとできるようになりました。
 

 

 

不安で押しつぶされそうだった当時。

 

たいちゃんより年上で、

同じように発達に心配のあるお子さんを

とても明るく育てている友人が、

珈琲を飲みながら何気なく言った言葉が、

とても心に響いたのを覚えています。

 

 

 

 

「うちはもう、

この子しか見ないって決めたから」

 

 

 

 

周りと比べず、

私はたいちゃんだけ見ようと思えたのはその時でした。

 

 

天才じゃなくていい。

天才なんかにならなくていい。

たいちゃんはたいちゃんであればいい。

 

 

たいちゃんの成長と共に、

私も少し成長できた気がしています。

 


 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

我が子が天才じゃなくて良いと悟るまでにかかった金額
(幼児教室及びタクシー代)

約20万円也――