毎週水曜日はまっすぐ帰り夕飯もお風呂もドライヤーも歯みがきも全部21時までに済ませてテレビの前にスタンバイする。
見るのはテレ東の「家、ついて行ってイイですか?」
趣旨は簡単。終電後の駅前にいる人たちに番組スタッフが「家までのタクシー代を支払うので家までついて行っていいですか?」と声をかけ、家でその人の人生を取材するドキュメンタリーだ。
「一般人の家までついて行って、素人の話を聞いて何がおもしろいの?」と思うかもしれない。でも私はこれを見て毎回爆笑し、ほぼ毎回涙している。
公式HPの番組内容紹介にはこうある。
「深夜、急に訪れる片づけられていない素のお宅は、その人の人生ドラマが散りばめられた宝箱です。
そして誰しもが、一見フツーでも 、ぜんぜんフツーじゃない人生ドラマを持っている!
そんな素敵な市井の方々の人生譚を覗いていきます。」
ハチャメチャに元気そうな20代キャバ嬢が癌で闘病中だったり、暮らし雑誌の取材を受けるほどオシャレな家に住む30代夫婦が子育てで苦労していたり、かといって感動押し売り番組ではなく、60代男性が住むゴミ屋敷に行ったり、ヤギをペットとして飼っている女の子の家に行ったり、本当に色々な人の人生を観られる番組なのだ。
この番組は私に「世界には色んな人がいて、色んな考えがあって、色んな人生がある」ということを実感させてくれる。
当たり前のことだけど、ただ生きているだけじゃわからなかったりする。仕事や学校・趣味で色んな人と会っても結局は自分の生活範囲内で会える幅の人に過ぎず、「類は友を呼ぶ」じゃないけど同じような生活レベル・考え方の人が集まるのだ。
加えて私はもともと「他者の考え・立場が想像できない」人間だ。
正直中高生くらいまで「自分が思うことは皆んなも思っていること」と当然のように思っていたし、そう思っていること自体に気づいていなかった。
だから小中学生の頃は友人関係が難しかったのだと思う。
その頃よりましになったとはいえ今でもまだ、無意識の中にさらいきれていないそれが残っているんじゃないかと思う。
でも、水曜夜9時に色んな人生をみていると、実生活で出会うどんな人も必ず、私の知らない人生を生きてきたんだと考えるようになった。とんでもなく私を腹立たせるのが上手なあの人だって、大切にしていることや人がいるのだろう。だからと言って腹が立つのに変わりはないけど「まぁ、しょうがないか人間だし」くらいには思える。
将棋ソフトのPonanzaを作ったプログラマ山本一成さんが先日こんなことをつぶやいていた。
山本一成@Ponanza@issei_y「暴力の人類史」という本の受け売りなのですが、人類が血生臭くなくなった理由は小説のおかげで、他者の立場や考えや痛みを理解できるようになったという説明があった。
2018年03月28日 13:07
人間は小説によって他者の気持ちがわかるようになり、野蛮でなくなったという。
私は「家、ついて行ってイイですか?」によって、すこしずつ他者の立場を想像できるようになってるんじゃないかと思う。
**
家、ついて行ってイイですか? | テレビ東京 公式HP