近場の銘 | 文章をあれするための、あれ。

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座右の銘とかいって、なんらかの四字熟語だったり偉人の名言を挙げなきゃいけないプチ関門が生きていると時々ある。

 
座右の銘とは「常に自分の心に留めておいて、戒めや励ましとする言葉」らしい。
 
ただ、座右の銘とはいっても不動産のツーブロック営業マンが彼らの名刺に書いているような、ようわからん中国が起源の四字熟語、お前らほんまにそれ常に心に留めとんのか?と問いたい。
 
逆に日々思い出す言葉って、もっと小さい範囲でのことだったりしないか?
私はそうだ。何気なく家族や知り合いに言われた言葉や信念が、心に留まって離れないことがある。
 
 
例えば祖母の言葉。
「靴は軽いのがええ」
 
私が小学生の頃、祖母はよくスニーカーを買いにダイエーへ連れていってくれて、その時によく言っていた言葉がこれ。
その頃は意味がわからなかったけど、今は靴を買うとき、履いているとき、なんでもないときに思いだす言葉である。
靴は軽いのがええ。
 
 
つづいて姉の言葉。通勤時に毎朝思いだす言葉である。
「混雑してる道を進むには下を向く」
 
姉は私より6つ上で、結構年が離れている。
それ故、彼女が教えてくれた生活の知恵は圧倒的浸透度で私の生活の知恵となった。
 
例えば駅のホームへ向かう道。
自分とは反対方向に進む人が多いとき、なかなか進みにくい。
 
そんな時は下を向いて、もくもくと歩けば反対方向から向かってくる人たちは勝手に避けてくれる。だから進みやすい。
とっても身勝手だが、これが実に速く進む方法なのだ。
人間は「誰かがやってくれる」と思うとその義務はやらないもので、逆に「自分がやるしかない」からこそやるのである。
 
これは人生においてとても役に立つ知恵であるのでぜひ身につけてもらいたい。
 
 
またしてもその姉より。
「ご飯を食べた直後に出る便は、その食べたもの自体ではなく、前のご飯が消化されたものが押し出されている」
 
 
ある日私がまだ小学生の頃、姉が「大発見をした!」という顔で話しかけてきたときのことを昨日のことのように思いだす。
 
言われてみればそうとしか言いようのないことなのだが、他人に大々的に意識させられると、その後の人生ずっと食後の便意の際、上の言葉を思い出すことになる。
 
このように座右の銘とは言わずとも、近場の銘といえるような、何か身近な人にふと言われた、何十年経った後でもよく思い出す言葉、私以外にもあるのじゃないかなぁと思う。皆んなの近場の銘を知りたい。