今から5年前、温泉巡りを始めてすぐに来たことがある伊豆・湯ヶ野温泉の福田家

川端康成の代表作である伊豆の踊り子は、大正7年11月2〜4日に、康成がこの旅館に宿泊した時の話が物語の中心になっている
今回は康成が宿泊した部屋を予約



(旅館全景)


(橋に面したこの部屋)



中に入ると誇らしげにこの張り紙



広縁と二間続きの部屋



窓を開けて河津川を挟んだ対岸にある共同浴場を望む
写真ではうちの踊子が手を振っている後ろが共同浴場
昔は小屋掛けだったようで、そこから裸の踊子が手を振った

旅館の隣には川端康成の文学碑





拓本を求めたところ、最後に一つ残ってますと分けて頂いた



実は伊豆の踊り子だけでなく、他の作家の代表作もこの宿で生まれている



隣の部屋は、太宰治が逗留して東京八景を執筆した部屋(現在は展示室になっている)

周囲はとても山深いのだが、河津町なので海までは5〜6キロメートルしかない
なので料理は山海の品が並ぶ





これで一人2万円なのだから最早バーゲンプライス。価格高騰の伊豆にあってお勧めの宿だと思う

さて、温泉
温泉は内風呂が一つと岩風呂・露天風呂が一つ
宿泊すると細かく男女の時間が入れ替わるのだが、19時〜6時、8時〜10時は貸切運用になる



(内風呂の榧風呂の時間割)

その日は四組の客だったので、どちらも貸切の時間に何度も入りにいった

まずは名物榧風呂
浴室に入ると甘い匂い



元々な川沿いに小屋掛けだった浴場を、旅館の内風呂に改修したのだろう。旅館本体より一段下がったところにある



珍しい榧製の浴槽
塩ビ管で底の方に投入される源泉
湯べりから静々と溢れ出す
壁には色んな模様のタイルが貼られている



湯口の枡を開けて飲泉
うっすらと塩味



湯ざわりは硫酸塩の特徴がしっかり出てキシキシ
43度、窓も少しだけしか開放していないのでかなり茹だる

岩風呂・露天風呂





こちらは岩風呂が43度、露天風呂が長湯仕様の39度
晩御飯の後はこちらで長湯

ここに泊まると、向かいの共同浴場に泊まれたのだが、新型コロナの流行で入れなくなってしまったとのこと。残念



(共同浴場内部)

翌朝
帰り支度をしている妻
先に支度が済んだ私は窓外の河津川の景色を眺めていた
タイワンリスが二匹、窓のすぐそばに植っているモミジを登ってきた

「あっ!」と声を出してしまったので驚いたのだろう、橋の欄干を上手に駆けて対岸の大きなクスノキを登って見えなくなった


支度が済んでチェックアウト
ご主人に拓本のお礼を言い、また必ず来ますと挨拶して宿を立つ
橋を渡って振り向くとご主人が手を振っていたので振り返した

福田家
静岡県賀茂郡河津町湯ケ野236
0558-35-7201
日帰り入浴
片方50分990円
両方60分1,210円
見学
玄関ロビー・資料室110円
伊豆の踊り子の部屋330円

湯ヶ野財産区湯ヶ野12号
カルシウム・ナトリウム-硫酸塩泉
(低張性・弱アルカリ性・高温泉)
成分総計1.041g/1kg
pH8.4
泉温53.6℃
湧出量281ℓ/分
殆ど無色、透明、無味、無臭
主要成分(1kg中)
ナトリウムイオン147.5mg
カルシウムイオン157.8mg
硫酸イオン792.1mg

中伊豆を縦貫するR414から一本入り、湯ヶ野の集落に入る。道は細く、老人が多いので注意
駐車場は宿から300メートルほど離れたところに8台分