湯田中温泉には沢山の共同浴場がある
しかしお隣の渋温泉と違って、一般には開放されていない。以前は毎月26日(所謂風呂の日)だけ一般に開放されていたのだが、昨今の新型コロナの流行でそれも取りやめになっている
今は宿泊先の旅館が加入する組が持つ共同浴場にしか入れないそう。しかも半分くらいは宿泊しても入れないジモ泉らしい

今回はご厚意で大湯に入れさせてもらう



まるか旅館さんで鍵を借りる



威風堂々の浴舎



自分で名湯と名乗る湯にハズレなし

電磁ロックを開け、中に入ると




正々堂々の浴室
脱衣所と一体となった作り
高い天井、そして窓からは絶えず涼風が吹き込んで曇りなし



横長の浴槽は二つに仕切られており、湯口に近い方が熱湯、湯尻の方がぬる湯で運用されている
しずしずとかけ湯した後、まずは湯尻の方から入る



奇跡の湯加減42度
洗い場が乾いていたので、しばらく誰も入っていなかったのにこの適温。これは万人に優しいお湯
湯ざわりは硫酸塩泉らしいキシキシ系



湯尻の脇には排湯管
これも面白い作りで、人がざぶんと入ると管の頭から盛大に排湯され、その後は脇の小さい穴からポトポトと排湯される

さて、熱湯の方へ


(無駄に躍動感のある動画)



こちらは若干熱めの44度
シャバババと湯がかけ流される音がこだまする中、新鮮な湯を体で受ける
ペロリ、うっすら塩味とお出汁の味



湯口から出た湯は一旦樋で受けられ、温度調整のため不要な分を浴槽外に逃している
写真のように樋の角度は可変式。恐らく湯温が上がる夏場は樋の角度を増やして逃す湯の量を増やすのだろう
窓際には板が置かれていたが、これは樋の穴を完全に塞ぐ用か



壁には明治の軍医総監、松本順の名前で入浴心得が掲げられている
松本順は徳川十四代将軍家茂を看取ったというのだから、もう歴史上の人物
「入浴ノ時間ハ三十分ヲ過グル可カラズ」
総監の言いつけを破るのは恐縮だが、もう1時間は優に過ぎている
仕方あるまい、こんな気持ちの良い共同浴場はそうそうないのだから

新鮮なお湯に入り、玉のような汗をかき
茹れば湯べりに寝転んで、涼しい風に体を晒す



日本に生まれて良かった

こんな素晴らしい共同浴場を、大湯組と言われる十数軒の人たちで使っているらしい。わがままを言わせてもらうなら、来世は是非大湯組に生まれたい

湯から上がる
脱衣所で




なんと、一見乱雑に見えるこの石作りの床、温泉の熱で温められていてすぐに乾くように出来ている
流石は共同浴場番付で横綱を張るだけあるな
どこをとっても満点、完璧です


大湯
長野県下高井郡山ノ内町平穏3129
大湯組に加入する旅館に宿泊すると利用可能
10:00〜21:00

共益会12号ボーリング
ナトリウム-塩化物泉
(低張性・弱アルカリ性・高温泉)
成分総計1.986g/1kg
pH8.2
泉温96.2℃
湧出量100ℓ/分
ほとんど無色澄明、微塩味・微硫黄味で硫化水素臭を有する
主要成分(1kg中)
ナトリウムイオン453.4mg
カルシウムイオン74.6mg
塩素イオン741.8mg
硫酸イオン200.8mg

湯田中温泉の中心部。道はそれほど広くないので歩行者注意
駐車場は近くの温泉まんじゅう屋さん(白銀屋)の裏に30台分