以前から気になっていた倉下の湯



浴室は、手前が洗い場、奥が浴槽に分かれている
先客が一人。これが話好きの地元の先輩
先輩「ほう、松本に住んでいるのかい」
アン「そうです」
先輩「松本に住んでて温泉好きなら必ず行かないといけないところがある」
アン「なんと。それはどこですか」
先輩「王ヶ頭ホテルだ。温泉じゃないけどな」
アン「は、はい…」



茶色い湯は塩気の強い塩化物泉
先輩の話はなおも続く
先輩「昔、ここの湯の色は今とは違ったんだが、何色だったかわかるかい?」
アン「んー、笹濁りですかね」
先輩「おっ!なんでそう思うんだ?」
アン「塩気の強い湯は笹濁りのところが多いので。当たりですか?」
先輩「えっと、何色だったんだっけ」
微妙に噛み合わない
先輩「ただね、地震があって湯が出なくなったんだ。地下に通していた配管が途中で折れてしまってね」
アン「へえ。どうやって復活させたんですか?」
先輩「復活させたというか、今は駐車場になっている目の前の空き地から湯が噴き出したんだよ。ただ、その湯は以前の湯とは違ってぬるくなった」
アン「へええ」



先輩「さてもう一つクイズだ。ここの風呂、夏場はどうなるでしょうか」
アン「えと、この周りのシートが剥がされて見晴が良くなるとかですかね」
先輩「ハズレ。この屋根が外されて露天風呂になるんだ」
アン「なんと」


先輩の話はまだまだ続く
ヘロヘロになって湯べりに上がる
先輩「リタイヤしてから野菜作ってるんだけど、冬場は雪の中からキャベツ掘り起こしてな。あ、またクイズだ。そのキャベツ1個いくらで売れると思う?」
アン「全く見当がつきません。300円くらい?」
先輩「桁が一つ違うな。3,500円だ」
アン「へええ、フェラーリ買えますね」



濃厚なお湯が霞むくらい個性的な先輩との出会い
冬場は外国人たちが風呂のすぐ先に流れる小川に飛び込むのだという。心臓麻痺で死んでしまわないか心配だが、次は真冬に来てみよう



(出口は近代的)

倉下の湯
長野県北安曇郡白馬村北城9549-8
0261-72-7989
600円
10:00〜21:00

白馬塩の道源泉
古い成分分析表(H6)では、
ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
(高張性・中性・高温泉)
蒸発残留物13.97g/1kg
pH7.14
泉温48.1℃
となっているが、本文中にもある通り、白馬で地震があったのを境に泉質が変わったとのこと
新しい成分分析表(H28)
含二酸化炭素-ナトリウム-塩化物・炭酸水素塩泉
(等張性・中性・温泉)
成分総計10.575g/1kg
pH6.9
泉温37.5℃
湧出量400ℓ/分
無色澄明、強炭酸、強鉄味、弱塩味を有す
主要成分(1kg中)
ナトリウムイオン2,382.6mg
カリウムイオン131.7mg
マグネシウムイオン198.2mg
カルシウムイオン75.4mg
鉄(Ⅱ)イオン11.1mg
塩化物イオン2,628.8mg
炭酸水素イオン3,520.9mg
遊離二酸化炭素1,094.3mg

白馬大橋を越えてすぐ。道は不安なし
駐車場は広大。およそ50台分