さあ、晩飯の後は外湯巡りだ!待ってろ渋十湯


え?渋温泉に泊まらないと使えないのですか

安代館に泊まると安代温泉の二つの共同浴場にしか入れないそうな


いやいや、色々経緯はあるんだろうが、そういうの良くないと思いますよ


ブツブツいいながら旅館の隣にある安代大湯へ


ほう、これは立派でんな

入り口は二つあり、写真の表側の入り口のほか、お勝手口もある



半円状の湯船が一つ

真ん中の湯口には塩ビパイプが差し込んである


こんばんはー

地元の先輩に挨拶して、まずはかけ湯




ギャー!めっちゃ熱いやんか!!

これは47度くらいあるのではないか

よくまあこんな湯に平気な顔で浸かってるよな

昼間行った旦過の湯といい、長野の人は皆あつ湯耐性が凄いな


と感心していると、先輩の一人が話しかけてきた

先輩「わはは、熱くて入れないか」

アン「はい、これは無理です。よく入れますね」

先輩「なあ兄ちゃんよ、人間の体で一番熱さを感じるのは脛なんだよスネ」

アン「は、はい」

先輩「脛で止めるから熱いんだが、意外と腹は熱さを感じないんだ」

アン「ほう、そういえばそうかも」

先輩「だからな、脛で止めずにどんどん腹まで入ってだ、そして脛の次に熱さを感じる指はぐっと拳を握って耐える」

アン「成る程」

先輩「さあ、俺の目の前でやってみな」


他の先輩たちも私を見ている。これはもう引き下がれまい。お父さんお母さん今までありがとう

呼吸を整え、意を決してアツアツの湯船へ

足から入る、熱い!

でももうどんどん入りましょう

んごごご、あががが

体を固くこわばらせて、呼吸を整える

お、耐えれるぞ

先輩「やるな兄ちゃん」

アン「やりました!私やりました!」


北信に伝わる伝統のあつ湯入浴法をマスターした瞬間であった

この後関東では沢渡、草津、湯河原、那須湯本、東北では飯坂、夏油、下風呂、湯の花といった各地の熱湯達と裸の戦いを繰り広げたが、いつも心にあるのはこの安代大湯で出会った先輩の教えであった


(この回字ばっかり)


安代大湯

長野県下高井郡山ノ内町平穏2296

宿泊者無料


共益会11号ボーリング

ナトリウム-塩化物・硫酸塩泉

(低張性・弱アルカリ性・高温泉)

成分総計1.623g/1kg

pH8.2

泉温91.7℃


主要成分(1kg中)

ナトリウムイオン362.1mg

塩化物イオン533.8mg

硫酸イオン257.0mg


安代館の隣

道は狭いので注意