昨日は〈T・ジョイPRINCE品川〉にて『ミッシング』を観ました。
『麦子さんと』『犬猿』『空白』の吉田恵輔監督が、石原さとみさんを主演に迎えての最新作☆
愛する娘がいなくなった沙織里と豊は、口さがない人々からSNS上でバッシングをされて…ってな物語。
さて、如何なもんでしょうか…
演出、脚本、演技、衣装、美術、音楽…いや~、どれを取っても完璧だったなァ?
現代劇にしろ時代劇にしろ、のめり込めるかどうかは脚本にもあるんでしょうが、それよりも大事なのは、登場人物の生活に則った衣装や舞台美術。
そこが本作は完璧で、沙織里と豊の衣装と住まいが実にリアル。
殊に沙織里の衣装が素晴らしく、スウェットにジーパン、スニーカーのチョイスが、えもいわれぬ説得力を生み出しております。
そして、前評判から伺っていた石原さとみさん演じる沙織里のぶっ壊れ方が、想像を遥かに上回ってきたのが凄い。
沼津から蒲郡までわざわざ行きホテルで晩御飯を食べている場面、更には或る者から電話が掛かってきて警察署へ行った時の場面…鳥肌立つくらい、グサリと来ました。現時点で、本年度の主演女優賞。
そんな沙織里を固める男性陣…夫・豊役の青木崇高さん、弟・圭吾役の森優作さん、ローカル局の中村倫也さんが、それぞれ沙織里と丁々発止でやり合って見応え充分。
序盤で豊と圭吾がベンチで並ぶ場面で生まれた沈黙(←それを、微かに揺れるカメラで映し出す!)、クライマックスで沙織里と圭吾が心情を吐き出す車中…他にもあるんですが、こういった場面に映画の醍醐味を感じます。
ラスト間際、嗚咽した豊を目にした観客に「ああ…此の2年間、泣きたかったけど泣けなかったんだろうなァ…」と思わせる演出に脱帽。
沙織里が常に着ているTシャツのプリント〈EVERYTHING WILL BE FINE〉が、自然と皮肉な光を放つ。傑作。是非、劇場で御覧ください。