ロアルド・ダールの短篇集『あなたに似た人』を読みました。
此の方は、ティム・バートン監督の『チャーリーとチョコレート工場』の原作者として知られておりますが…
私が此の作家の名前を知ったのは、今を去ること36年前の小学5年生の頃…
藤子不二雄A先生によるブラックユーモア短篇集の第1巻『不思議町怪奇通り』を読んだ時(←第2巻『ぶきみな5週間』と併せて、トラウマ級の面白さ!大人向けだから、小5の王ちゃんには刺激が強過ぎた!)…
〈奇妙なものへの憧れ〉と題したまえがきで以て、A先生が「ひとつワシもこの手の奇妙な味の漫画を描いてみたい」と影響を受けたとして、ロアルド・ダールのお名前を挙げておられたのを目にしたのが最初でした。
お名前もとんと忘れていた現在、カズレーザーさんが或る番組で本書を紹介されて評判になっているとの噂を聞き、やっとの事で拝読しましたが…
成程、こいつァ面白い♪
最も有名な『南から来た男』(←モロにA先生の短篇!きっとカルロスは、いやらしい顔をしたタレ目の爺さんだ!)は、確かに圧巻ですが…
その他にも『韋駄天のフォックスリイ』(←サゲ、爆笑!)『皮膚』『音響捕獲機』も面白く、個人的なベストは『告別』でした。
芦沢央さんの傑作短篇集『汚れた手をそこで拭かない』に味わいが似ておりますが、ひょっとしたら芦沢さんはダールに影響を受けていらっしゃるのかも知れません。人間の不気味さが描かれている点が、クリソツです。
都筑道夫の解説によると…
「この短篇集の題名は、おさめられた作品の中からとったものではなく、集中の作品に登場する人物たちは、きわめて異常のようには見えるけれど、そうではない、あなたがたの中にも、こういったところがあるんじゃありませんか、という皮肉である」
…とありましたが、短篇集の題名の作品が無い事も『汚れた手をそこで拭かない』と同じであります☆
色々調べてみましたら、A先生のみならず、F先生もダールに傾倒していたとの事…成程、両先生共、短篇の名手な訳だ。
皆さん、是非読んでください!きっと、沼にハマりますから♪