吉田修一さんの『国宝・上 青春篇』(朝日新聞出版)を読みました。
極道の伜・喜久雄が、或る事件をきっかけに梨園に入り…と、かなりざっくり云うとそんな物語なんですが、大変に面白うござんす☆
芸道にまつわるお話ですから、唸る場面が幾つもありました。
例えば、共感したところでは、喜久雄が大御所の役者と『曽根崎心中』の稽古をしている場面で、その役者から…
「アンタ、初役のわりには、よう入ってるわ。これくらいでけたら、見物の方々も褒めて下さるやろ」
(中略)
「……せやけど、今回アンタがもらう拍手は子役がもらう拍手と一緒やで。『ああ、ようでけた、ようでけた』の拍手や。二度はない」
…ってのは、我々で云うところの「ホントに前座なの?上手いぢゃん♪」「まだ二ツ目!?お見事☆」ってのと同じです。
また、こんなのもありまして…
「いつの時代も嫌なやつなどおりません。いるのは、
『私は気にしませんけどね、でも、問題にされる保護者の方もいらっしゃるんじゃないかしら?』
という嫌なやつにならない嫌なやつでございます」
…コレは、我々の世界の楽屋でよく耳にする「あんちゃん、俺ぢゃなかったらしくじるヨ?」と全く同じかなと(笑)。
出会った名言は…
「貧乏には品がある。しかし貧乏臭さには品がない」
…と云うもの。エクセレント。
そして今、怒濤の『国宝・下 花道篇』を読んでます♪喜久雄、どうなる!?