ふくろうの叫び | 七代目 三遊亭円楽のブログ

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パトリシア・ハイスミスの『ふくろうの叫び』(河出文庫)を読みました。

ヒッチコックの『見知らぬ乗客』や、アラン・ドロンの出世作『太陽がいっぱい』でお馴染みの作家ですが、本作が私にとってパトリシア初体験☆

何故読もうと思ったかと云いますと、小林信彦さんの本にまつわるエッセイ『本は寝ころんで』で絶賛されていたからでありまする。

結婚生活に破れ、ペンシルベニア州の田舎町に越してきたロバートの唯一の楽しみは、婚約者グレッグと幸せそうな日々を過ごしているジェニーを〈覗き見〉する事だった…ってな物語。

興味深いのは、覗き見してるのが着替えなどではなく、ただ単にキッチンで料理している様子を見るって事。故に、妙な変態性を醸し出します。

覗き見が見つかって、警察に通報されるかと思いきや、ジェニーはロバートに惹かれ急接近。

挙句の果てに、ジェニーは婚約を破棄してしまったので、婚約者のグレッグは大激怒!

…此処から読むのを、文字通り「やめられない止まらない」かっぱえびせん状態に♪

ロバートが悲惨な状態になるものの、その反面「元はと云えば、アンタが覗き見してたのがいけないんちゃうん?」と思ったりする…けども、それを更に上回る不気味な面白さが、本作にはあります。

それを担うのが、婚約破棄されたグレッグの復讐に加担するロバート元妻ニッキー。

ニッキーの悪魔性が尋常でなく強烈で、頭の中で映像化したら、断トツで〈助演女優賞〉!

現実フィクション問わず、今まで出会った中で〈最も恐ろしい女性〉だったかも知れません(泣)。

婚約破棄されたグレッグの危険度も、かなり高いです。

前述した通り、多少の違和感を感じたりはするものの、恐らく此の作家の本領は、結果よりも過程に…人間の嫌な部分を描いた過程にあるような気が致します。故に、中毒性が高い。オススメ。

その後『見知らぬ乗客』を読ませて頂きましたが、それについては改めて~♪