「味わう」と云う事。 | 三遊亭王楽のぽよよんブログ

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「味わう」と云う事。
「味わう」と云う事。
昨日は、水天宮前の〈日本橋劇場〉へ。【第4回 噺の扉】を勉強しに行きました。小朝師匠・小満ん師匠・小沢昭一先生の三人会。

開口一番は、歌武蔵師匠で『だるま』。久方振りに聴かせて頂きました。マンガ的な楽しさが溢れております♪

続いて小朝師匠が、何と『黄金餅』!ご存知の通り〈陰惨な噺〉の筈なんですが、アラ不思議…まろやかなテイスト♪落語は演じ方によって変わると云う事を、再認識させられました。聴けて良かったです。

仲入りの時には、楽屋で以て〈パティスリー・サツキ〉の寒天に〈ハレノヒ〉のカステラ、更に〈小川軒〉のレーズンサンドに〈赤トンボ〉のサンドイッチと、贅沢過ぎるおやつをたっぷり堪能♪何しに来たんだって感じですよね… (-_-;)

休憩後、小沢昭一先生の随談。喋りに喋る先生は、御年81歳ですよ。得意のハーモニカも御披露されて、相変わらずお元気でした♪

小満ん師匠は、黒門町の十八番『富久』。これがもう素晴らしくって…全編に〈冬の寒さ〉を感じました。いつかは手掛けたいネタです。それにしても難しいだろうなァ?

打ち上げからの帰りの車内で、小満ん師匠から珠玉のお話を伺いました。私の記憶が確かならば、下記の通り…

「師匠(黒門町)から云われた言葉が、今でも芸人として生きる上での指針となってるよ。『普段が肝心だよ!』とか『味わって食べるんだよ!』とかね?此の〈味わう〉って事は、万事に通じてるんだよ。例えば誰かのお弔いに行く時なんかは、ただ拝むんぢゃなくて、焼香しながらその人の事や残された家族の方々の事を思う。これが〈味わう〉って事でね?一つ一つの経験に思いを馳せる、それが大事なんだよ」

上記のようなお言葉を拝聴して、王ちゃんはただただ感動。そして更に、2年前に【落語研究会】の帰りにも聴かせて頂き、その時も感動してブログに書いたのですが、またもその話をして下さったので、それを再び書きます。下記の通り…

「俺が二ツ目に昇進したばかりの頃、あるお客さんから独演会をやりなさいって云われて、やり始めたんだよ。ただ、それまで師匠からは『落語なんかどうだっていいんだよ!私の事だけ見てりゃいいんだから!』なんて事を普段から云われていたから、何か落ち着かなくて…ところが独演会の当日、楽屋に師匠からビールが1ダース届いたんだよ。普段はそんな事ばかり云ってた師匠から。もう胸が熱くなっちゃってね?会が終わった後、師匠に御礼を云いに行ったら『お客さんは入ったかい?』って。それから師匠はこう云ったよ…『やってる人間が勝つんだよ?』って」

時を超えて、一門も違う大先輩から昭和の大名人の薫陶を頂ける幸せを噛み締めながら、静かに夜が更けて行きました。