広報担当スタッフの後藤(将)です。

今回は、2024年5月中のホームレス・貧困問題に関連する記事から、興味深かったもの・大切な話題だと思ったものをご紹介します。

1.自宅で死亡する独居高齢者、年間6万8000人に 警察庁推計(毎日新聞 2024年5月14日)

 


政治は2023年から「孤独死・孤立死」の実態把握を進めており、今年1~3月に自宅で亡くなった一人暮らしの人は全国で計2万1716人(暫定値)いると判明しました。高齢者はこのうちの8割近くを占める1万7034人。

上記から単純に推計した場合、自宅で死亡した独居高齢者は、年間で6万8千人にもなります。

政府は、こうした実態の把握から孤独死・孤立死の未然防止や関連政策に生かしていく考えのようです。

今回の集計結果は、多くのメディアでも驚きを持って報じられました。しかし単なるセンセーショナルな話題として取り上げられるだけでなく、山友会が問題意識を持っている「社会的孤立・孤独」が多くの人にとって身近な問題であると考えるきっかけとなればと思います。

2.難民申請の外国人が「ホームレス化」、支援者の負担も限界に(弁護士ドットコムニュース 2024年05月23日)
 


「北関東医療相談会(AMIGOS)」や「つくろい東京ファンド」で生活に困窮している外国人支援に奔走している大澤優真さんのインタビュー記事。大澤さんら生活困窮者を支援する団体が共同で実施した調査によると、一時的に収容施設での拘束を解かれた仮放免者の5人に1人が路上生活を経験していることがわかりました。

仮放免者や難民申請者がホームレス状態に追い込まれてしまうその背景や、経済的に限界を迎えようとしている支援者の状況などが、事例を交えながら詳細に説明されています。

そして、日本政府が技能実習や特定活動の在留資格によって働き手としての外国人を増やそうとしている一方で、困窮した際には生活保護を受けることができず、その支援を友人・知人や民間支援に大きく依存している状況では、ホームレス状態になってしまう外国人は増える可能性があると指摘しています。

山友会の支援の現場においても、難民申請中や技能実習などの外国籍の方や、その支援を行う団体からの相談が徐々に増えています。こうした現状への理解が広まり、難民申請中などで困窮してしまう外国人支援の仕組みが整えられていくことが求められます。

3.日進町簡宿火災から9年 生活保護受給者の需要、今も 長年の経営者「なんとか助けてあげたい」(東京新聞 2024年5月17日)
 


11人が死亡した2015年の川崎市日進町簡易宿泊所火災。その後を追った記事です。

かつて鉄鋼の町として栄えた川崎市にも、同じく日雇い労働者が多く集まっていた時代がありました。生活保護受給者の受け皿にもなってきた簡易宿泊所は火災後、経営難による廃業が相次ぎました。最近では、物価などの高騰により、新たに簡易宿泊所を利用し始める生活保護受給者や観光客もいるようですが、後継者不足から簡易宿泊所の数はさらに減っていく見通しとのこと。

長年経営してきた方の

「『そんなものはいらない』と世間は言うかもしれないが、現実は違う。世の中いろんな人がいて、それに応える仕事がある」

というコメントには、さまざまな人たちを受け入れ続けてきた思いの強さを感じます。簡易宿泊所にたどり着いてきたような、社会的に孤立し生活に困窮した人たちの住まいの受け皿を確保していくことは、山谷地域にとっても重要な課題の一つです。

4.スイスの貧困、増えるソーシャル・スーパーの利用者(NewSphere 2024年5月16日)
 


スイスにある、低所得者専用の「ソーシャル・スーパーマーケット」を紹介した記事です。

記事では取り組みの成り立ちや、仕組みなどについてまとめられています。この取り組みは1980年代後半にフランスで始まり、ドイツやオーストリア、イギリスにもあるようです。

スイスでソーシャル・スーパーマーケットを運営する団体はこの取り組みを、経済的に困難な状況の人たちも「買うという行為ができる」ことで社会的な偏見が軽減され、人間の尊厳を保つことにつながると説明しています。

生活に必要なものを買うのは多くの人にとって「普通」のことです。こうした「普通」のことが、生活に困窮した人など社会的に弱い立場に置かれた人々にとって「普通」にできているのかということは、世の中からは見過ごされやすいことです。こうしたこと保障していくことが、人間の尊厳を保つことにつながるというのは大切な考え方だと感じました。

5.<ひと ゆめ みらい>生活困窮者を支援 武石晶子(たけいし・あきこ)さん(45)=豊島・中野区(東京新聞 2024年5月27日)
 


生活困窮者を支援する「つくろい東京ファンド」の武石晶子さんのインタビュー記事。

支援の現場に飛び込んだ経緯、やりがい、これまでの取り組みなどについて話されています。

武石さんが活動を行う上で気をつけていると話す「自分の物差しで相手を見ないこと」は、山友会の支援活動の現場でも共通するところで、とても共感しました。

(広報担当 後藤将之)

 

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