広報担当スタッフの後藤(将)です。

今回は、2024年3月中のホームレス・貧困問題に関連する記事から、興味深かったもの・大切な話題だと思ったものをご紹介します。

 

1.「生活保護を受けるのは、あなたが悪いから」 桐生市のあやまち(毎日新聞 2024年3月11日)

 

 

生活保護受給者に1日1000円ずつ生活保護費を手渡しし、全額を支給していなかったなどが発覚した群馬県桐生市の問題について、なぜそのようなことが起きるのかを生活保護行政が専門の立命館大学・桜井啓太准教授にインタビューした記事です。

 

桜井准教授は、この問題の背景には「貧困に陥るのは、個人の家計のやりくりに問題があるからではないか」「ハローワークへ毎日行かない態度に問題があるのではないか」と考える、「貧困の個人(問題)化」があると指摘。その上で、「生活ができないのはやりくりができないあなたが悪いと言うならば、生活保護費はいくらでも下げられることになってしまいます」とその考え方の危険性について述べています。

 

また、桐生市の問題は「特定の自治体の暴走ではなく、社会が痛み始めていることの現れかもしれません」と考察。この問題を社会全体で考えていく必要があることを感じさせます。

 

桜井准教授の、「生活保護の基準は、社会の抜けてはならない最低ラインを定めているものです。生活保護基準を下げることは、社会の最低ラインを最底辺へ近づけることです」、「生活保護を受けている人を中傷するのは、自分たちの社会を傷つけることです」という言葉が多くの人に届くことを願います。

 

2.生活保護が過去最多 社会の安全網、より強固に(毎日新聞 2024年03月25日)

 

 

毎日新聞の社説。

この記事では、子どもの貧困への対応と住まい支援を柱に国会に提出された、生活保護法と生活困窮者自立支援法の改正案のポイントについて述べられています。

 

山友会の活動にとくに関わる部分は、困窮者の住まいの確保の部分です。現在の家賃よりも安い家賃の住居に転居する人の引っ越し費用が生活困窮者自立支援法の住居確保給付金の対象に加えられました。

 

さらに記事では、NPOや社会福祉法人などが見守りを行うことで、家主が貸しやすいようにする住宅セーフティネット法の改正案も国会に提出されたことにも触れ、入居後の暮らしを支えていくために関係機関の連携が欠かせないとしています。

 

3.経済的理由で受診遅れ死亡、48人 民医連が700病院など調査(朝日新聞デジタル 2024年03月19日)

 

 

困窮など経済的理由で医療機関の受診が遅れ死亡した人が、2023年に48人いたと全日本民主医療機関連合会(民医連)が調査結果を発表しました。

 

48人のうち医療保険料の滞納などで無保険状態だったのは22人。保険証を持っていた人でも、医療費の窓口負担が払えないなどの理由で、未受診や治療中断となる例もあったようです。

 

医療機関につながったきっかけが「救急搬送」が最多であったことを踏まえると、経済的な理由で医療機関を受診できない人の医療アクセスを支援する「山友会クリニック」での無料診療の取り組みの重要性を改めて感じます。

 

調査結果を受け、民医連は政府に対し、無保険状態を作らない制度や、後期高齢者の医療費の窓口負担を2割から1割に戻すことなど要請しています。

 

なお、調査結果の概要や詳細な資料は民医連のホームページで閲覧できます。

https://www.min-iren.gr.jp/wp-content/uploads/2023/04/240322_01.pdf

 

4.ロングビーチ市に新条例、公立図書館に危険なホームレスらの出入り禁じる権限与える(LALALAUSA 2024年03月21日)

 

 

米・ロングビーチ市議会は、公立図書館にホームレスなどの危険人物の出入りを禁じる権限を与える新たな条例を可決しました。市内の図書館でホームレスの危険な行動に一般の利用者が脅かされる事件が相次いでいたそうです。

 

これに対し新条例がホームレスの犯罪を悪化させるとして反対する意見も出ており、図書館は暑い時や寒い時に避難場所となり、トイレを利用したり、携帯電話や電子機器を充電する場所として地域社会に利用されるべきとの声が出ています。誰も排除されない公共空間のあり方について考えさせられる記事です。

 

5.「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画(第5次)」を策定しました(東京都福祉局 2024年3月29日)

 

 

「ホームレスの自立支援等に関する東京都実施計画」は、「ホームレスの自立の支援等に関する特別措置法(ホームレス自立支援法)」に基づく「国のホームレスの自立の支援等に関する基本方針」を踏まえ、各地方公共団体が地域における実情に応じた実施計画の策定を義務付けられているものです。

 

東京都におけるホームレス対策の方向性のほか、国・東京都のホームレスの現状と、ホームレス対策の状況がまとめられています。

 

詳細は下記URLから確認できます。

https://www.fukushi.metro.tokyo.lg.jp/seikatsu/rojo/5thplan.files/01_5thplan.pdf

 

計画期間は、令和6年度から令和10年度までの5年間。

なお、前の「第4次」からの主な改正部分はこちらのスライドにまとめられています。

 

※「別紙 主な改正点」(東京都ホームページより)

 

(広報担当 後藤将之)

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