モロッコのミント茶。本当に美味しかった。 湯呑みにぎっしりとミントの葉を詰め込み、そこに紅茶を注ぎ入れ、たあっぷりの砂糖で甘くする。顔を近づけると、爽やかなミントの香りに包まれ、疲れが吹っ飛ぶ。 親切なモロッコの人達は、どこに行ってもミント茶をだしてくれる。もちろん、砂漠のテントでも。 でも、そこでふと心配が頭をよぎる。 「果たして、水の乏しいこの場所で、湯飲みはどう洗っているのだろうか。」「誰かが先に飲んだままなのではないのだろうか。」 いかんいかん! 折角のおもてなし、そんなことを考えては! 一か八か、迷いを振り払い一気に飲み干す。

 

ああぁ、やっぱり、美味しい! 日本に帰ってからもあの味は忘れられない。 「そうだ、自分でもミント茶を淹れてみよう!」 しかし、何度やってもうまく行かない。ミント葉を買ってきて淹れてもダメ。ならばと、自分で育てたミントを使ってみたが、これも違う。 いまだにあの味を再現できない。 ミントの葉の種類が違うのだろうか、、、。

 

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代表的な物はタジンとクスクス。

私にはとても美味しく感じられました。クスクスはケシの様な小さな、セモリナ粉を原料とした「世界最小のパスタ」とも呼ばれるものです。

 

粒々のクスクスは、パエリアやリゾット風にして食べます。タジンは山のような形をした特殊な鍋を使い、羊の肉や野菜を蒸した料理です。両方とも香料を多く使います。我々は良く砂漠の中で夜を過ごしましたので、同行のベルベル系モロッコ人がタジン鍋を作ってくれました。

 

砂漠の夜はテントを張りましたが、気持ちが良いので簡易ベッドを外に出し、全天の星を眺めながら食事をし酒を飲みました。イスラムの国ですからアルコールは禁止ですが、我々イスラム教徒でない者は飲めます。

う~最高。

 

しかしほとんどの食事は日本から持って行き、現地の物は警戒してあまり食べることはありませんでした。何しろ砂漠の中で何日も過ごすので病気になる訳にはいきません。

 

だが、魅力的なのが モロッコ サ・ラ・ダ!

日中50度を超す様な屋外で過ごした旅行客には新鮮で細かく切ったサラダは大変なご馳走。しかし、その結果は、、、ご想像にお任せします。現地の人は大丈夫でも、現代日本人は衛生的な物しか食べていないので、免疫力が弱い。私の様に、戦後世代の免疫力を持ってしてもなかなかの難関。なので、魅力的なモロッコサラダは目で楽しみつつ、他の物でお腹をいっぱいにしました。

 

しかしミント茶!これは本当に最高でした。

 

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6)なぜ偽物を作るのか?

 

日本で化石を掘りに行ったとしても、完全体が出ることなどめったにないだろう。三葉虫に関して言えばモロッコは産出量が他よりは多いと言える。しかしながら、三葉虫自体が非常に希少なものであるのは他の地方と何ら変わりがない。

 

オアシスに住む人は、砂漠の堀場を目指して、何キロも何十キロも歩いてゆく。だがそのような思いをして採掘に従事しても、1日に採取できる数は数個がせいぜいだ。

 

最近はそのような過酷な条件で作業をするよりも街で楽な仕事に就く人が多いのだろう。三葉虫の採取量は年々少なくなっているように感じる。

 

モロッコは観光地なので多くの人が訪れる。人々にとって化石は最高のみやげものだ。だが供給量は少なく、天然物では需要をまかなえない。万が一天然物が出土したとしても、業者が買い取ってその価値が分かる市場に出すだろう。土産物屋に出回ることなどまずありえない。

 

そこでレプリカの登場だ。レプリカなら型取りをして、いくらでも簡単に作れる。しかも、元の型が良いものであれば、素晴らしい物ができる。これらのレプリカは本当に精巧にできていて、残念ながら天然物とレプリカを見分けるのは簡単ではない。

 

ある時、紙粘土でレプリカを作って見せてくれたお客様がいた。紙粘土でも、できるとは、、、新鮮な驚きだった。

 

(モロッコ 三葉虫偽物記5 「なぜ『三葉虫クリーニング』を始めたか」に続く)

 

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5) 買った後は真偽判定をしないこと
 

昔の会社の仲間がモロッコツアーに行くという。ならば行く前にいくつか注意すべき点をアドバイスしたいと伝えたが、彼はそのままモロッコに行ってしまい、そして帰国した。 後日連絡があり、「エルフードで三葉虫の化石を買った」とのこと。「10万円の物を5万円にしてくれた。掘り出し物をぜひ見てくれ。」と言う。話を聞いただけでどんなものか分かるので断ったが、「どうしても見てくれ」と言う。「何を言われてもいいんだな」と念をおし、実物を見せてもらった。

 

鑑定後、真贋には触れず「大切に旅の思い出として飾っておくよう」勧めた。

 

時々他で買ったものを「本物か偽物か鑑定してくれ」と言われることがあるが、全てお断りすることにしている。買う前ならともかく、買ってからそれが偽物だったなんてわかったら、心穏やかではいられないだろう。知らぬが仏、何も知らず本物と信じていた方が良いではないか。

 

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4) 峠の鉱物売り 

 

モロッコの空港から砂漠地帯に行くとき、Atlas の山道をバスでくねくねと登って峠を越えると景色が一変する。それまで見えていた木々が無くなり、大地は酸化鉄の赤色に染まる。

 

その峠では、土産物や食い物を売っている。土産物屋には化石や鉱物が置いてあり、野球ボールほどの大きさのノジュールが売られていた。凹の内部に鉱物の結晶がびっしりついた細い柱が何本も立っている。これは珍しいと2個ほど購入した。

 

だが後でじっくり眺めていると何か違和感がある。

 

試しに細い柱を取ってみていると、なんとそれはつまようじのようなものに結晶を成長させて、植えこんだものだった。「まさかこんな手の込んだものが売られているとは、、、」。 偽物を見慣れている自分でも驚愕した。

 

ちなみに、峠の北側は立派な農業地で産物は日本も輸入している。一方、南側は完全な不毛の赤茶けた砂漠地帯だ。

 

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モロッコの三葉虫は偽物が多いことでも有名である。偽物に出会ったことはたくさんある。

 

1)偽物があるなんて全然知らなかったとある日、大きな30㎝以上もあるAcadoparadoxidesにであった。一体3000円。「格安の掘り出し物!」と3枚購入。帰国して庭に置いておいたが一月もしないうちにパカっと剥がれ落ちた。本体部分を土台に張り付けたものだった。

 

2) 私に三葉虫を売るように勧めたモロッコ人業者から(拙ブログ「三葉虫クラブ、はじまり」を参照)、Comuraが手に入ったと連絡がきた。さっそく送ってもらった物は、30体ほどの手のひらサイズの立派な三葉虫。いいものが手に入ったと喜んでしばらく見とれていたが、そのうち「あれどうして同じサイズで形がよく似ているんだ?」と不思議に思い出した。

 

よくよく観察して見ると本体部分は全く同じで、ひげや触覚の部分だけがちょっと折れ曲がったり、無かったりして加工してある。同じ型から取った偽物三葉虫にパーツを張り付けたものだった。もちろん送り返すこととなった。

 

3) ツーソンでカナダ人の業者から鉄兜のような、大きな三葉虫を手に入れた。Burmeistellaだ!ホテルに帰って「いいものが手に入った!」と悦にいって眺めていたところ、妙な違和感がある。どう見てもおかしいので「どうしてこんないいものを買わないんだ。」と文句を言われつつも翌日返却した。

 

次の日、また店に行くと「あれはすぐ売れたぞ!」と店主はいう。日本人が騙されたのでなければいいのだが、、、。

 

ちなみに、Burmeistellaは1体物はほとんど見つかっていない。出回っているものはパーツ、パーツを継ぎ合わせたか、補足したものばかり。立派なとげが生えているが、それは小さな直角石を植え込んだもの。

 

私は完全体を持っていたことがあるが、手放してしまった。もうお目にかかることはないだろう。

 

(モロッコ 三葉虫偽物記2に続く)

 

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パパが三葉虫にかかわるようになったのは誠に偶然です。それまでは三葉虫はおろか化石にも関係ない、ソニーでエンジニアとしての人生を歩んできました。

初めての出店は第2回池袋ミネラルショー。きっかけはアメリカツーソンでたまたま通りかかった店がモロッコの化石屋で、店主に「コレは蜘蛛の化石?」と聞いたところ、それは有名なDicranurus という三葉虫だとのこと。

感心してみていたら彼に「コレ日本で売らないか?」と言われ、そばにいた我が伴侶にどうするか聞いた所「やろう!やろう!」と言う。

それまでは化石のマーケットがあるなんて全く知らなかった。それが2月に初めて化石屋に巡り合い、それから10ヶ月後の12月に池袋のミネラルショーで三葉虫屋デビュー、29年前。

もちろん相場もわからない。「コレは五千円?五万円?五十万円?」と悩み、中を取って五万円としたら、通りかかった人が「安い!!買う!」と言う。「しまったもっと高くすべきだったか!」。

 

後で知ったが、その方は有名な三葉虫のコレクターさんであった。というのが三葉虫屋の始まり。

 

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