『運命の縄はこの青年を遠き、暗き、物凄き北の国まで引くが故に、ある日、ある月、
ある年の因果に、この青年と絡み付けられたる吾等は、その因果の尽くる所まで
この青年に引かれて行かねばならぬ。』
夏目漱石 『草枕』
漱石の草枕を知らない人は、ほとんどいないでしょう。
少なくとも、本の存在ぐらいは国語の授業を通じて知っていると思います。
しかし、最後まで読み通したことのある人は、もしかしたら今日では、ごく
少数かもしれません。
この作品に対して、「戦争」を連想してもらうことは、少しむずかしいのでは?
と考えましたが、引用の一節が強く記憶に残っていましたので紹介させて
もらいました。
世の中には、「戦争反対」を意図する企てが様々あります。
しかしそのどれよりも、この一節が私に「戦争」のなんたるかを、強くイメージ
させるのです。
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