畑の隣人がいなくなって、もうすぐ3週間。
生前に作られた畝が、少しずつ雑草に覆われ、緑に隠れようとしている。
「彼女は何を植えようとしてたのかな。」
と、ボーッと隣の畑を見ていたら、何か見える。
!
大根らしいものを1株。よく見たら、その後にもある。更に後ろを見たら、まだある。もしかしたらともっと探してみた。
沢山ある畝の中で、1畝だけに、大根の苗が10本あった。雑草と同じ位の丈なので、気をつけてみないと埋もれてしまって分からない。
「おぉーっ😳。」
そうか、大根を植えたのか。
主のいなくなった大根。
彼女の家の隣に住んでる知人が、あれからご主人の車が動いていないと言ってた。あまりにも気落ちして、仕事に行けないのかと気の毒だった。
(何か自分に出来る事は。差し出がましくない程度に。)
そう思った時、よし、この大根を育ててみよう。遺された大根を、彼女のご家族に食べさせたい。
そう思って、早速大根の周りだけ雑草を取った。こんなに雑草に覆われていては、栄養を取られて大きくなれない。もう少し大きくなったら、土寄せもして。
収穫出来るまでの管理を、密かなミッションとして勝手に自分に課した。
ただの畑の隣人の自分でも、寂しい。
ましてや、ご家族はどんなに寂しい事かと思う。
遺された大根を食べた時、少しでも力になれたらいいな。