時は移ろい、
万物が変化するのが理ならば、
事象を推し量れる確たるものは何か?
それはすなわち、
『アルキメデスの一点』なり。
静まり返った200人を超える聴衆を眼下にして、
俺はその一点を見つめた。
先日、仕事で自己啓発的な研修に行かされた。
「そんなものは俺には無意味だ」と上司に楯突いたが、
「業務命令」の一言で、俺の哲学は無下にされた。
その研修とは、
自己目標を会社の理念と一致させる事で、
モチベーションと幸福指数が跳ね上げる。
赤字に喘ぐ7割の中小企業が藁をもすがる思いで参加する、
おためごかしの社員洗脳セミナーの一幕である。
参加者は、会社のヒエラルキーを超え、性別、年齢、職種と様々。
この二日間での気づきが、己を成長させて人生を変え、さらには事業を成功に導く。
そんな奇跡が頭上にもたらせられると信じている。
俺も集団心理に任せて同調したかったが、
無職に近い存在なので叶わなかった。
でも、発表者の誉れを頂いたのだ。
信者の目の前で聖書をビリビリに引き裂く舞台が整った。
『我、思う故に我あり』
200人を超える顔、顔、顔…。
群衆を前にしても揺らがない自我は、
瞬時に美人が何処にいるかを判断する。
俺が語り終えた後、仲間や同僚が興奮して言った。
「シュンスキーさん、今までで一番輝いてましたよ」
「あたし、シュンスキーさんと働けて誇り高いです」
まあな、美人に告白する時って誰でも、
それぐらいの潜在能力を発揮するもんだろヽ(゜▽、゜)ノ
俺がこの研修で成長して得たもの。
それは一人でホテルにお泊まりができたって事だ![]()