希学園が大阪星光の合格者を公表しない理由 | 算数ソムリエブログ-中学受験突破のために-

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中学受験にまつわるココだけの話

理由は皆さんお察しの通り、
 
「実績が芳しくなかったから…」
 
だそうです。率にせよ数にせよ思わしくなかったそうです。ある意味、正直な塾だなと思います。
 
 
希学園内でもある程度のデータの分析がなされているようですが、大きな敗因とされているのが
 
「算数の出来の悪さ」
 
だそうです。他教科と比べて、公開テストや志別の算数の出来が、希学園星光コースの生徒は良くないということなんですね。
 
算数の専門家の目から見ると、これは実は…“当然”の結果と言えます。
 
私は、元々浜学園の算数科講師ではありますが、外に出てからは希学園の塾生を指導することもしばしばで、希学園の算数の教材に関してもほぼ熟知するようになりました。
希学園の算数の教材を知っている者からすれば、なぜ希学園の星光コース生の算数の成績が芳しくないのかが手に取るように分かる、というのが今回のお話です。
 
順に、お話していきたいと思います。
 
 
●算数の学習で最も大切な時期
よく言われることかもしれません。これは間違いなく、「小学5年生」の時期です。
「小学6年生」の時期は言うまでもなく大切なんですが、逆に言うと大事な「小学6年生」の時期を充実させるために「小学5年生」の時期が超重要ということです。「小学5年生」の時期にどれだけ算数の土台を築き上げることが出来るかで、入試本番で算数を得点源に出来るか否かが決まると言っても過言ではありません。
 
 
●希学園小5算数カリキュラム
では、希学園の小5算数カリキュラムはどうなっているか。
一番のメインは「ベーシック」という講座で、さらに「最高レベル演習」または「実戦レベル演習」のどちらかをオプションで追加して受講するケースがほとんどになります。
 
希学園の意図としては(そういう意図であるであろう、あって欲しい)、ベーシックで土台を形成、入試に向けた実戦的内容を、最レや実レで先取りする、というコンセプトなんだと思います。小6のカリキュラムもそのイメージとほぼ同じなのですが、希学園の算数カリキュラムで私が最も問題視する部分は何かというと、
 
小5で取り組ませるレベルと小6で取り組ませるレベルの差が小さい
 
という点です。言い換えるなら、
 
小5で取り組ませるレベルが土台形成の意図通りのものになっていない
 
という点です。思い切ってさらに言い換えるなら、
 
小5生全員に飛び級させている
 
ということになります。
 
 
●中間層が全員死んでしまう…
私は元々浜学園で教鞭をとっていましたから大変よく分かるのですが、希学園の小5ベーシックカリキュラムのレベルは、浜学園で言うと小6マスターコース(通常授業。最レ等別講座は除く)のカリキュラムでやっているレベルとほぼ同じぐらいです。
 
つまり、希学園の小5カリキュラムは、本来小5生が段階的に算数力を身につけ駆け上がるために必要な階段が設置されておらず、灘ではない統一入試日の学校、つまり星光や洛星を第一志望にする生徒が、段階的に算数力を身につけていくことが難しいカリキュラムになってしまっているのです。(階段が昇れなくなった時点で立ち往生…策無し)
 
逆に言えば、灘合格の可能性を持った生徒にとっては、問題の無いカリキュラムと言えます。むしろそういうレベルの生徒たちにとっては良いカリキュラムなのかもしれません。
 
しかし、希公開偏差値大体54以下の小5生にとっては、地獄です。
必要な階段が設置されていないわけですから、昇りたくても一生昇れないわけです。
 
つまり、希の算数カリキュラムは、中間層が死ぬカリキュラムと言って良いと思います。
 
 
●星光の算数は土台形成が命
近年の大阪星光の算数の入試は、入学試験として非常によく出来ていると思います。中学で数学を学ぶ上で必要な基礎力がきちんと身についているかどうかを算数という範囲内で上手に問うている上質な試験セットです。(平成22年度入試など、下手くそ試験な年もありましたが…ここ数年はすごく上手)
 
星光の問題は、算数の土台がいかに身についているかを問う試験なのです。
つまり完全に、
希学園の算数カリキュラムは、星光入試算数の内容と相性が悪い
と言えるのです。
 
 
●希学園塾生、偏差値50台の方は注意
希学園の名誉のために言っておきますが、希学園の公開偏差値が60以上とれている方にとっては、問題の無いカリキュラムだと思います。しかし、偏差値54以下の生徒が算数の成績を上げたいというとき、希のカリキュラムの上でいくら頑張ってもそれはほぼ不可能な話であると言えます。星光や西大和を第一志望にされているある方が、5年生の段階で私のところに来られて体験指導して、あぁこのレベルなら6年生になってから私のところに来て頂いても間に合うので大丈夫ですよとお伝えして、約半年後来られて指導をしたとき、むしろ算数が半年前より出来なくなっていて驚愕したことが何度かありました。それぐらい、希の算数カリキュラムは、上位層にのみ適した内容と言えます。いま、希学園に通塾されていて、公開などの算数偏差値が50台前半の方で算数が伸び悩んでいる方は、ぜひ注意された方が良いと思います。偏差値50後半の方でも、どうも算数が怪しい雰囲気になってきたなと感じたら注意が必要です。気づいた時には成績急降下、となってしまっては大変です。希学園塾生の皆さんに確かな算数力を身につけて欲しいという思いからの真剣なアドバイスです。


 
次回は、希の算数カリキュラムについて、さらに深く言及していこうかと思います。


では、また!


make sense!
■■算数ソムリエ■■