秋の山野草として有名ですし、その花はユニーク。

でも一番は名前の魅力かもしれません。

 ヤマケイの「日本の野草」、この図鑑には1534種が掲載されています。アイウエオ順でその最初は「アイヌタチツボスミレ」、そして最後を締めくくるのはコレでした。

 

 

 「ワレモコウ」です。 漢字は「吾亦紅」とか「吾木香」「割木瓜」です。

 バラ科、ワレモコウ属の多年草です。

 北海道から九州、さらに中国大陸~シベリア、さらにヨーロッパまでスゴイ広い範囲で生きています。ある意味、植物界の成功者、勝組かもしれません。

 

 

 そして、秋の花なら、秋の七草です。あの山上憶良さんが選定して万葉集にも載っているのが一番有名ですが、江戸時代以降にも著名な「文化人」の方々によっていろいろな七草として世に残されています。

 

 

 その数多い秋の七草の中でも比較的有名な、フラワーデザイナーの「マミ・川崎さんの七草」と、「学者の篠遠嘉人さん、学者で随筆家の本田正次さんの七草」で選ばれています。

 

 

 地下に太い根茎があり、ここから根出葉を出します。

 根生葉には長い葉柄があり、奇数羽状複葉です。小葉は5~15枚くらい、細長い葉で鋸歯がよく目立ちます。

 

 

 でも、花ですけど花弁はありません。花弁のようなものは萼片で4枚です。

そして雄しべが4つ、めしべは1つです。

 花弁のある時期は短くて色あせてしまいます。萼片がいつまでも花のように残っています。

 「吾もまた、紅なり」この花の気持ちを代弁した名前です。

 

イメージ 1

 

 茎の上で分枝してその先に穂状花序をだします。色が暗紅色です。

 この花が好きな人はみんな、ロマンチストです。

 名前のイメージからは、まるで「アスナロ」の弟のようです。

 

イメージ 2

 

 このワレモコウの仲間にもいくつかありました。

ワレモコウ属に属するのが「ワレモコウ」、「ナガボノシロワレモコウ」、「ナンブトウウチソウ」、「シロバナトウウチソウ」、「タカネトウウチソウ」、「カライトソウ」がありました。

 

 

 そしたら「そんなもんじゃないよ・」って本人達が言うので、調べると・・・

ワレモコウ属は世界に約30種で、日本に暮らすものは、①ワレモコウ、②コウライトウウチソウ」、③カライトソウ、④エゾトウウチソウ、⑤ナンブトウウチソウ、➅ミヤマワレモコウ、⑦シロバナトウウチソウ、⑧タカネトウウチソウ、⑨ナガボノワレモコウ、⑨の亜種でコバナノワレモコウとチシマワレモコウ、⑧の亜種で、ケトウウチソウ、リシリトウウチソウがありました。

 このうち、日本固有種、③、⑤、⑦、リシリトウウチソウです。

 

 

 名前に色んな漢字があるので、気になります。

 漢字は「吾亦紅」の他にも

 

 「吾木香」はキク科の植物でお線香の原料となるモッコウ(木香)と似た香りがす

 るのでついた名前だそうです。でもこのワレモコウには香りがありません。

 で、名前のいわれの研究で有名な前川文夫先生の「文瓜文(もっこうもん)を割ったように見えるから」という説も有力です。これが「割木瓜」です。

 

 

 さらに、中国の皇帝がこの花の匂いが気に入って「我も請う」と言ったとかで付いた名前という説。

 でも一番は「吾もまた紅なり」と本人(ワレモコウ)が言ったから・・だそうです。本当なら異議なしです。

 

 

 さて、仲間にも登場してもらいました。

 

 

 「ナガボノシロワレモコウ」です。 漢字では「長穂の白吾亦紅」です。

 ワレモコウもこの吾亦紅以外にも「吾木香」とか「我毛紅」とも書くようです。

 

 

 北海道から南は関東地方周辺で暮らしています。日本以外では朝鮮半島や中国、モンゴルやロシアにもいます。

 いつ頃に誕生したのかわかりませんが、これは「コバナワレモコウ(白花)」と「ワレモコウ」との自然交雑種とされ、「ナガボノワレモコウ」となり、この白花がコレです。細かい違いも色々あるようで、区別は難しいようです。

まぁ、難しい区別は任せます・・。

 

 

 茎は直立して1mくらいになります。

 葉っぱは奇数羽状複葉です。小葉は長楕円形です。でもこの葉の鋸歯にはちょっとびっくり・・進化するとトゲになっちゃいそう・・です。

 

 

 いろんな昆虫が次々と訪ねてきますが、一番たくさんいたのがアリでした。

 茎先の枝分かれしたその先に穂状花序が垂れ下がります。

 

 

 花は花序の先の方から咲出します。

 花のつくりは、いわゆる花びら、花弁はありません。 

 その役を担うのは萼片です。萼片が4つ、そして雄しべも4つで長く突き出ていま

 す。葯が黒いのでよく目立ちます。

 

 

 この仲間に赤花の変種があって「ナガボノアカワレモコウ」というそうです。

 また、関東以西、西日本~九州、朝鮮半島や中国には花が白~淡紅色の「コバナワレモコウがあるそうです。

 

 

 出来る果実は痩果です。

 

イメージ 3

 

 この片親のコバノワレモコウは本州の西部から関西、四国、九州、朝鮮半島や中国に自生し花は白~淡紅で花糸が萼片の2倍の長さで突き出ています。

 まあ、ワレモコウもいろいろ種類があるのが分かりました。

 

 茎がしっかり太く直立しています。葉っぱは奇数羽状複葉で、小葉は長楕円形で5~15個、茎頂で枝分かれした先に穂状花序を出します。

 

イメージ 5

 

 この花にもチョウとか、アリも多くやって来ます・・。

 

イメージ 6

 

 東北の山を歩いていると出会います。

 「シロバナトウウチソウ」です。 漢字は「白花唐打草」です。

 

 

 バラ科、ワレモコウ属の多年草です。

 東北地方の高山帯、亜高山帯の草地で暮らしています。 

 なので、日本固有種です。

 

 

 草丈は30~80cmくらい。

 根生葉は長い葉柄があって、いくつかが束になっていますその先に5~7対の奇数羽状複葉があります。 小葉は広卵形や楕円形で鋸歯があります。

 茎に付く葉は小さく互生します。

 

 

 葉っぱもワレモコウに似ています。

 

 この花の名前で白がつかない、「ナンブトウウチソウ」というのがあります。これ早池峰山に特産するものです。また、北海道の日高山脈に特産する「エゾトウウチソウ」というのもあるそうです。

 そして、この名前の「トウウチ(唐打)」とは中国、唐の時代からでしょうか?。中国の「組紐」のことだそうです。

 

 

 この花とちょっと似た花があります。「タカネトウウチソウ」です。

 何年か前に北アルプスでよく見かけました。このタカネトウウチソウは何故か、花が下から順番に咲き上り、よく、上の方がまだツボミで中程から下が咲いているのを見ました。

  

 

 花はこんな花。

 いわゆる花びらはありません。花びらのようになった萼片が4つです。

 雄しべが4つ、雌しべは1つです。

 そして葯が黄褐色~紅紫色です。

 

 

  ワレモコウと思えば別に不思議ではありませんが・・。シロバナナガボノワレモコウの高山型かと思ったら違うようです。

 でも、これがバラ科の花だと言われると・・・面白いです。

 

 

 出来る果実は痩果です。