夏山シーズンの到来です。
富士山に注目が集まっていますが・・富士山はもういいです。
高山植物の女王という称号を持っています。
女王は強いです。
「コマクサ」です。 漢字では「駒草」です。
ケシ科、コマクサ属の多年草です。
北海道~本州の中部以北の山岳地、亜高山帯~高山帯です。とにかく厳しい環境なんだとはその生育場所でわかります。
日本以外では世界に仲間がアジア~北米に20種くらいあり、なぜか東アフリカに1種あるそうです。 アフリカのコマクサってきになっちゃうでしょう。
日本では「高山植物の女王」ですが、「駒」とは馬ですから、牝馬ですね。
有名な群生地は山好きな方にはそれぞれの「お気に入り」があるようです。
山登りが好きな方には耳タコですが、白馬岳の手前の小蓮華岳、秋田駒ヶ岳、岩手山のコマクサが自分の中ではベスト3でした。
とにかく、高山帯の「砂礫地」という場所で暮らしています。
とにかく超メジャーなので、あらためて偉そうに書くこともないのですが、小泉武栄先生の著作などでも詳しく解説されています。
コマクサが暮らしているのは砂礫地です。
砂礫地は強風に晒される場所で乾燥しています。崩れやすく、凍結融解作用で砂や礫が動く「構造土」に島のように群落地を作っています。
図鑑では地上の可愛らしさとは違い、地下には細くてしなやかな根が深く深く伸びているそうです。また、葉柄や花茎も地中に埋めています。
乾燥した岩や石のゴロゴロするような所で咲いているのです。
葉っぱは3出状に細かく裂けて、粉白っぽくなっています。細かい裂片は糸状、線状になっています。
花茎は5~15cmくらい、なにせ強風が吹きつけるところなので高くなれません。
みんな知ってるスターです。
武田久吉先生の「日本高山植物図鑑」では、名前は「ツボミが馬面に似るものによる」と書かれています。
武田先生の本では「花茎は1株から数本、老成したものでは30本あまりを抜き出し、数個の花を下垂する。花は紅色、長さ2cm、幅1.5cm、萼片は2個で小形、花弁は4個、外側の2個は下部は嚢状、上部は反り返り、内側の2個は下部が幅狭く上部は竜骨状になり、互いに接して中央部に突き出ている。・・・」
葉っぱはみんな根生していて3出状に細かく裂けています。最終片も線状で長楕円形です。そして、双子葉植物なのに、子葉は1枚しか出さないそうです。・・・
花は・・なんとも「カワイイ」っておば様たちから呼ばれ、女王というより、プリンスって感じでしょう。
花茎に薄紅色の花を1~2個が多いのですが、スゴイのは7つも付けるようです。
萼片は2つですが早く脱落してしまうそうです。
花のつくりは・・説明が難し・・「花びらは4つ、外側に2つ、内側に2つで、外側の花びらは下部が大きく膨らんで先が反り返ります。内側の花びらはやや小さくて中央がくびれます。
雄しべは6つ、雌しべは1つです。
で、ケシ科なので、アルカロイド系の毒をもちますが、薬としても利用されていたそうです。
北海道の大雪山系のコマクサは「ウスバキチョウ」の食草として有名です。
花色は淡紅色が普通ですが、色の濃淡はありますし、白に近いのもあります。特に白い花を「シロバナコマクサ」というそうですが、今回出逢ったのが白っぽいのもありましたが、シロバナ・・って言えるかはわかりません。
また、信州の木曽では昔は、コマクサがアルカロイド系を含むので「毒」ですけど、「薬草」として利用していたそうです。
出来る果実は蒴果です。