ブログの題からしてちょっと大げさで恥ずかしい。

 何故か、1つの花を出来るだけ詳しく調べてみたら、今までと違う世界が見えるかも・・とか、

普段見慣れている花に対してもっと親しみが沸くかも・・って思いました。

 

 で選んでみたのが・・

 

 

 「ツユクサ」です。 漢字では「露草」です。

 ツユクサ科、ツユクサ属の1年草です。

 

 

 近所の道の脇に秋まで・・ずっと咲くので観察するのも楽ちんです。

 別名や地方名、ペンネームがたくさんあります。

 「オウセ(鴨跖)」、「オウセキソウ(鴨跖草)」という難しい名前から、昔からお馴染みの「ツキクサ(着草)、(月草)」、そして「ホタルソウ(蛍草)」、「ボウシバナ(帽子花)」、「アオバナ(青花)」、「アイバナ(藍花)」などです。

 

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 故郷は東アジアに広く暮らしています。

 日本でも全国で暮らしています。 また、アメリカの東北部に帰化しているそうです。

このツユクサ属は世界に約180種あるそうですが、日本には5種あって、「シマツユクサ」「ホウライツユクサ」「ナンバンツユクサ」「マルバツユクサ」などがあるそうです。

 なので日本のツユクサは1種だとずっと思っていたのですが、地方にはやはり少し違うのも
いるようです。
   
「シマツユクサ」や「ホウライツユクサ」というのが九州南部~南西諸島で暮らしています。    
「ナンバンツユクサ」はこれも南西諸島にいます。        
「マルバツユクサ」が葉先が丸いのですが、関東以西にいます。探さなくては・・。      
 

 多くは南西諸島などに多いようですから見たこともありません。

 それより、外来の「トキワツユクサ」、「ムラサキツユクサ」、「ムラサキゴテン」などが幅を利かせています。

 

 

 梅雨になる頃から咲き始め、10月いっぱいくらいまで咲いていますが、1つの花は一日花で

す。朝早くに咲いて、午後になるとさっさと萎れてしまいます。

 特に雨天には花が鮮やかになるような・・・そんな形容がよくされますし、葉先から滴が一滴垂れる様子などが写真によく紹介されます。

儚くも悲しき梅雨の花・・・ってイメージ。

 

 

 このツユクサ、花の変化も多様だそうです。

花色の濃いものや薄いもの、青い花びらも大きいもの、小さいものといろいろ。そして仮雄しべの葯に栗色の斑点のあるものと無いものがあります。

 さらに、茎も直立して姿勢のいもの、斜上してほとんど分枝ししないもの、また傾伏してよく分枝して果実が多くつくもの・・・とにかくいろいろです。

 

 

 大昔からヒトの生活の近くに一緒にいたので、あの万葉集でも9首あるそうです。

そして多くの学者さんやエッセイにも紹介される人気ものです。

でも万葉集に出ている名前は「月草」とか「着き草」などと言われたようです。

その別名は『植物和漢異名辞林』という辞書に37個あると記されているそうです。

 

 

 花はもうお馴染みです。

 植物図鑑、野草、雑草図鑑の定番ですし、特に花のつくりのユニークさはいろいろな本でも紹介されていて観察会では主役になる花です。

 

 

 花びらは3枚(正確には6つ)、上の大きくて青いのが2つ、そして目立たないけど下に白い1枚があります。

 いろんな役目の雄しべが6本あり、雌しべは1つ。

 そして、花を包む半円形の2つ折りになった編み笠のような苞があります。

 この形からボウシバナの名前が付きました。

 さて、毎回ですが、雄しべ6本の役目です。上にある3つが葯がキラキラ光るような明るい黄色です。これは虫に気づいてもらうアピールの役目のようです。でもこの葯には花粉が殆どありませんので「仮雄しべ」です。

 

 

 下の雄しべ2本の葯は地味な色ですが、花粉はバッチリ入っています。そして、中間の1本の雄しべは、どうやらその中間的な雄しべのようです。

 

 

 この花のつくりを整理すると、内花被片が3つ、外花被片が3つ、完全雄しべが2つ、仮雄しべが4つ、雌しべが1つです。

 でも本当はもっと複雑なようです。

 資料の受け売りですが、1年草のツユクサは種子によって子孫を残す方法なので、とにかく種子を作ることが第一優先で、このツユクサは多くは「自家受粉」によって果実を作っているそうです。それでも、上記のように雄しべをいくつも持って、昆虫によって他家受粉し、遺伝子の多様性を維持しようとしているそうです。

 

 

 また、このツユクサは草本としては珍しい方で、両性花と雄しべだけしかない雄花の2種類の花をつけるそうです。難しいのですが「雄性両全性同種」というそうです。

すごく複雑で専門的になりそう・・。

 でもそれは通常は両性花になるのが普通で、環境、たとえば栄養状態などから、雌しべのない雄花になるようです。

 

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  開花している時間も短くて、虫が来て受粉する可能性が比較的低いようで、その時には花が萎みながら、雌しべと雄しべを巻き取るようにして、自家受粉を行うように出来ているそうです。

 その自家受粉が多いので、白花のアルビノ種が出来る確率も多くなるらしい・・です。

 そして、この花の特徴のひとつ、色の正体です。

 色の正体は「コンメニリン」という物質で、アントシアニンとフラボンとマグネシウムからの化合物です。古名の「着き草」は布や和紙などの染料として利用したからで、水溶性なので、すぐに退色します。

 

 

 このツユクサの1変種として水に溶けにくい性質をもつ、「オオボウシバナ」が利用されるようになりました。有名な友禅などの染料の下絵を描く材料として使われます。

 

 

 オオボウシバナはツユクサの栽培品種で、苞に細かい毛が多いなど、ありますが、とにかく花も大きい!。そして、日本で作られた品種で青花の色素を採るために栽培されています。

 

     
 葉っぱは卵状披針形で毛はなく、先が尖ります。また、基部には膜質の鞘のようなものがあ
り上縁に長い毛があります。

 

 

 花の話の前に総苞です。葉腋から2~3cmくらいの花軸が出ていてその先に内折れする総
苞があり、形は広円形です。 
 この総苞の中に数個の花がしまわれています。

 

 
 萼が3つ、これを外花被片と言っていいのかでしょうか。
 萼片は3つ、上にあるのは披針形で脇の2つは卵形です。

 

 

 そしたら、苞葉に毛がたくさんあるものを「ケツユクサ」、葉の裏に毛のあるものを「オニツユ
クサ」、花色の薄いものを「ウスイロツユクサ」というそうです。

 

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 まず茎は直立するか傾伏しています。基部近くの節から根を出し、そこで分枝するようです。    
 葉は狭披針形や卵状楕円形で先が鋭形~尖鋭形です。
 葉の基部には長さ約1cmの鞘があります。
 
         

 一般に植物の葉は昼の間は根から吸い上げた水分を葉裏に多い気孔から蒸散させる。
しかし、夜になると蒸散作用は弱くなって葉っぱの内部に水がたまり、この余分になった水
は葉脈の末端にある「水孔」という穴から外へ押し出され水滴となって滴り落ちます。
 
   

 
 ツユクサはこの作用が特に盛んで葉の末端に露の雫を輝かせ、その光の反射が花の
青さと相まって美しくなることを知っているらしい・・・。

 

 

 資料を探して、なにやら難しいのを見つけると、喜々として「わからなくても、ともかく書き留めておく・・」という習性です。 こんなのを見つけました。 

 「花は葉に似た一つの苞に包まれた「サソリ型花序」に付きます。この苞については、中国の中国植物誌が総苞としている見解と、アメリカのフローラ・オブ・北米が仏炎苞としている見解があるそうです。

   

 
                   
 それについては「三河植物図鑑」の解説をそのまま引用すると・・
 「この苞は鎌形に曲がらずに基部で融合せず、広げると円心形、緑色、基部は淡色又は白
 暗緑色の明瞭な脈があり、縁毛は無くときにざらつき又は粗く、先は鋭形~先鋭形、無毛~
 有毛。苞の下部に長さ0.8~3.5cm(ときに5cm以下)の柄がある。苞内に普通、花序が
 2個つき、上側の末端花序 (distal cyme=proximal branch) は痕跡的で長さ6~8mm程度 
 の細い柄の先にまれに1~2個の雄花がつき、柄だけが棒状に残っていることも多い。
 苞内の下部の花序(proximal cyme=distal branch)に(1)3~4(6)個の花をつける。
 苞内の花序についてはFlora of north Amerikaの解説に従ったが、Flora of Chainaでは
  distalとproximalが反対の表現になっている。苞の中の花序の花柄は長さ5~10mm。個々
 の鼻には商法と小花柄がある。小花柄は長さ2~4mm、花時には直立し、果時に小苞を内
 側にして曲がる。花は普通、苞から1個ずつ突き出て咲く。
苞から1個ずつ突き出て咲く。花は両性とまれに雄性」とありました。
 

 

 この時期の自然観察の対象としては格好の植物です。
 先日も植物観察グループで講師役の先生が熱弁をふるっていました。
       
 萼片のうち、側萼片2つでその基部で合着していて惰円形で、凹面、膜質で無毛です。また
上側の1つの萼片は披針形です。
 一番魅力的な上側の花弁2つで、青色~藍色で、長さが約3ミリくらいの爪部と広卵形の
拡大部からなるます。そして下部の一つの花弁は淡色~白色で小さくて5~6mmくらいしか
ありません。        
 すでに3つの雄しべの役目があると書きましたが、ちょっと補足すると・・・                    
 雄しべは6個ありますが、3つのパターンというか、役目が違う3種の雄しべがあることです。    
 まず短い3個は仮雄しべ(花粉が少し出るが不稔です)、青い花びら近くにあって鮮黄色で
目立ちます。この仮雄しべの葯は十字形とかX(エックス)形とか言われ、この中心に栗色や
時に藍色っぽい斑点がつきます。        
 中間にある雄しべは1つで花粉の量が少ない仮雄しべ(不完全雄しべです)、この葯はY字
形というか逆V字で栗色の斑点があります。そして長い2つの雄しべは完全な雄しべです。
花粉もしっかりついていて、自家受粉ではこの雄しべが働きます。
 雌しべの花柱が雄しべの間から突き出る両性花と雄しべより短い雄性花があります。
 出来る果実は蒴果です。この蒴果は苞に包まれて1~3個できます。
   
 蒴果は長さ0.5~0.8cmで2室、2バルブです。
 この1室に1~2個の種子が入っています。なので、1果実に2~4個の種子が出来ることに
なります。そして1室に1個の種子だけ入る種子は大きいことになります。
一方で、ツユクサでも花が開かずに自家受粉するものも多いようです。    
 種子は褐色~褐黄色で、しわ状~あばたのような網状があるそうです。        
 
       
 

 

 師匠の「植物なんでも事典」では、風媒・虫媒・自媒の組み合わせによる受粉で、いろいろな
組み合わせがありますが、このツユクサは「虫媒+自媒」のタイプです。
 このタイプは、アキノノゲシ、オオミゾソバ、オシロイバナ、キュウリグサ、スミレ属、センボン
ヤリ、タチアオイ、ツリフネソウ、ナズナ、ヒシモドキ、フタリシズカ、ホトケノザ、ミドリハコベ、
ヤブマメ、ワスレナグサ、ワダソウなどです。               
 さらに、「植物なんでも事典」で、もっと詳しく解説されていますが、        
 「植物は通常、近交弱勢を避けるため他家受粉しようと努めている。ところが、受粉できな
いときに備えて、種類によっては自分から積極的に同花受粉する。
 これが自発的同花受粉である。これには次の3つのタイプが知られている。
 ①自動的同花受粉                  
 ②雌雄接近型同花受粉                
 ③閉鎖花                  

 

 

 ツユクサはこの①で、この①も「雌しべが動く」、②「雄しべが動く」、③「雌しべと雄しべがとも
にに動いて同花受粉する」・・があります。
 ツユクサはこの③のタイプです。          
 今回、いろいろ資料を見ていると、長く突き出る雄しべが2本と一緒に長い「雌しべ」がありま
 す。そして、長い雌しべがあるのが普通の「両性花」です。
 
 すぐ上の写真のは「雄花」と呼ばれるもののようです。    
 雄しべが魅力です。このツユクサには蜜がない・・蜜を出しません。        
 それでは虫が来てくれないので、蜜に負けない魅力を持っています。それがこの花のデザイン
と雄しべのようです。
                   
 
 資料が多くて、まだ整理が出来ていません。
 重複しているのも多いのですが、実はこのツユクサについてはまだまだ続きがあります。