実に久しぶりに会えたので、ちょっと遅いですけど、「こいつぁあ、春から、いや初夏でも縁起がいいわい」です。

 

 

 「トガクシショウマ」です。 漢字では「戸隠升麻」です。

 別名が「トガクシソウ」ですが、どっちが和名なのか・・

 属がトガクシソウ属なので「トガクシソウ」が和名かもしれません。


 

 メギ科、ドガクシソウ属の多年草です。

 本州の中部~北部の多雪地帯の落葉樹林帯、林内で暮らしていますが、絶滅危惧Ⅱ類で希少です。

 明治17年(1884年)頃に信州の戸隠で最初に発見されたので、名前に戸隠がついています。 でも戸隠で咲くのは5月下旬でしょう。

 

 

 学名は「Ranzania japonica」で、このランザニア・・というのは江戸時代の本草学者の小野蘭山にちなんでつけられたそうです。

 そしてこのトガクシソウ、なんと1属1種なのだそうです。

 数も少なくなり、仲間もいない・・なんと貴重な・・。

 

 

 調べていると、こんなことも・・

 俗名に「ハモンソウ(破門草)」というのがありました。この名前の名付け親は伊藤篤太郎さんですが、この命名の経緯にいろいろあって、植物学教室から出入り禁止となってしまったそうです。それでこの花がとばっちり・・?を受けてしまったようです。

 


 自分には滅多に会えない山野草なのです。

 図鑑が頼りです。

 草丈は30~50cmくらいです。

 節が多い根茎があり、横に這って、ひげ根をたくさん出すようです。

 

 

 葉っぱは対生について、茎の先に長い柄を出して、3出複葉です。

 小葉は丸い葉ですが、欠刻状に裂けます。葉先は尖り、基部は心形になっています。



 

 花は葉っぱの間から、葉の展開とともに淡い紫色の花を下向きにつけます。

 花柄も長くて・・これが奥ゆかしい・・

 

 

 花は、萼片が9つあるそうですが、外側(外萼片)の3個は花の開花時に役目を終えて落ちてしまうそうです。

 そして花びらのように見えるのが、残った6つの萼片(内萼片)です。

 

 

 そして複雑ですが、本来の花びらはその中心にあるモノです。

 花びらにも見えませんけど、白いのが6つあります。

 

 

 この小さな白いもの(花びら)の先は2裂していて、その基部にには虫のために2つの蜜腺があるそうです。

 

 

 これも凄く不思議ですが「花後に花柄は伸びて10㎝以上に伸びる」そうです。

 雄しべは6個あって、虫が触れると内側に曲がるそうです。

 雌しべは1個です。

 

 

 出来る果実は液果で白い楕円形だそうです。

 7月に熟すと小さい種子で、この種子にはエライオソームがついていて、アリが運んでくれます。