やっぱり山野草の先初めにはこの花がないと、なんか恰好がつかないような・・

でも毎年、積雪も少なくなっているので、花の時期も分からなくなっています。

 

 

 標高の高い所や東北・北海道ではまだ先ですが、上信越では見頃になりました。 

 「ミズバショウ」です。  漢字では「水芭蕉」です。

 サトイモ科、ミズバショウ属の多年草です。

 

 

 シベリアの東部、サハリン、カムチャッカ半島、そして日本では北海道~本州中部以北で暮らしています。特に日本海側の多雪地帯に自生地が多くあります。

名前は(あの大きい葉っぱで芭蕉布の材料になるイトバショウの葉に似ていることと、湿地で暮らすから) 他の植物の葉に似ているからで、この特徴的な花とは関係ありません。

 

 

 一応、全草有毒です。薬にもなり、腎臓病などの薬効があるそうです。

英語名は「アジアのスカンクキャベツ」とか「白いスカンクキャベツ」とか言われます。キャベツの腐ったような匂いということでしょう。アメリカのミズバショウは黄色くてこれも綺麗です。なんかカタクリも北米のは黄色なので似ています。

 

 

 花はザゼンソウと同じく、葉っぱが変化した白い仏炎苞に包まれ、中に肉穂花序と言われる花が集まったものがあります。

 一つ一つの花は小さく六角形のような形です。

 

 

 ちゃんと両性花で、花びらは4つ、雄しべが4つ、花糸も白く、葯は黄色。雌しべは1つです。ザゼンソウと同じく雌性期が先にあり、次に両性期、そして雄性期へと移っていきます。

 

 

 ミズバショウは蜜を出すことが出来ないので、昆虫を呼ぶのが大変です。虫にとっていい匂いを出して呼んでいるそうです。

花の大きさは径4mm程度で、4枚の緑色の花びらですこの花被の下から雄しべ4つを出します。この花のつくりは図鑑では「徳利形の雌しべが花被を押し広げて出る。次に雌しべの下側の雄しべ(第一雄しべ)が出て、次に上側の雄しべ(第二雄しべ)が出ます。さらに左右の雄しべの片方、最後に左右の残りの雄しべで出て、雄しべの4本の出る順番もあるようです。

 

 

 雌しべが受粉可能の時に最初の泰一雄しべが出て、この雄しべの花粉が着き自家受粉することもあるようです。(ザゼンソウは不和合性があるのでミズバショウとは違うようです)

 

 

 花が終わると葉っぱの出番ですが、湿地の富栄養化が進んでいて、葉が大きくなっています。大きくというより巨大な葉っぱで埋め尽くされる感じの所もあります。

 尾瀬の植生の総合調査の結果が報告されました。昔から熊がミズバショウを食べるのが報告されていますが、最近はシカです。

 各地でミズバショウとかニッコウキスゲなど、高山植物、湿原の花が急激な減っているようです。

 

 

 また、湿原で葦の枯草の堆積、他の草木の繁茂で年々花が小さくなっていることと、数の減少が報告されています。

 

 

 田中澄江さんの新花百では北アルプスの雲ノ平、薬師岳の下の太郎兵衛平の花です。 多くは4~5月上旬に咲きます。 

出来る果実は漿果です。 

 

 

 

 水芭蕉に比べると見る場所も少ないけど、やっぱり外せません。

 見るタイミングが悪いのかも知れませんが、昔よく言った群生地から姿を消してしまった時のショックは結構強烈に残っています。

 

 

 「ザゼンソウ」です。  漢字では「座禅草」です。

 サトイモ科、ザゼンソウ属の多年草です。

 北海道~近畿あたりまで(滋賀県、鳥取県)で暮らしています。日本以外でも北東アジアやシベリア、さらに北米やカナダ東部にもいますが、そちらでは座禅は組んでいません。

 

 

 名前の謂れは有名ですけど、僧侶が座禅を組む姿と仏像の光背に似た花弁(苞)の重なりから。また、花を達磨大師さんが座禅をする様子に例えた・・別名が「ダルマソウ(達磨草)」ともよばれています。

とにかく、この花が超注目されるのは、雪解けの頃に花をつけますが、自分で発熱して周りの雪を溶かし(この表現は怪しい、大げさかも)て、春先に少ない昆虫(ハエ)に対して、この中はヌクヌクで暖かいよって誘惑しているそうです。

 

 

 しかし、ザゼンソウの気持ちも少しわかる気がしますが、調べたところ、20~25度Cにもなっているというので、このエネルギーは大変なものです。

 ところがこの発熱システムの詳しいことは分かっていないらしいのです。

 このザゼンソウが開花すると花が集まっている「肉穂花序」が発熱します。ここに発熱細胞と呼ばれるものがあって、この中にヒトにもあるミトコンドリアがたくさん含まれているそうです。

 

 

 動物の発熱には「脱共役たんぱく質」がかかわっているようです。そしてこの物質は植物にも含まれているのですが、ザゼンソウの発熱にこれが関わっているのかは不明だそうです。

 アメリカやカナダの北米のザゼンソウも発熱しますが同時に悪臭も出してハエなどを強力に呼ぶそうです。この悪臭のため、北米ではザゼンソウは別名「スカンク・キャベツ」と呼ばれます。

 ちょっと見た資料では、あのハス(蓮)も発熱植物だそうです。ハスはその生物学的な見解では白亜紀(14400万年前~6550万年前)に誕生していたそうです・・とすると、この発熱植物というの、そんな時代で生き抜きために身に着けた仕組かも知れません。

 

 

 花は一つの肉穂花序に100個前後ほどあるとされますが、まだ数えていません。この花は両性花です。 

 外側の硬くて黒紫のがなんとも魅力的な仏炎苞です。その中に鎮座しているのが肉穂花序で、1つの花には4枚の花びら、雄しべが4つで、葯が黄色っぽい感じ、雌しべが1つあります。といっても普通の花とはちょっと違うので・・本当は科捜研小屋に持ってきたいけど・・それは無理です。

 

 

 雌性先熟の花で、開花するとまず、5~10日は雌しべが受粉できるようになり、次いで雄しべから花粉を出すようになり、両性期になります。そして、最後に雄性期になります。花は自家不和合性なので自分の花粉では受粉しません。

 

 

 出来る果実は液果です。 でも見たことないかも。。

 厳しい環境なので実際の結実率は高くないそうです。 出来た果実を野ネズミが運んで、種子を散布してくれるそうですが、湿地でないと生きていけないので散布してもらう場所も大変。

 花の百名山では「南ア周辺の守屋山」です。新花百では「北信五岳」です。